第19話 ハーフラインオークション③
2回戦を終えて現在
リカ"1点"VSケント"-17点"
〜第3試合〜
ケイ達はモニターでリカの手元を見ているが、今回リカはホワイトボードを持って書かずテーブルに置いて頭を下げて書いていた為、書いた数字が見えなかった。だが書き終えて頭を上げた時に数字が見えた。ケイ達に見えないのはどうでも良いが、ケントの仲間が一瞬見えない事に冷や汗を書いていた。だが結局数字と印は見えたので今回もケントに通知を使って数を報告した。
2人がディーラーにホワイトボードを提出、その後2人の数字が公開される前にリカがディーラーに向かって「ケントさんがイカサマをしています」と伝えた。
ディーラー「具体的にはどういったイカサマでしょうか」
リカ「恐らくモニター越しに見ている仲間から携帯の通知などを使って相手の数字を把握しています」
ケント「そんな事はしていない」
ディーラー「もししていないなら試合が終わるまでスマホはこちらでお預かりします」
ケント「ぐっ......」
ケントはやむを得ずスマホを渡した。そして改めて2人の数字が出てオークションが始まる
リカの数字/2・98・100
ケントの数字/1・50・100
ケントは1を選択した。そしてリカが2を選択している事も分かっている為、ケントは既に正解の平均値"1"を導き出している。
ケント(ここは限界まで数字を釣り上げるしか無い...現在2人の点差は18点、ここで20点取れれば一気に勝利に繋がる。とりあえず今は1を宣言しよう)
ケント「宣言、1」
リカ「宣言、25」
ケント「フフッ...フハハハハ! バカ! 俺が50を選んだと思ったか? 残念、俺は1を選択しお前は2を選択している! つまり正解の平均値は "1" !! お前は今24もオーバーしたんだよ! これで逆転だ! ストップ!!」
ディーラー「ケントさんからストップがかかったためオークション終了です。正解の平均値はリカさんが"98"、ケントさんが"1"を選択し平均値は"49"です」
ケント「フフッ...フッ...は?...49? そんな訳ねぇだろ! 平均値は1だ!」
ディーラー「いいえ、確かに49です」
ケント「なん....でだ...」
ディーラー「リカさんには24点入ります」
リカ「分かりませんか? 貴方のイカサマなんて簡単に見抜けてたんですよ。今回私は2・98・100と書きましたがモニター越しの仲間には96・98・100と見えていたんです」
ケント「だが実際は96が2になっている。仲間から2回振動が来たから俺は2が正解だと思ったが実際は2番目に数字が大きい98という意味で通知がきたのか。でも仲間がバカ正直に98回通知を送ってくる可能性もあったぞ」
リカ「90以降の数字なんて何回も通知送ってたら分からなくなっちゃうでしょ、だから仲間は90以降の数字しか無い今回なら2と送るだけで分かってくれると思い送った」
ケント「俺が2番目に高い数字を指しているかも知れないと気付かない根拠は?」
リカ「私は第1、2試合、チュートリアルなど全て1にしか印を付けて来なかった。つまりスマホから来る1回の振動が私が書いた数字の分だけ送ってるのか3つの数字の中で1番小さい数字だから送っているのか貴方は分からなかった」
ケント「確かにリカが1・50・100など書いていて2回通知が来れば簡単に50だと分かる。今まで1にしか印を付けない事でその当たり前の認識が疎かになっていた...3つの数字の内に "2" があれば2回の通知が "98" を指しているとは思わないだろう...そうさせられたんだ。だが後一つ大きな疑問が残る、そもそも俺の仲間に96を2だと思わせた方法はなんだ?」
リカ「それは簡単ですよ。ホワイトボードがモニターに映らないように頭を下げて"2"と書いた後、その上に紙の切れ端を重ね、今度はモニターに映るように紙の上に96と書いたんです」
ケント「クソッ...紙をちぎる音なんてしなかった。偶然小さいサイズの紙を最初から持っていたのか、運がよかったな」
リカ「違いますよ。貴方との勝負の為に持ってきたんです」
ケント「何言ってる? スローダイヤ終了後休憩時間なんて無かっただろ」
リカ「私はスローダイヤの途中で貴方が仲間からモニター越しにダイヤの数を教えてもらっていると気付きました。覚えてませんか? 私が途中会場から退出したの」
ケント「...まさかあの時!!」
リカ「はい。ミネからダイヤを受け取る為に会場から出ましたが、次戦貴方とスローダイヤで戦う事を考えてモニター越しに小箱の中にダイヤが入っていないように見せる為、小箱に入るサイズの小さい紙をダッシュで自分の部屋から取って来たのです。その後ミネからダイヤを受け取り会場に戻った」
ケント「だからあの時あんなに息切れしてたのか...あの時にはもう俺と戦う事を考えて小箱にダイヤを入れた後白い紙切れを上から入れモニターからダイヤを隠そうとした。だがゲームがハーフラインオークションに変更されてしまって使い道が無くなったと思われた白い紙切れが実際トリックに使えた訳だ」
リカ「もしゲームが変更されてもモニターのイカサマに頼ってる貴方を欺くのは簡単、イカサマを気づかれた時点で貴方の負けですよ」
ケント「...スローダイヤの時、まだお前と戦ってもいない時点でもう負けていたのか」
リカ「はい。でもまだ第4回戦が残ってますから、勝負は最後まで分からないですよ」
ケント「いいや、もう点差は42点。お前はまた1・2・3と書き25を宣言すれば確実に勝てるんだ、俺の負けだ」
リカ「私が今持ってる点数を全て捨てると言ったら?」
ケント「...は? お前何言ってるんだ?」
リカ「ディーラーさん、双方が納得していれば今の2人の点差を0にしても良いですよね」
ディーラー「はい...双方が納得していれば」
ケント「リカ、それでお前に何のメリットがある?」
リカ「勿論条件はあります。ケントさん、ポケットにナイフ入ってますよね? それを私に貸してください」
ケントは殺人用のナイフを取り出しリカに渡す
リカ「もし私が次の試合で勝ったら、貴方を殺します。それが条件です」
ケント「...気でも狂ってんのか?」
リカ「いいえ、これは私の善意です。絶望を味わいたいと言っていたので」
ケント「フフッ...面白い。その善意ありがたく頂戴しよう」
リカ「ディーラーさん、私が勝ったら殺すと言う条件も双方が納得していますが」
ディーラー「分かりました。もしその結果になったら私達が責任を持って処理しますので、思う存分殺して下さい」
リカ「フフッ」
こうして元々あった42点差は0になり、最終戦が行われる事になった。
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