第18話 ハーフラインオークション②
ケントは過去6回人を殺しているが、全てアリバイを作り完全犯罪を成し遂げた。だが本当に凄いのはアリバイ工作を事前に用意するのでは無く、人を殺した後にその場にあるものでアリバイを作ってしまえるアドリブ力だ。
〜ハーフラインオークション1回戦〜
ジャンケンの結果ケントが先行となる。
リカ「私の事絶望させて下さいね」
ケント「俺にも絶望を味あわせてくれ」
ディーラー「それではホワイトボードに数字を3つ、その内1つに印を付けて提出して下さい」
リカとケントが提出を終えディーラーがタブレットに2人の書いた数字を左から小さい順に入力、そして2人に公開する。
リカの書いた数字/1・2・3
ケントの書いた数字/10・50・100
ケント「舐めてるのか? 1、2、3を書いても数字の差がほぼ開かず俺はリカがどの数字を選んだか予想しなくて良くなる。対してお前は俺の数字を予想出来ないと大差がつくぞ」
リカ「ハンデです。貴方と私が平等になる為の」
ケント「...お前必ず殺してやる」
ディーラー「それではケントさんからどちらかがストップを言うまでオークションを進めて下さい」
ケントが10、リカが1を選んだ場合平均値が5(小数点切り捨て)になるのでケントは"4"を宣言した。それに対してリカは"5"を宣言。そこから2人の宣言は "6" "7" "8" と数字を1ずつ上げるだけだったが、ケントの宣言が22になった時勝負が動いた。
リカ「ストップします」
ケント「は!? お前21で良いのか?」
リカ/1・2・3
ケント/10・50・100
現在22までカウントが進んでいるので、
1-10(平均値5)2-10(平均値6)3-10(平均値6)であるパターンは既に消えているのだ。ケントが数字を上げ続けていると言う事はケントの選んだ数字は10では無く50か100と言う事になる。
そして次に近いパターンが1-50の平均値25だ。リカは23とも24とも言えるのに、あえて21でストップした。
ケント「俺が100を選んでいたら仮にお前が1を選んでいたとしても平均値50。それから俺の宣言した数字22を引いて28点俺に入るんだぞ」
リカ「私は私の読みを信じてるので」
ディーラー「リカさんからストップがかかったのでケントさんが22、リカさんが21でオークション終了です。そして正解の平均値はリカさんが"1"、ケントさんが"10"を選んでいた為平均値は"5"です。2人とも平均値を越してしまった為、よりオーバーしてしまったケントさんが差分の17点マイナスです」
ケント「クソ野郎が...」
今回もモニター越しにリカの試合を見ているケイ達は今起こった出来事について話していた。
ミオ「なんでケントは10を選択していたのにオークションの時"4"を宣言してストップしなかったの?」
アユ「リカが1・2・3しか書かなかったから平均値が5か6である事は確かよね」
ケイ「ケントは2人とも平均値を超えてしまった時に起こる "より平均値を越してしまった方が越した分だけマイナス" と言うルールを使いギリギリまで数字を釣り上げリカのマイナスを増やそうとした。だがそれをリカに読まれ逆にケントがマイナスを増やされたんだ」
ミオ「よくあの状況でリカはケントが10を選択してると気づいたわね」
ケイ「リカは俺達の何倍も見えてる世界が違うんだろうな」
こうしてリカ0点VSケント-17点で第1試合は終わった。続く2回戦2人が書いた数字はこうだ。
リカ/1・50・100
ケント/10・50・100
今回ケントは100を選択した、第1試合の負けを取り返す為点差を多くつけたいのだ。
リカが先行で"4"を宣言し続くケントは"5"を宣言、その次リカは一気に"49"を宣言した。お互いが"50-10"を選択していた時の平均値"30"の可能性をスルーし、"50-50"の時と"1-100"が選ばれていた時の平均値"50"を1下回る数字を宣言。
ケント「クソッ...50を宣言」
リカ「ストップで」
ディーラー「リカさんからストップがかかったのでリカさんが49、ケントさんが50でオークション終了です。正解の平均値はリカさんが"1"、ケントさんが"100"を選んでいた為平均値は"50"となりケントさんはオーバーしてしまいました。リカさんには1ポイント入ります」
ケントの苛立ちは頂点に達し心の中で叫んだ
ケント(クソッ! 俺は1回戦も2回戦もリカの選択した数字を知ってる! 直感じゃなくイカサマで確実に分かってるんだ! なのに何故負けるんだ!?)
ケントが"スローダイヤ"でアカバを倒した時も、イカサマで相手がダイヤを何個小箱に入れたか知っているからコールド勝ちできたのだ。そのイカサマの方法は、モニター越しに見ている仲間からの"通し(合図)"だ。仮に相手がダイヤを10個入れたらケントの仲間は携帯で10回通知を送る。ケントはその通知の振動した回数で相手のダイヤの数を把握していた。携帯を消音モードにしておく事で通知音は出ず振動だけが来るようになる、これは昔からケントとその仲間が使っていたトリックだった。
今回もリカが印の付けた数字を振動の回数で把握していた、なのにリカには勝てないのだ。生まれて初めてケントは恐怖を覚えた...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます