第20話 ハーフラインオークション④

ケントは負けたらリカに殺される、と言う条件で点差は0になり最終戦へと突入した。


2人は数字を書き提出、ディーラーがホワイトボードを見ながらタブレットに数字を打ち込んで公開、いよいよケントの命懸けの勝負が始まった。


リカの数字/10・20・30

ケントの数字/10・20・30


ケント「奇しくも同じ数字か」


ディーラー「それでは先行のリカさんからオークションを始めて下さい」


リカ「......29」


ケント「最初から2人の最大の数字"30-30"の平均値狙いだと!?...グッ...」


リカ「どうやら私の勝ちみたいね」


ディーラー「はい。2人の選んだ数字は共に30なので、たった今ケントさんの勝ちは消えました」


ディーラーが言葉を言い終えた途端リカは机に飛び乗り仕切りをふき飛ばしケントの首をナイフで切り裂く


ケント「ぐわっ!!」


リカ「フフッ、それくらいじゃ死にませんよ、もっともっと苦しませますからね」


ケント「や、やめてくれ! 悪かった! もう殺しなんかしない! だから、ぐあっ!!」


リカはケントの言う事に聞く耳を持たず今度は太ももを刺す


ケント「ぐぁーー!! う...もう、殺してくれ! 頼む! 苦しい!!」


殺してくれと言う言葉にリカは冷めた顔をしナイフを床に捨て小さな声で言った


リカ「殺してくれだなんて...死にたい人殺して何が楽しいの...生きたいと強く願う人を殺すから気持ちいい...ケント、貴方はそれを理解してくれる人だと思ってたのに」


リカは捨てたナイフを再び持ちディーラーに渡す


リカ「ディーラーさん、貴方さっき私達が責任を持って処理するって言ったわよね? なら貴方が殺してくれる?」


ディーラー「え......いや、私は」


リカ「貴方が言った事よ? 運営側が殺しを容認してるんでしょ、なら貴方が約束破って殺さないとなると運営者は貴方をどう思うでしょうね...」


ディーラー「どう思うとは...?」


リカ「間違いなくクビよ。そして離島だから海にポイッ、じゃない?」


ディーラー「そんな...」


リカ「しかもケントが負けたのも貴方のミスじゃない」


ディーラー「私のミス...とは?」


リカ「貴方は私達が書いた数字を見てタブレットに数字を入力するけど、印のついた数字を打ち込む時だけホワイトボードを二度見する癖があるのよ。だから簡単に相手の数字が分かっちゃうわけ」


ディーラー「そんな...」


リカ「ほら、さっさと殺りなさいよ」


ケント「もういい...自分で死ぬ」


ケントはディーラーが持ってるナイフを取ろうとするが、リカはその腕を踏み潰す


ケント「グァ!」



暴念「そこまでだ!」


服装からしてゲーム主催者のかなり上の立場であろう人物が一連のやり取りを見てこの場にやって来た。


暴念「リカ様、うちのディーラーがご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。代わりに私がケント様を殺害すると言う事で場を収めて頂けないでしょうか」


リカ「イヤです。私は善意で、このひ弱なディーラーさんに殺人の快楽を教えたいのです」


暴念「...わかりました。おい、お前なんて名前だ?」


ディーラー「はい、大塚です」


暴念「大塚、ナイフを横に持って心臓を刺すんだ、縦に持つと骨に引っかかって死なない可能性がある」


大塚「え...僕には無理です」


暴念「やれ!!!!!」


暴念の怒号が飛び大塚は覚悟してナイフを横向きに持つ


大塚「う...うわぁ〜〜〜!!!!」


大塚は泣きながら大声を出してケントを刺す。



ケントは絶命した。大塚も意識を失いその場に倒れた。


暴念「リカ様、後はこちらで処理致します」


リカ「はい。最後に一つだけ良いですか?」


暴念「なんなりとお申し付け下さい」


リカ「ケントの死体に、月下美人の花を添えてあげて下さい」


暴念「かしこまりました。おいお前ら、始めろ」


暴念は部下達に死体の処理を任せ自室に戻りパソコンを開く。


暴念「月下美人の花言葉は..."危険な快楽"か」



ハーフラインオークションは終了し、最終日に進むファイナリスト10人が決まった。





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