第21話 決勝前の休日

〜6日目朝〜

2018年7月23日。富山県付近にある離島、そこにあるリゾートホテルジュベナイル。


ケイとミオは朝食の時間になるまでダラダラしている。6日目は休み。2人は既に脱落しているので実質5日目も休みだったが、どこか緊張感がぬける


ケイ「ミオ、そろそろ帰る準備でもしようか」


ミオ「そうね...色々あったけど、ケイとここに来れて良かったよ」


ケイ「だな、上には上がいすぎて、賞金貰えないのが悔しくもない。帰っていつもの生活に戻ろう」


ミオ「賞金なんて最初から無理だったのよ! でもこのリゾートを楽しんだと思えば最高よ」


1日目...命綱観覧車

2日目...謎解きゲーム

3日目...極寒巨大迷路

4日目...団体戦人狼

5日目...スローダイヤ

ハーフラインオークション


2人は今日までの5日間を思い返していた。


ケイ「ミオ、明日のゲーム、気になるか?」


ミオ「気になるけど、見るの怖いかも」


ケイ「そうだよな。リカのあんな所見ちゃったら...むしろ脱落して良かったな! 危険な目に遭わないですんだんだから」


ミオ「ね! こんなゲーム2度とやるもんか」


そうして2人は笑い合った。荷物をある程度まとめて少し散歩しようと部屋のドアを開けるとそこには意外な人物が立っていた


ケイ「何故アカリが...?」


アカリ「入るわよ」


ケイ「ちょっ...」


片付けられた部屋を見てアカリはため息をつく


アカリ「ケイ、貴方は団体戦人狼で私の意図を完璧に読み取って動いた。少しは優秀だと思ったのに」


ケイ「何を今更、負けたんだよ俺達は」


アカリ「バカね。4日目から人が死ぬゲームが無いのは何故か考えなかったの?」


ケイ「そう言えば確かに」


アカリ「4日目まで残った人間は優秀な人間として死ぬ可能性のあるゲームをさせなかったのよ」


ケイ「つまりまだ俺達にも価値があると?」


アカリ「そう。で、6日目が休みとなればそれは」



ザザーーッッ...館内スピーカーから音がでる



支配人「皆様おはようございます。本日はお休みですが、4日目までに脱落した人は既に休みを貰っている事でしょう。その人達は今日敗者復活戦に参加して頂きます」


ケイ・ミオ「敗者復活!?」


アカリ「やっぱりね」


支配人「ただし細かい参加条件がございます。詳しい情報はロビーにて展示します」


ケイ「まだ賞金のチャンスがあるのか! ミオ! ロビーに行くぞ!!」


ミオ「うん!!」


その後アユとも合流し3人で壁に張り出されている敗者復活戦の参加事項を読む。


"4日目まで生き残った人のみ敗者復活戦に参加可能。2人以上で4日目に残っている者は代表者1人のみ参加できる"


ミオ「私に参加権は無いのね」


ケイ「あぁ、4日目まで残ってた俺かアユどちらかが参加できるみたいだ」


アユ「なら参加するのはケイね。私より実力があるのは認めてるわ」


ミオ「......アユが参加するか、2人とも参加しないって言うのはどう?」


ケイ「何言ってるんだ?」


アユ「そうよ! ケイが参加するのが1番勝てる可能性あるのよ」


ミオ「ケイに、危険な所に行って欲しく無い」


ケイ「気持ちは分かるが、4億に手がかかってるんだぞ!」


ミオ「今日の朝お金いらないって言ったじゃん! 帰っていつも通りの生活に戻ろうって」


ケイ「...分かってくれ。こんなチャンス2度と無いんだ」


ミオ「死ぬかも知れないんだよ! アカリも言ってたじゃん! 4日目まで残ってた人はまだ価値があるから生きてるけど、敗者復活戦で負けたらもう価値の無い人! なら負けたら死んじゃうかもしれない!」


ケイ「何言ってんだよ! 2度と無いチャンスなんだ! 手放せる訳無いだろ!」


ミオ「なんで!? 私はただケイに死んで欲しくないの! だからアユに譲って辞退して!」


アユ「私はどっちでもいいけど」


ケイ「ダメだ! 俺が必ず勝つ! ミオ、信じてくれ!」


お金に目がくらみ理性が保てなくなっているケイを見てミオは涙が止まらなくなり走って自室に戻ってしまう


アユ「あんた、いいの?」


ケイ「勝ち残ればミオも納得するだろ、受付に参加するって伝えてくる」



ケイは受付に行き参加を伝えると敗者復活戦の細かいルールを聞く。


受付「ケイさんは4日目に脱落しているので敗者復活の予選会に参加して頂きます。予選会で勝ち抜くと敗者復活の本戦に出場でき、5日目に脱落した人達と明日のゲームに進める1枠を争って頂きます」


最後に集合時間と場所を聞き受付を終える。


ケイ「4日目より5日目に脱落した人の方が有利になっている、まぁ妥当か」


アユ「そうね...ケイ、本当に気をつけなさいよ。死ぬかも知れないんだから」


ケイ「分かってる、安心してよ」




〜10時〜


予選会に参加する66人が6人ずつ11つのグループに分けられそれぞれ別の会議室に入れられる。


ケイは6つあるイスの1つに座り待っていると、スピーカーから音が流れる


ヒカリ「皆様ごきげんよう! 各部屋の皆聞こえてるかな? 私は今回のディーラーを務めるヒカリでーす! 皆楽しんでね!」


スピーカーから聞こえてきた声は、声優の様に綺麗な、若い女性の声だ。


ヒカリ「それでは早速今回のゲーム名を発表します! それは〜...皆で協力! ワクワクフルーツパーティ〜!!」


こうして敗者復活予選会、全く予想のつかないフルーツパーティーが始まった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る