第26話 わらしべ長者①

2018年7月23日午後1時 〜6日目〜



見事敗者復活の予選会を勝ち抜いたケイ、他の部屋で行われている予選会も全て終了し16人がフルーツパーティーをクリア。ここから5日目に脱落した29人(本来は30人いるがケントが死亡した為1人減っている)と合わせて計45人で本戦を行う。


本戦で戦う45人は"資料館"に集められると、そこには透明感ある金髪の美人が立っていてマイクに向かって「あー、あー」と言っている。この声は予選会でスピーカーから流れていたヒカリの声だ。


ヒカリ「生き残った皆おめでと〜! フルーツパーティーではいっぱい人が死んじゃったけど、本戦では死ぬ危険は無いから安心してね。では早速本戦のゲーム名を発表します! それは、"わらしべ長者"です!」


昔話:わらしべ長者とは、ある1人の貧乏人が最初に持っていた藁を物々交換を経て行くにつれて、最後は大金持ちになるお話である。


ヒカリ「この"わらしべ長者"はね、私が作ったゲームなんだ! 皆楽しんでね。とりあえず皆様にこちらをお渡しします!」


プレイヤーはスタッフから10万円と藁の絵が書かれたカードを受け取る


ヒカリ「ごめんね、カードの絵は私が書いたんだけど絵で藁を表現するの難しくて稲を書いちゃった! でも見た目そんな変わらないしそんな細かい事気にしない! では早速ルール説明して行くよ〜」


テキトーだなこの人、とケイは思いながら話を聞く


ヒカリ「まず皆には100年前にタイムスリップして頂きます!...ここは100年前、当時は景気も悪く皆は貧乏人、今日を生きるのがやっと!」


ヒカリは声に強弱を付け1人芝居をしながら説明をするがあまりの大根芝居に話が中々入ってこない。


ヒカリ「家でも家事に追われる毎日、今の生活を変えたい...そこで貴方は手に持っている藁を使い何か出来ないかと模索します! ここからわらしべ長者のルールです!」


まだルール説明じゃ無かったのかよ、と全員がヒカリのペースに振り回され混乱する。だがここからヒカリは真剣にルール説明を始める。


ヒカリ「プレイヤーの皆様には藁カード、そして今まで敗退した人達には他の絵柄が書かれたカードを渡しています。皆様は持っている藁を1番価値のあるカードまで物々交換して下さい! ちなみに敗退者が持っているカードは原作同様にミカン、布、馬、家となり、それとは別にオリジナルカードの車とスマホもあります」


"わらしべ長者"ルール


持ち物:藁、10万円(ゲーム中にこの10万円以外のお金を使用する事はできない)


①持っている藁カードを昔話同様に

"藁"→"ミカン"→"布"→"馬"→"家"

の順番で交換して行く。いきなり藁⇄布など1つ飛ばしで交換する事はできない


②オリジナルカードの"スマホ"と"車"は"馬"と交換でき、"家"⇄"車"⇄"スマホ"は自由に交換できる


③2時間後に1番価値のあるカードを手にしていた人が勝利となる


ヒカリ「注意点は、プレイヤー同士での物々交換はできない事、それと既に脱落した自分のペアの人と交換する事もできないよ。ルールは以上! このゲームをクリアして敗者復活を成し遂げる1名は誰だ!? それではゲームスタート!」


スタートと同時にプレイヤーは資料館を出て敗退していったプレイヤー達に物々交換を申し込みに行く。


ケイの見立てでは敗退した約300人(死人除く)に配られたカードの内6割はミカンのカード、3割が布のカード、0.8割が馬のカード、そして家・車・スマホはほんの数枚しか場に無いと予想。そしてこの"わらしべ長者"では勝者を1名しか作らない為、家・車・スマホの内1枚しか無いカードが1番価値のあるカードとなる(複数枚あるカードが1番価値のあるカードだと、優勝者が2人以上出てしまう)


ケイ「とりあえず家・車・スマホに交換できる様に馬のカードを手にしよう」


ケイは急いで資料館を出るとフロントは大量の人数で埋め尽くされる。


敗退者A「このミカンのカードを2万で売ってやる!」


敗退者B「ミカン持ってる奴! 布を3万円で譲るぞ!」


プレイヤーはヒカリから10万円を受け取っている。それを知っている敗退者達はカードをお金で交換しようとする。


ケイ「はぁ...これじゃ物々交換じゃ無いじゃねぇか、とりあえず俺がする事は...」


ケイはとある理由でアカリを探そうとしているが、アカリもケイを探していた様で、すぐに2人は合流する。やはりアカリもフルーツパーティーをクリアしていた。アカリが「こっちに来て」とケイを人混みの避けた所に案内すると、そこにはアオイとミドリ、そしてアユとミオがいた。


ミオ「ケイ...本戦おめでとう」


ケイ「ミオ、今日の朝は悪かったな。でも今回は死ぬゲームじゃ無いらしい、安心してくれ」


ミオ「分かった。で、アオイに連れられてここに来たけど私はどうしたら良いの?」


ケイ「このゲーム俺はペアであるアユとミオとは交換できない、そしてアカリはアオイとミドリとは交換できない。だから俺がアオイ・ミドリと交換し、アカリはミオ・アユと交換する。そうすれば誰かにお金を払わずミカンを交換できる」


ミオ「なるほど! アカリも有利にはなるけど、10万円を持ったまま"布"の交換にいけるわね」


アカリ「流石ケイ、ミカンのカードは大量にあるだろうからアユかミオ、どちらかは持ってるでしょ?」


ミオ「私はミカンだよ」


アオイ「私もミカン」


ケイ「よし、じゃあ交換を始めよう」


まずアオイとケイがカードを交換し、その後ミオがアカリとカードを交換。本来はここまでの予定だったが...


アユ「私は布を持ってるわよ」


ミドリ「私も」


ケイ「じゃあミカンだけじゃなく布も一気に交換できるぞ!!」


こうしてケイとアカリは無償で

"藁"→"ミカン"→"布"

まで交換できた。


ケイ「これで一気に有利になった...アカリ、ここからは敵だ! 絶対勝つ!」


アカリ「望むところよ」



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