第36話 デスコード①
ファイナリスト11人が全員カジノルーム中央に集まる。誰も喋らない異様な空気感の中ケイは要注意人物を確認していた。
まずは言わずもがなリカ。圧倒的なセンスで団体戦人狼とその後のゲームも圧勝。
次に警戒すべきはファイナリストの中で唯一ペアで生き残っているソウとリュウだ。これはリカにも成し遂げられなかった偉業で、最終戦でペアで協力しあえると言うのは間違いなく有利である。2人は兄弟で、息の合ったコンビプレーに注意だ。
そして次に警戒すべきはフルーツパーティーで相対したマイクのペア、ポールだ。ケイは初日のゲーム"命綱観覧車"でポールと喋っている、観覧車に乗り込む前から攻略法を見つけた天才だ。
そしてテレビに出ている有名人も見つけた。ユカワと言う男はハーバード大学卒のクイズ王者で心理学・確率論に通ずる天才である。
「私あの男に一度負けた事があるのよ」
一緒にパチンコを打ってからずっと隣にいるリカが話しかけてきた。
「負けた...あのユカワって男にか?」
「えぇ、東京にある非合法な賭場なんだけどポーカーであいつに600万くらい負けたわ」
「600万!? そもそもリカにそんな金あったのか」
「それまで無敗だったからね。それから色々ユカワの事調べたわ、今は67歳のおじさんでスタンフォード大学で教授をやっている。でも月に一度は孫に会うために必ず日本に戻ってくるらしい」
「ここまで生き残って妥当な人間だな」
「えぇ、ケイは要注意人物を探しているようだけどそれはここにいる全員がそうよ。ケイも含めてね」
「えっ...」
周りを見渡すとケイを見つめる視線がいくつかある
「ケイは敗者復活の3つのゲームを勝ち抜いた1人、だから皆に警戒されてるの」
「そうか...俺も自信持っていいんだな」
リカの言葉で少しだけ自信のついたケイ、すると壇上にこのホテルの代表の右腕、暴念が現れマイクを持つ。
「えー皆様、一週間の長いバイト生活もいよいよ最終日です。最後まで気をぬかないよう頑張って下さい。それでは最終ゲームの説明に入ります」
現場にいるファイナリスト、そしてモニター越しに見てる敗退者達全員が固唾を飲んで説明を聞く
暴念「ちなみに最終ゲームの内容はクイズなのですが、我々は答えを知りません」
ケイ「答えを知らない...?」
暴念「はい、我々もそのクイズの答えを知りたいのです。その為に1週間かけてクイズの正解を見つけてくれる人を探してきました。そしてこのクイズに答えるには"無"から"何か"を見つけ正解に辿り着く想像力が必要です。よってクイズの前に"想像力"を競うゲームに参加して頂きクリアした者が最終ゲーム"クイズ"に参加できます」
ケイ「最終ゲームまでもう1つ壁があるのか」
暴念「この想像力を競うゲームの名は"デスコード"です。まず皆様の前には5つの部屋があります」
暴念の合図で目の前の赤いカーテンが開き5つの黒い扉が現れる
暴念「各部屋に2人1組で入って下さい」
5日目のゲームと違い対戦相手はランダムではなく自分で選べる。ケイの狙いはズバリ要注意人物としてない人物だ、誰が弱そうか考えていると2人ペアで残っているソウとリュウのリュウが暴念に質問をする
「現在11人残っている、2人1組だと1人余るんだが?」
「ソウ様とリュウ様は2人で1人分とさせて頂きます」
ソウ・リュウと同じ部屋に入った人は2対1で戦わないといけない、ケイはそれを避ける為に急いで別の人に「一緒に部屋に入ろう」と声をかけたが却下され皆徐々に部屋に入っていってしまう
ケイ「なんで断られるんだ!?」
リカ「当たり前じゃない。敗者復活戦を見てケイと戦いたいと思う人はいないわ」
ケイ「一回負けてるんだぞ俺は...ストレートに決勝残った人達のがすげぇだろ」
こうしてどんどん部屋に人が入って行き、残ったのはリカ、ソウ&リュウ、ユカワ、ケイの4人になった。
リカ「フフッ...じゃあ私はこの人を潰してあげようかしら」
そう言いリカはソウとリュウの腕をひっぱり部屋に連れ込む」
ソウ「俺達と戦おうなんて」
リュウ「いい度胸だな」
人数的に不利な相手を自分から選ぶなんて流石リカだ...とケイは思いながらハッと自分も不利な状況にいる事を思い出す
ユカワ「君が僕の相手だな」
ケイ「ぐっ...そうなるな」
心理戦においてリカに勝った事のあるユカワが相手となった
重い足で扉を開くと部屋の中は床·天井·壁全てが真っ黒だった。そして中央には台がありその上に時限型爆弾とコードが2本ついている
ユカワ「間違えると爆発して死ぬようだな」
ケイ「どういうゲームだ...」
ザザッ...部屋のスピーカーから音が鳴る
暴念「全員部屋に入りましたね」
いよいよルール説明だ...と思い3分程待っているが一向にルール説明が始まらない
ケイ「また準備が遅れてるのか?」
ユカワ「いや、暴念はこのゲームをどういうゲームだと説明していた?」
ケイ「説明って...想像力を試すゲーム的な」
ユカワ「そう。"無"から"何か"を見つける想像力を試すゲーム、そして今は何も説明の無い"無"の状態」
ケイ「そうか、もうゲームは始まっているんだ! このどうすれば良いか分からない状況から"何か"を探すんだ!」
暴念が「全員部屋に入りましたね」と言った瞬間からゲームは始まっていた。何の説明も制限時間もどうすればゴールかさえも分からない状況からケイはクリアできるのか...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます