第13話 スローダイヤ①
~2018年7月下旬~
各部屋にスピーカーから音声が流れる
支配人「皆様おはようございます。5日目の朝を迎えました、残すゲームも2つとなります」
ケイ「そっか、6日目は休みだから今日のゲームに勝てば最終日のゲームに進めるんだ」
ミオ「確かに、意外と早かったね」
アユ「....って、私達負けてるじゃない!」
ケイ「はぁ〜...まぁ最初から勝てなくて当たり前だよ、仕方ないね」
ミオ「そうよ、負けた事は早く忘れてこのリゾートを楽しみましょ!」
アユ「くぅ〜! 悔しい!」
〜5日目正午〜
生き残った40人のプレイヤーは大広間に集められ、抽選箱から番号を引きトーナメント表が作られた。
支配人「今回は1対1のゲームを2回やって頂きます。1ゲーム目で40→20人になり、2ゲーム目で20→10人まで脱落します。それではルール説明を致しますので全員番号の席にお座り下さい」
こうして抽選番号1と2の人がA席、3と4の人がB席...と全員が席に着く
ケイ「いた! C席の5番が俺とアカリを倒したリカだ!」
アユ「あいつまたオドオドしやがって!」
ケイ達は自分の部屋のモニターから会場の様子を見ている、各席に映像を切り替えられるのだが、ケイはC席に映像を合わせた。
リカ「あ...よろしくお願いします」
ミツル「よろしくな嬢ちゃん」
リカと対戦相手のミツルは握手をする。ミツルは刺青がありピアスや指輪などを大量に付けている半グレだ。
支配人「それでは今回のゲーム"スローダイヤ"のルールを説明します。まずお手元には小箱と巾着袋に入った50個のダイヤが用意されています、相手に見えない様に小箱に好きな数ダイヤを入れてください」
リカは巾着袋を開けダイヤを取り出し試しに10個小箱に入れてみる。ミツルは何個入れたか分からないが音的に14〜16個くらい入れているのだろう
支配人「両者ダイヤを入れたら箱をオープンして下さい。その際ダイヤが多かった方が勝者とし、相手と自分のダイヤの差の分点数が入ります」
今回はリカがダイヤ10個に対しミツルが15個入れていたので、ミツルに5点が入る。
支配人「使ったダイヤは全て回収させて頂きます。そしてこれを全5回戦行い、最終的に点数が多い方が勝者です」
ミツル「50個と言うダイヤを全5回戦でどのような配分で使うのかが鍵と言う訳か...キキッ」
支配人「ただし1つだけ特殊ルールがあります。1回のターンで点差が10点以上付いた場合、その試合は無効試合としダイヤのみ回収されます」
例:1回戦目でAがダイヤ20個、Bがダイヤ10個を出した場合、10点差がつくので無効試合とし、場に出たダイヤは回収され再び1回戦目を始める
ミツル「おもしれぇルールだ。攻めすぎるとダイヤだけ失って点数は貰えない」
リカ「フフッ...本当に面白い」
リカは余裕の笑みを浮かべていた、読み合いが得意な自分がこんな脳筋半グレに負ける訳が無いと。
支配人「各席にディーラーが参りますのでそしたらゲームスタートです」
説明が終わり10秒程するとC席にディーラーがやってくる。
ディーラー「お待たせしました、それではゲームを始めます。1回戦目のターンです、それぞれ小箱に好きな数ダイヤを入れて私に提出して下さい」
2人のテーブルの間には仕切りが置かれ相手がダイヤを入れる瞬間などのカンニングは出来ないようになる。
ジャラ...ジャラ...とミツルが音をたてながら小箱にダイヤを入れ開始3秒ほどで小箱を閉じディーラーに渡す。
リカはミツルが小箱をディーラーに渡す際のミツルの手を凝視していた。
ミツル「こんなん考えたら考える程相手に読まれるからな、俺みたいな脳筋はテキトーに入れた方が案外勝てるんよ」
リカ「そんなに音を立てて入れたらおおよその数は予想できちゃいますよ?」
ミツル「あぁ、確かにそうだな、ゆっくり音を出さないように入れなければ、反省反省」
リカ「フフッ...ミツルさんが出した音的に入れた数は6〜8、つまり私は15...いや、念の為14個入れておきましょうかね」
そう言いリカはダイヤを小箱に入れていく...一方ケイ達はモニターでリカの手元の映像を見ていた
ミオ「仕切りがあってミツルが何個入れたかは分からないけど恐らく7個って所かな」
アユ「あいつマジ脳筋だな、あんな音出してダイヤ入れるとか」
ケイ「いや、あいつは脳筋なんかじゃない。あの音はダミーだ」
ミオ「ダミー? でも明らかに小箱にダイヤが入る音したし、その後すぐディーラーに提出したからこっそり小箱からダイヤを抜き取る時間も無かったわよ?」
ケイ「その提出する時にミツルの手がチラッと見えたんだが、アクセサリーを何もつけてなかったんだ」
アユ「そうか! 指輪とかアクセサリーを小箱に投げ入れて提出したのね! つまり小箱にダイヤなんか入ってない」
ミツルはあえて相手に音を聞かせるためアクセサリーを投げて小箱に入れていたのだ。つまりこのターンミツルはダイヤを入れていない。
ケイ「もしリカが14個入れてしまったら、14個対0個で10点差以上が付いてしまい無効試合、リカはかなり不利となる」
ミオ「1試合目からダイヤ0個で勝負してくるなんて...私にはできない」
ケイ「まさか気付くよなリカ...今リカがするべき最善策はダイヤを9個入れる事だ!」
リカが巾着袋からダイヤを取り出し小箱に入れディーラーに提出する、そして結果発表に移る。
ディーラー「それではまずリカさんの小箱を開けます...オープン」
リカの小箱の中は...
ケイ・ミオ・アユ「は!?!?」
パッと数えられないくらいのダイヤが入っていた
ミツル「グッ...」
リカ「フフッ...正解みたいですね」
ディーラー「リカさんのダイヤの個数は、24個です」
ケイ「なんでそんな数入れる!? 仮にミツルの投げ入れた音が本物のダイヤの音だとしても、せいぜい7個くらいしか入れてないんだから24個なんて入れたら10点差は確定だ!」
ディーラー「続いてミツルさんの小箱です、オープン」
ミツルの小箱の中は...指輪やリングが7個程、それとは別にダイヤもいっぱい入っていた
ミオ「訳わかんない、なんであんなにダイヤがいっぱい...そしてリカはなんで分かったの?」
ディーラー「ミツルさんのダイヤの数は...14個です」
ケイ「14個...? リカが入れたダイヤの数は24個、つまり10点差できてしまっている」
ディーラー「今回は14対24で無効試合としダイヤは没収、再び第1試合を始めます」
リカ「やられたわ。一個だけ抜いてたのね」
ミツル「念の為張っといた保険が聞いたよ、それにしても凄いねリカちゃん」
モニター越しに全員が困惑する
ミオ「一個抜く? 保険? どう言う事?」
ケイ「...まさか、そんな所まで読み合っていたのか」
ケイは気づいた、この1回戦目に起きたトリック全てに...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます