第17話 ハーフラインオークション①

ケント「雑魚が、ここで死ね」


ヤマト「や、やめろ! サイコパス!」


1日目のゲーム"命綱観覧車"でケントはヤマトを暴力で支配し、ゴンドラに乗ってすぐ観覧車から落とすのでは無く、あえて高い所まで上がってからヤマトを落としたのだ。


ケント「死ぬ直前の絶望の顔...実に愉快。これだから殺しはやめられないな」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


5日目トーナメント2回戦


スローダイヤの決着後、休憩時間は無く会場から出られないままリカとケントはB卓に座った。


リカ「ケントさん、よろしくお願いします」


ケント「なんか、つまらないよな」


リカ「何がですか?」


ケント「昨日の団体戦人狼も、今日のゲームも、人が死なない」


リカ「確かに3日目までは人が沢山死んでますからね、4日目まで残った人間は優秀で利用価値があるから、殺さずにいるんじゃないでしょうか」


ケント「冷静だな...お前の絶望した顔が見たい」


リカ「奇遇ですね、私も絶望してみたいです」


支配人が壇上に上がり各席にディーラーが配置される。


支配人「これより第2戦を始めます。現在ダイヤを誰がどのくらい隠し持っているか把握できていない為、ダイヤを使わない別のゲームで勝負して頂きます。その新たなゲームの名は"ハーフラインオークション"です。それではルール説明を各ディーラーからお聞き下さい」


そうして各席にいるディーラーからホワイトボードを渡され"ハーフラインオークション"の説明を受ける


ディーラー「まずお2人には1〜100の数字を小さい順に3つ書いていただきます」


リカとケントはそれぞれホワイトボードに3つの数字を書き込む。テーブルの仕切りは置かれたままなので相手に数字が見える事は無い。


ディーラー「そして3つの数字のうち1つに丸など印を付けて提出して下さい」


2人は書いた数字の内1つにマークを付けディーラーに提出する、ディーラーはタブレットを取り出し2人が書いた数字をタブレットに入力する


ディーラー「2人が書いた数字をこちらのタブレットに映します、付けたマークは映されません」


リカの数字/1・2・3

ケントの数字/20・50・80


ディーラー「お互いが付けたマークの数字の平均値が今回の正解となります」


ケント「もし俺が50にマークを付けていて、リカが2にマークを付けていたら26が正解と言う訳だな」


ディーラー「その通りです。平均値を決めたら先行プレイヤーからオークションに入ります。まず先行後攻を決めて下さい」


ジャンケンの結果リカが先行となる


ディーラー「リカさんから平均値を予想しそれを超えない数字を宣言して下さい。超えると負けになります」


リカ「...9」


ケント「なるほど、書いた数字がリカが"1"で俺が"20"だった場合平均値は小数点切り捨てで"10"となる。それをギリギリ超えない数字が"9"か」


ディーラー「続くケントさんも宣言できますが、前回リカさんが"9"を宣言したのでそれを超える"10"以上の数字しか宣言できません」


ケント「...じゃあ"20"」


ディーラー「続いてまたリカさんのターンです。"21"以上の数字を宣言するか、ストップも宣言できます」


リカ「じゃあストップで」


ディーラー「1人がストップを宣言した為そこでオークションは終了、結果発表です。リカさんは"9"、ケントさんは"20"を宣言、そして正解の平均値は40でした」


リカは"1"、ケントは"80"に印を付けていた。


ディーラー「40に近い数字を書いたケントさんが勝利、20を宣言していたため40から20を引いて20点が加算されます」


ケント「平均値に近い方が勝利だけど離れていた方が点数が多く入るのか」


ディーラー「それがこのゲームの醍醐味です。もし平均値を超えたらゲームオーバー。2人とも平均値を超えてしまった場合は、より平均値から離れていた方が離れた分だけ点数がマイナスされます。これを先行後攻2回ずつ計4回戦で勝負を決します」


〜ハーフラインオークション〜


①1〜100の数字を小さい順に3つ書く。

②書いた3つの数字の内1つに印を付ける。2人が印を付けた数字の平均値が正解となる。

③2人が書いた3つの数字がオープンされる

④先行からオークションを行う。平均値を超えない数字を宣言する

⑤後攻のプレイヤーは先行プレイヤーの宣言した数字より高い数字を宣言する。これを先行後攻繰り返す

⑥どちらかがストップを宣言したらオークションをやめ結果発表へ

⑦正解の平均値に近い方が勝利、平均値から宣言した数字を引いた数字が点数となる


平均値を超えると点数は貰えず、2人とも平均値を超えた場合は、より平均値から離れてしまった方が離れた数字分減点となる



リカ「相手がどの数字に印を付けたかを予想する心理戦、点数を一気に稼ごうと平均値に近づきすぎないギャンブル性、相手に平均値より上の数字を宣言させる駆け引き、面白いゲームですね」


ケント「フン、何にせよ俺に負けは無い」


こうして2人の究極の心理戦"ハーフラインオークション"が始まった







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