第15話 スローダイヤ③

リカ「殺される!」


ミツル「おいおいやめてくれよ、借金があって勝たなきゃいけないのかも知れないが同情なんてしてやんねぇぜ」


リカ「嫌だ...死にたく無い!!」


リカは耳を塞ぎ目を瞑り泣き喚く、周りの席はもう3ターン目〜4ターン目なっていると言うのにリカ達はまだ2ターン目に入る所だ


ミツルは半分呆れながら隣のD席を見る。3ターン目終了時点でケントが19点取っており逆転できない点差になったため試合が終了した。


アカバ「クソッ!」


対戦相手のアカバは会場から退場した。


ミツル「ケントって奴強敵だな...とりあえずリカ、もう進めていいか? お前が遅過ぎて他の席はもう4ターン目とか行ってるんだよ」


リカ「ト...トイレ」


ミツル「は?」


リカ「ヴゥ...」


リカは吐きそうになり手を口に当てる


ミツル「いけいけ! こんな所で吐くな! 汚ねぇな」


ディーラー「よろしいのですか?」


ミツル「いいよ、どうせ俺の勝ちは揺るがねぇんだ」


そうしてリカは一度会場を出て3分程してから物凄い息切れをして戻ってくる


リカ「ハァー、ハァー、」


ミツル「少しは良くなったか?」


リカ「はい、ディーラーさん始めてください」


ディーラー「分かりました。それでは第2ターンを始めます」


お互い大した時間をかけず小箱にダイヤを入れて提出。第2ターンもミツル7個対リカ5個でミツルが2点を獲得、合計4点でリードする形となった。


続く第3ターンまたもミツルはダイヤを7個入れ、それに対しリカはダイヤを16個入れた。


ディーラー「第3ターンでリカ様が9点を手に入れたので、現在リカさんが5点をリードしています」


リカが5点リードと言えば聞こえは良いがこのターンでリカは手持ちのダイヤを全部使い果たした。残す2ターンでミツルは手持ちのダイヤ15個を無条件に出せる為ミツルの勝ちは揺るがない...が、そんな簡単に勝てていいのかとミツルは考えていた、ここまでのリカの行動を。



ミツル(リカが殺されると言って泣いているのは演技だ。その理由は1つ、遅延してD席の試合が終わるのを待ったんだ。負けたアカバは退場しその後リカもトイレと言って会場を出た...恐らく会場の外でダイヤを受け取ったんだ。でも他の人から貰ったダイヤなんて試合で使って良いのか?)


ミツルは第1ターン後のアナウンスを思い出す


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

支配人「只今ダイヤを割り1つのダイヤを2つにするという行為が行われました。発想としては面白いですがそう言った方法で数を増やそうとする行為は禁止です」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ミツル(そうだ、割る等の方法で数を増やそうとする行為は禁止、なら譲渡などでダイヤの上限を増やす事は禁止されていないんだ。ならリカはアカバが使いきれなかった14個のダイヤを受け取りトイレから戻ってきた。でもなんでアカバがダイヤを外に持ち出すと分かったんだ? 会場にダイヤを置いて退場する可能性もあった)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第1ターン後のアナウンス


支配人「高級なダイヤなので破損しないよう気を付けて下さい」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ミツル(そうだ、高級なダイヤだからこそアカバは持ち帰ろうとしたのか。それを分かってリカは泣き喚いて遅延をし退場したアカバからダイヤ1個につき何万〜何10万と言うお金で買い取ったのだろう)


ミツルはリカの考え、行動を全て読み切った。しかしリカは新たに14個ダイヤを手にして5点リードしている。ダイヤが15個で5点差もあるミツルは急激に不利になった.......訳では無い、リカが泣き始めた時点で何かしらの策があると読んで対策していたのだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

リカがトイレに行っている時の会場内


ミツル「ケントって言ったか? お前強ぇな」


ケント「...要件はなんだ」


ミツル「キキッ、余った残りのダイヤを俺に1個5万で売ってくれよ」


ケント「...お前に渡さなければ島を出て質屋でもっと高く売れるかも知れない」


ミツル「そう言うのいいから、今俺がお前からダイヤ貰おうとしてる会話をディーラーは止めようとしない、て事はディーラー公認なんだこの行為は。だから勝敗がついた人からもダイヤは回収せずにおいて、全員の決着がついてからダイヤを回収する。違うか?」


ケント「...つまり質屋には持っていけない、お前に5万で売った方が得策と言う訳か。良いだろう」


ミツル「ありがとよ...それとこれも欲しい」


こうしてミツルはケントから余りのダイヤ13個とある物を受け取る


ミツル「え、アカバは余り14個だったよな?コールド勝ちしてんのに余りダイヤに大差が無いな」


アカバVSケントの試合結果はこうだ。


①アカバ9個VSケント18個 (ケント9点)

②アカバ0個VSケント9個 (ケント18点)

③アカバ18個VSケント0個 (ケント18点)

再③アカバ9個VSケント10個(ケント19点)


こうしてコールド勝ちとなったのだ。


ミツル「アカバって奴全て読まれてやがる」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


こうしてミツルは手持ちのダイヤ15個に加え新たに13個ダイヤを手にしていた


ミツル「さ、リカ。早く終わらせよう」


ディーラー「それでは第4ターンに参ります」


2人に小箱が渡され、ミツルは余裕なフリをして音を立てながらダイヤを入れディーラーに提出。


ミツル「もういいだろリカ、早くしてくれよ」


リカ「フフッ...勝ちだと思いましたか?」


ミツル「そうに決まってるだろ」


リカは嫌らしく声に出してカウントしながら音を出してダイヤを入れる


リカ「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」


ミツル「あ!? なんでそんなにダイヤの音がするんだ!」


リカ「11,12,13,14っと」


ミツル「ぐっ...」


リカ「恐らくミツルさんは7〜9個入れている。ここで前回の5点差と今回新たに起きる点差5〜7点を付け加えると4ターン目で10点差になりコールド勝ち、私の勝ちですね」


ミツル「おいディーラー! 許されんのかこんな事! あいつのダイヤ50個超えてるぞ!」


ディーラー「...」


ミツル「クソッ! どうなってる!?」


リカは小箱を閉じディーラーに提出。


ディーラー「それでは第4ターンの結果発表です、まずはミツルさんの小箱からオープンします」


ミツルの小箱をディーラーが開く。中には22個のダイヤが入っていた


ミツル「クククッ...音的に8個くらいしか入れてないと思っただろ。お前がアカバからダイヤを貰った様に俺もケントからダイヤを貰いそれとは別に小箱も貰ったんだ。お前が今聞いた音はケントの小箱にダイヤを入れる音だ。俺はお前がトイレに行ってる隙に4ターン目こうなる事を読んで予め2つある小箱の内の1つに20個ほどダイヤを入れておいたのさ」


リカ「なるほど、だから音もなくダイヤがこんなに」


ディーラー「続いてリカさんの小箱です」


リカの小箱にはダイヤは14個しか入っておらず22個VS14個でミツルに8点、現在ミツルが3点リードして最終ターンに入る...しかし結果は決まっていた。


ミツル「お前は第4ターンで勝負を決めようとアカバのダイヤ14個を全て使ってしまった。対して俺は6個余っている。お前の負けだ」


リカの奇襲失敗、ミツルには敵わなかった


リカ「フフッ...勝った気になっちゃって...」


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