第37話 デスコード②

ユカワ(67歳):ハーバード大学卒のクイズ王者で心理学・確率論に通ずる天才である。ポーカーでリカに勝利した事があり現在はスタンフォード大学で教授をやっている。月に1度は孫に会うため日本に帰ってきている。


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ケイ「既にゲームは始まっていたのか!」


真っ黒の部屋の中央に台座がありその上に爆弾と2つのコード、ただそれだけ。どうしたらクリアかも分からない状態...


ユカワ「しかしラッキーだったな」


ケイ「何がだ?」


ユカワ「恐らくこれは協力型ゲーム、弱い相手と組んでたら終わっていた」


ケイ「確かに...」


それを分かってリカはソウ&リュウと組んだのか? と邪念を挟みつつケイは現状の把握に勢力を注いでいた。


ケイ「普通に考えたら2つのコードのうちどっちかを切るんだよな?」


ユカワ「だな。しかしハサミもペンチも無い」


ケイ「手でちぎれってか?」


そう言いコードに触れると普通のコードとは違う違和感を感じた


ケイ「これ、コードに見えて鉄だぞ? こんなの素手どころかハサミがあっても切れない」


ユカワ「何? もう1つのコードは?」


ケイ「これは紐だが...とても丈夫で切れない」


ユカワも鉄のコードに触れその後もう1つのコードにも触れる


ユカワ「"パラ系アラミド繊維"か」


ケイ「ぱらけいあらみどせんい?」


ユカワ「あぁ、同じ重さのスチール繊維と比べて5倍の強度があり、刃物等の耐切創性に優れた代物だ」


ケイ「さ...流石教授...つまり2つとも切れないんだな?」


ユカワ「それぞれ切れない訳じゃないが相当な手間と機械が必要だろう」


ケイ「どうしたらいいんだ...無から考えるったって限度があるだろ」


ユカワ「これは水平思考ゲームに近いな」


ケイ「ウミガメのスープってやつか? 問題文だけじゃ答えが分からなくてどんどん質問してって真相に迫るやつ」


ユカワ「今の状況はまるでそうだ...と言う事はまさか」


ユカワは天井のスピーカーに向かって大声で声をかける


ユカワ「質問をしたら答えてくれますか!」


するとスピーカーから



ピンポーン!!



と正解した時の効果音が流れた


ユカワ「そういう事か」


ケイ「ちょっ...さっきから展開早すぎるって」


ケイはユカワのペースについていけず混乱する、味方としては凄く心強いがもしこのゲームをクリアして最終決戦で敵になると思うと恐怖心を覚える...だが今はそんな状況じゃない、ユカワに頼りっきりではなく自分も協力しなくてはと奔走する


ユカワ「ケイ君、僕はもう少し部屋の中とコードや爆弾について調べてみる。君はひたすらスピーカーに向かって質問をして、今の状況を鮮明な物にしてくれないか?」


ケイ「分かった」


そしてケイはひたすらに質問を繰り返す


「このゲームに制限時間はありますか」◎

「それは10分ですか」✕

「20分ですか」✕

「30分ですか」◎

「30分後には爆弾が爆発しますか」◎

「どちらか1つのコードを切れば爆弾は止まりますか」✕

「2つともコードを切れば爆弾は止まりますか」◎


ユカワ「2つともコードを切らないといけないのか」


ケイ「しかももう10分くらいたってるから残り20分だ。でも俺に鉄や繊維の知識は無い、その方法はユカワさん、貴方に任せます」


気付いたらケイはユカワに敬語を使っていた


ケイは考える暇があったら質問しようと思ったその時、一番聞くべき質問を思い付いた


「この質問に、回数制限はありますか?」



ピンポーン!


ケイ「くそ! 何も知らずに質問をいっぱいしてしまった...いくらでも質問をして答えてくれるとなれば質問に頼りきりになるのは明白、それでは暴念が求める"無"から"何か"を探しだせる人材は見つからない! こんな簡単な事に気付けないなんて」


ユカワ「いいや、簡単な事じゃない。現に僕はそんな事には気付かず質問を連発しろと君に頼んだ、質問に回数制限があるなんて気付いてるチームはほとんどいないはずだ」


ケイ「そうなのか...俺は、凄いのか?」


ユカワ「あぁ、僕は知識で、君は閃きでこの爆弾を止める、最強のペアだ」


ケイ「ありがとうございます...頑張って"何か"を見つけてみせます」


ユカワ「頼んだよ」



ケイとユカワは既に9回質問をしている。いつ制限がくるか分からないこの状況で聞くべき質問は...


ケイ「質問回数の上限は20回以上ですか?」



ピンポーン!



ケイは何回か質問を使っても上限を知るべきだと判断した


ケイ「じゃあ上限は25以上ですか?」



ブブー!



ケイ「なら恐らく20回か。今11回質問したから残りは9回、次に攻めるべき質問はこれだ」


ケイはこのゲームのクリア方法を攻めた


「爆弾を止めればクリアですか」✕

「コードを2つ切断すればクリアですか」◎


ユカワ「矛盾しているな、コードを2つ切断する事が爆弾を止める事、つまり爆弾を止めればクリアと言うことだ。なのに✕だと?」


ケイ「コード自体爆弾に繋がっていないのか、となると...すいませんユカワさん、1つ無駄に質問しちゃうかも知れないです」


ユカワ「気にするな、質問は全部君に任せた」



ケイは「コードを2つ切ると部屋から出れますか」と聞くと、ピンポーン! と鳴った



ケイ「やっぱり、つまりこの2つのコードは部屋を脱出するためのコードで爆弾を止めるコードではない」


ユカワ「全容が見えたな、爆発するまでにこのコードを切り部屋から出る事がクリア条件」


制限時間残り10分、質問回数は残り6回、まだ2つのコードを切断どころか傷さえつけれない2人は果たして脱出できるのか


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