第28話 わらしべ長者③
ケイ「今すぐ藁のカードを手に入れるんだ」
ミオ「藁!? あんなに頑張って車のカードを手にしたのに?」
アユ「そうよ、藁って1番最初のカードじゃない!」
ケイ「これを見ろ!!」
ケイは資料館にある文章を指差す
ミオ「これって...ちょうど100年前」
アユ「しかもこの場所で!」
現在2018年7月23日、富山県付近の離島。
遡る事100年前、1918年7月下旬、富山県では米騒動が起こっていた。
「米騒動」とは、1918年(大正7年)に米価の値上がりを直接の原因として起こった全国的な民衆騒動のこと。発端は、富山県の漁村の主婦達が安売りを求めて米屋へ押し掛けたこと。これを新聞が「越中女房一揆」(えっちゅうにょうぼういっき)として報道したことにより、米の安売りを求める騒動が大都市を中心に広がった。政府は、軍隊によってこの騒動を鎮圧する事態にまで発展した。
ケイ「ヒカリが "家では家事に追われる毎日" と言っていただろ、当時の価値観では家事は女がやるもの、つまり設定上プレイヤーは主婦、まさに一揆を起こしてる最中なんだ」
ミオ「この時期だけは何よりも米が大事、だから稲の絵が書いてあるカードが最も価値があるのね!」
アユ「ヒカリってヤロー、バカみたいに見えて藁のカードに稲の絵書いたのもワザとだったのか、キレる奴じゃねぇか」
ケイ「恐らくヒカリをゲームマスターにしたのもそこが理由だ。今までみたいに真面目な支配人がゲームを仕切ってたら、藁のカードに稲の絵を書いてしまうなんてありえない、何か意図があると思われてしまう。だからあえてバカみたいな奴にゲームマスターを任せたんだ」
ミオ「そうと分かれば早く藁にしましょ!」
ケイ「あぁ、残り時間はもう8分しか無いのにここから車→馬→布→ミカン→藁にしなければならない。1つ飛ばしでの交換は許されてないからな」
ケイは資料館を出てロビーに走り大声で叫ぶ
ケイ「馬持ってて車のカード欲しい奴! 10万で交換してやる! しかしプレイヤーじゃない奴だ!」
アホジロウ「買った!!」
交換はすぐに成立した、そしてアホジロウは入手した車カードをプレイヤーに15万で売っていた、ゲームも終盤の為価格が高騰している
ケイ「布持ってる奴! 今度は馬を無料で交換してやる!」
クズノスケ「無料だと!貰い〜!」
ケイ「今度はミカンの奴だ! 交換してやる」
マヌケ「お前なんか怪しいな、何故カードのランクを下げる?」
マヌケに違和感を感じ取られた
マヌケ「まぁ分かんねぇが意味があんだろ、2万で交換してやる」
ケイ「ならお前とは交換しない、他のミカン持ってる奴の所に行く」
マヌケ「まってまって! 無料で交換します! 少しでもランク高いカード欲しい!」
ケイ「よし、交換成立、あとは藁持ってる奴! 交換しにこい!」
流石に終盤でのケイの動きは周りに不信感を与え、藁を持ってる敗退者はケイからお金を取れるんじゃ無いかと踏み、藁を持った敗退者全員が交換に2万円を提示してきた。
ケイ「そんな金くれてやる! ほら2万だ!」
バカボン「やったー! 藁が2万だ!」
こうして制限時間残り1分でケイは藁(稲)を入手した。それから40秒後、ドラの音が鳴りヒカリが「終了〜、プレイヤーは全員資料館に集合」と言った。これにてわらしべ長者終了
ヒカリ「結果発表〜! 100年前の世界観は楽しかった? ではわらしべ長者の優勝者は...4名います!」
場が騒めく...藁が正解と知っているケイはそれ程驚かないが、米騒動に気付いた人物が他にも3人いたなんてとビックリする。
ヒカリ「その4名は...ケイ君! アカリちゃん! ミネちゃん! ミツル君で〜す!」
ケイは全員を知っていた。ミネは団体戦人狼で戦ったリカのペアだ。そしてミツルはスローダイヤでリカと戦い敗北したチャラい奴。
ヒカリ「この4人には明日のゲームに進める1人を決める為、最終決戦を行って貰います! とりあえずわらしべ長者で疲れたから集合は1時間後、60階にあるVIPルーム "玉座" までお越しください!」
こうしてわらしべ長者は幕を閉じ、敗者復活をかけた最終決戦に挑む...だがケイの敵は3人とも強敵、単純な勝率で言えば1/4だが実際は1/10と考えている。そこでケイは勝率を1/2まで持っていく方法を思いついた。
ケイは資料館を出る直前、"5分後俺の部屋に来い"と書いた紙をこっそりアカリに渡した。そして自分の部屋に戻りミオとアユに頼み事をする。
ケイ「......................................」
ミオ「分かった、やってみるわ」
アユ「了解」
ミオとアユが頼まれ事で部屋を出ると同時にアカリがアオイとミドリを連れて部屋にやってきた
ケイ「よく来たな」
アカリ「なんのつもり? 1時間後私達は敵として戦うのよ」
ケイ「あぁ、その話で相談なんだが、相手はミネとミツルだ、勝てると思うか?」
アカリ「そりゃ難しいだろうけど、やるしか無いわ」
ケイ「そこで相談なんだが、協力しないか? 4人で行うゲームを2人が協力すればほぼ100%勝てると思うんだが」
アカリ「確かに少人数のゲームで2人が協力すればほぼ勝てる、でも今回は明日に進む1人を決める最終決戦、2人とも勝ち上がれるなら協力しても良いけど、1人しか勝ち上がれないのよ。悪いけど協力はできない」
ケイ「ならその明日に進む1人を今決めよう」
アカリ「は?」
ケイ「今この場で勝負して、負けた方は勝った方の手助けをする。どうだ?」
アカリ「それは面白い。でもここで負けたからって本番で協力してくれるとは限らない、手助けしても何のメリットも無いんだから」
ケイ「俺かアカリ、勝った方が明日のゲームに進み優勝したら負けた方にも賞金を山分けする、これでどうだ?」
アカリ「なるほど...私とケイどっちが明日のゲームで優勝しても賞金はケイ達と私達のペアで山分け、なら今勝負して強かった方に明日のゲームを任せた方が良い、そう言う事ね」
ケイ「あぁ、無策で戦いに行くより協力した方が絶対良い、今勝負して強かった方が明日のゲームに進み6人分の賞金を取ってくるんだ!」
アカリ「という訳だけどアオイ、ミドリ、それで良い?」
2人は頷く。
アカリ「ケイのペア2人は許可取ってるの?」
ケイ「取ってある、そしてイカサマを疑われないように部屋を出て行って貰った、だからアオイとミドリも部屋を出てくれ」
こうして部屋にはケイとアカリだけになった。
ケイ「そうとなればアカリ、勝負だ!!」
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