第32話 リャンウィン①

アカリに負けたケイは部屋で1人涙していた。


「結局俺は弱者か...」


部屋の扉が開きミオとアユが戻ってくる


「ちょ...ケイどうしたの!?」


「ハハッ、負けちゃったよ」


「...そっか、お疲れ様!」


「うん、ありがとう...」


ケイを慰めた2人は頼まれてたある物を手渡す


「ちゃんと見つけてくれたんだな、ありがとう」



~20分後~ VIPルーム"玉座"


ケイ、アカリ、リカ、ミツルの4人が揃う。敗者復活の司会をずっと担当してきたヒカリが今回も部屋にいてマイクに「あー、あー」と声をかけている


ヒカリ「えー各部屋の皆さん! 中継は見えてるかな? それでは敗者復活最終戦を始めま~す! ちなみにイカサマ防止の為プレイヤーの4人は事前に持ち物検査を受けていますので、スマホを使っての不正等はできません!」


ヒカリは相変わらずのテンションのまま4人を丸型のテーブルに向かい合わす様に座らせる。


ヒカリ「今回のゲームは"リャンウィン"です」


"リャンウィン" ルール説明


①1人10枚チップを持っている


②好きな枚数チップを握りオープンの合図で手を開く(最低でも1枚は持たないといけない)


③チップを出した枚数が2番目に多い人が場のチップを総取りする


④先にチップを35枚集めた人、もしくはチップの枚数が0になった人が出た時、その時点で1番チップを持ってる人が勝利



ヒカリ「簡単なルールでしょ? とりあえずデモプレイしてみよっか」


ケイは渡されたチップを全てポケットに入れ、その中から5個だけ手に握りテーブルの上に出す。その後全員がテーブルの上に手をグーにした状態で出し、ヒカリの「オープン!」の合図で手を開く



チップの個数

ケイ5個 アカリ6個 ミネ6個 ミツル3個


ヒカリ「今回は同率1位が2人いるから、次に多くチップを出したケイ君がチップ20個総取りでーす!」


ミツル「同率1位の人が2人いても次のケイの順位は3位じゃなくて2位なんだな」


ヒカリ「はい、順位は基本上になぞります。そして2位の人が複数いたらチップは山分けとなり、全員が引き分けになったらその時場に出たチップはキャリーオーバーとし、次のターンで勝った人が貰えます! ルールは分かったかな? 決着が着くまで何ターンでもやるよ! それではスタート!」



ミネ「アカリ、ケイ、再び戦えるわね」


アカリ「楽しみね」


ケイ「団体戦人狼では一泡吹かされたな」


ミツル「おいおい、俺を忘れるなよ? お前のペアにコテンパンにやられたんだからな」


ケイは改めて凄いメンツだと感じた、そして自分がすべき役割も考えた


ケイ(このゲームで10と9が出る事は絶対に無い。何故なら10を出すと絶対に1位になってしまうから、そして10を出す人がいなければ9を出す人も絶対にいない。だからこそ俺は10を出すべきだ、そしてアカリが9を出せば確実にアカリを2位にでき、かつ俺がチップ0枚になりゲームが終わる。これで100%アカリが優勝で決着だ)


このゲーム"リャンウィン"は2人が結託すれば100%勝てるゲームだ、第1ターンでケイが10、アカリが9で決着する。


ヒカリ「では皆さんチップを握って下さい!」


ケイはポケットに手を入れチップを一気に握りテーブルの上に手を伸ばし待機する。その後全員がグーの手をテーブルの上に出した


ヒカリ「全員オッケー? ではオープン!」


全員が手を開く。アカリはケイと協力している為9個チップを握っていたが、他の2人のチップ数が謎めいていた。


アカリ「何故ミネもミツルも9個なの?」


アカリとミネとミツルはチップを9個握っていた。ケイがチップを10個握ってると3人が2位となりチップを山分けする事になりアカリ優勝が遠退く...が、ケイの出したチップの数は......


アカリ「ケイ、やりやがったわね」


ケイのチップ数は、"8"だった。


ミネ「裏切ったのね」    

 

ミツル「そういう事か...」



ヒカリ「ななななんと! 1発で勝負が着いちゃいました! 見事敗者復活戦を制したのは、ケイ君で~す!!」


ケイ「アカリ、ミネ、ミツル...すまないな」


ケイが手助けをする約束をしていたのはアカリだけでは無かった...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る