第25話 フルーツパーティー④

フルーツを全種類揃えたケイ、マイク、チョー、モブコの4人(セイガとゴウは死亡)


ここから狼の正体を探る会議が行われるが投票先はほぼ一択だった。生き残った4人の中でミニゲームに失敗しているのはモブコだけで、しかも2回失敗している。だがケイは僅かな疑問を抱いていた。


ケイ「ゴウとモブコが失敗した時俺は監察室から見ていたが、武装した男が来た時のモブコの怯え方は嘘に思えなかった、あれを演技で出来るとは思えないんだ...」


マイク「ケイ、お前はモブコの何を知っている? モブコは裁縫もできず一般常識も無いゴミだが演技だけは得意かも知れなイ。結果だけを見ろ。ケイは謎解きと腕立て伏せを死ぬ気でクリアした、チョーは冷静ながら懸垂と腕立て伏せを1人が担当する平均以上の回数クリアした。狼はモブコで揺るがない」


モブコ「待って! 私は本当に違う!」


マイク「シャラップ! ただ信じてと願うのでは無く理論で自分の無罪を証明シロ」


モブコ「私は本当に実力が無くて、偶然ここまで生き延びれただけ! だからミニゲームもクリア出来なくて当然!」


ケイ「まぁミニゲーム自体の難易度がそもそも高くてクリアできないのは一理ある。チョーはどう思う?」


チョー「...狼は、マイクだ」


ケイ「な、何故?!」


チョー「このフルーツパーティーというゲームのルールには矛盾がある」


チョーは筋肉系のミニゲームしか参加していなかったので知識系のゲームは無理と思えたが、実はチョーが本当に凄いのは推理能力だ。チョーは淡々とこのフルーツパーティーの本質を語る


チョー「別にこのゲーム、狼はわざと失敗しなくても勝てるんだ。真剣にゲームに取り組み4つのフルーツを集めた後、投票されなければ狼の勝ちなんだからな」


ケイ「なるほど、ミニゲームを失敗して2人になるまで人数を減らす勝ち方もあるが、その勝ち方を予め捨てていれば、最後に投票されない為に市民としてゲームに取り組む方法もあるのか」


チョー「あぁ、狼にミニゲームに本気で挑まれたら誰が狼かなんて予想が付かない、この勝ち方を狙う方が妥当だ」


マイク「となると全員に可能性があるが?」


チョー「俺視点自分は狼じゃない、そしてケイはセイガと"謎解き"に挑戦し部屋から出てきた時涙を流していた、モブコもゴウが死んだ時涙を流していた、どちらも死を身近に感じたから自然に出た涙だ。だがマイクだけは死のスリルを感じなかった。ミニゲームにあまり参加しなかったのも演技が下手で心の中にある余裕を他の人にバレない様に参加しなかったんだろう」


マイク「俺は死が怖くない、そして何回も言うがケイとモブコが演技の可能性もある。確かに俺は監察室でケイの謎解きを見てあの焦りは演技じゃ無いと感じた。でもモブコの事は分からない」


ケイ「俺は監察室でモブコを見ていたがあれは演技とは思えない、でも100%では無い」


チョー「悪いな、俺の職業は俳優だ。だから分かる。チャレンジが終わり部屋からでてきた2人の顔が演技で無い事を」


ケイ「思い出した、あのチョーか」


ケイの頭のモヤモヤがやっと晴れた。チョーと面識は無いもののどこかで見た顔だと思っていたが、チョーは名バイプレイヤーで色々なドラマの脇役として重宝されている


ケイ「チョーが言うなら俺もモブコも演技じゃない。マイク、お前が狼か」


マイク「バカな、何故モブコに投票しようとしない、モブコ狼は明らかダロ」


チョー「どうかな...」


マイクかモブコどちらかを投票する流れにあるこの会議を、ヒカリが終了させる。


ヒカリ「さぁ! フルーツを4つ集めた部屋の皆さ〜ん、投票する人は決まったかな? それでは私の声に合わせて狼だと思う人に指差してね! 行くよ〜! せ〜〜〜の!!」



...結果、マイクはモブコに、他の3人はマイクに投票した。


マイク「オーマイガー...」


投票が終わるとチャレンジ部屋の奥のドアから武装した男が拳銃を持って入ってきて、マイクの頭を撃ち抜く。


モブコ「キャッ...」


目の前でマイクが死んだ。でもそれはゲームのクリアを意味する


チョー「正解だったな。ケイ、モブコ、2人が本気で戦ったから勝てたんだ」


モブコ「チョーがいなかったら私追放されてた、ありがとう」


ケイ「俺も間違えた投票をする所だった、ありがとう」


安堵した空気が部屋に流れた。しかし武装した男は再び銃を構え...




バンッ!!!!! 




武装した男はチョーの頭を撃ち抜く




ケイ「な、何故チョーを撃ったんだ!!」


モブコ「どういう事!?」





バンッ!!!!!






 その後モブコの頭も撃ち抜く




ケイ「モブコ!! ど、どうなってる」



武装した男はケイに近づく...そしてケイに封筒を渡す



武装した男「おめでとうございます。敗者復活の本戦に出場です」


武装した男はそう言い残し部屋を出て行く。ケイは少し深呼吸をした後笑みをこぼす


ケイ「フッ...フフフッ...フハハハハ! そういう事か! この勝負、俺の勝利だ!」




狼でも本気でミニゲームに挑んだ方が最後の投票で勝率が上がると言うチョーが語ったこの理論、これにケイも気づいていた、それもフルーツパーティーのゲーム開始前に...


そしてゲームスタート時ケイは役職の書いてある封筒を手に取り封筒を開け役職を...見なかった。目を閉じていたのだ。たとえ役職が狼だろうと市民だろうと本気でゲームに挑む為に。


"謎解き"のミニゲームも"腕立て伏せ"もケイは本気で死を感じ、泣き、焦り、震えながらゲームに挑んだ。もしケイが自分が狼だと役職を確認していたら "死なない" と言う心の余裕をチョーに見抜かれていただろう、このフルーツパーティー、ケイの完全勝利だ。

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