第7話 団体戦人狼①

4日目のゲームは勝ち残っている132人全員が参加となる。集合場所に行くと12人のグループが11組作られ各部屋に入らされる


アユ「複数人で残ったペアは全員ペアでグループにいれられるのね」


ケイ「あぁ、でもそれはペアでまとめて脱落する可能性も高いと言う事だ...」


会議室Cに入れられたケイとアユは円になって置いてある椅子に腰掛け次のゲームの予想をしていた、次々と入ってくる同じグループの人達の顔を確認していると、そこには何人か顔の知ってる人達がいた。



アユ「あ、アカリ!」


ケイ「確か極寒迷路でアユが後をつけてたキレ者か」



アカリ、アオイ、ミドリの3人ペアはここまで誰1人脱落する事無く最速でゲームをクリアしていた。


ケイ「もし今回のゲームが12人協力型のゲームならアカリ達は心強いが、対戦型だとしたら...」


そんな話をしていると盗み聞きしていた男3人組のセイガ・オウリ・カイザーが声をかけてくる


セイガ「おうおう、あいつらが強敵だと思ってるなら間違えだ、本当に強いのは俺達だよ」


オウリ「そうだね、あいつらは1つ大きなミスをしてる」


アユ「なんだこのイケメン達...アカリ達が何をミスしてるって言うの?」


カイザー「あいつらは目立ちすぎてる。俺達はゲーム攻略の答えが分かってもあえて時間をあけて目立たないようにクリアしている。もし今後、投票制のゲームなどが来たらあいつらは強いという印象が付いてるから真っ先に投票の的になるだろう」




ケイは関心していた。確かに投票で相手を脱落させられる様なゲームがあったら強い相手を落とすのが最善だ。このセイガ、オウリ、カイザーはここまで目立たず3人クリアをしてきた。

だが1つケイは疑問が残る。


ケイ「なんで自分達の実力を隠してるなら僕達に強さを教えたんですか?」


セイガ「勿論、協力を仰ぐためだ。グループが作られたと言う事は、12人協力のゲームだろうと対戦のゲームだろうと多数決が物を言うと予想する。つまり俺達と協力しようって事だ」



アユ「それは良いけどさ、なんでアカリ達にその話を持ち掛けないのよ? アカリペアとセイガペアで過半数取れるじゃない」


ケイ「簡単だよ。その協力関係の中でも優位に立ちたいのさコイツらは...」


オウリ「少しは切れるやつだな」


カイザー「ま、確かに5人で協力するにしてもその中で選択権は俺達が持っていたいのさ、でも安心しろ、最終的に裏切る為じゃない。俺達にはそれほど自分の選択に自信があると言う事だ」


ケイ「協力するかはゲームしだいだな...」



ザザ...


スピーカーの音が響く


機械音「Cチームの皆様、全員椅子に着席して下さい。今回のゲームは、人狼です」


初めて既存のゲームが来た...ケイは人狼ゲームに自信があったため内心ホッとしていた。


機械音「ゲームを終了時、生き残っていた勝利陣営が明日のゲームに進めます」


(なるほど...もし自分の陣営が勝っても既に自分が追放されてしまっていては負けなのか)


機械音「それでは椅子の下にあるカードを手に取り自分の役職を確認して下さい。カードを他人に見せた場合、失格となり会場から退場願います。追放・襲撃された際も同様です」



役職配分

人狼2

裏切り者1

狐1

占い師1

霊媒師1

騎士1

市民5



ゲーム開始は1時間後なので、ケイとアユは一度部屋を出る。


アユ「ねぇ、役職なんだった?」


ケイ「まだ見てない、誰かに見られて失格になりたくないからな」


アユ「でも人狼ゲームで良かった! 私結構得意よ」


ケイ「バカ! アホ! こんなん人狼の皮を被ったまるで違うゲームだ!」


アユ「ど、どこが違うのよ?」


ケイ「役職配分によってはもう負けが確定する可能性がある」


アユ「は? マジ!?」


ケイが恐る恐る封筒からカードを取り出し役職を確認する


ケイ「...裏切り者だ」


アユ「ならラッキーよ! 私は人狼を引いた! しかも仲間の人狼はアカリよ! 心強すぎ!」



ケイ「くっ...最悪のケースだ」



嬉しそうなアユを横目にケイは苦い顔をする。


本来意思疎通できない人狼と裏切り者がお互いの正体を知っていると言うのはかなり有利だ。だがケイは最悪の事態を想定していた


アユ「ねぇ、何が不満なの?」


ケイ「このゲーム、ペア同士違う陣営の方が勝率が格段に上がる。そして多分アカリは真っ先にアユを追放する」


アユ「なんで? 私人狼の仲間なのよ?」


ケイ「アユを追放した後ゆっくり狐を探し、最後に自分が人狼である事を明かして終わり。ミドリとアオイが明日のゲームへ駒を進める」



アユ「そうか! アカリペアは陣営が分かれてしまってるから全員で明日のゲームに進めない、ならアカリ1人で勝ち残るよりもミドリとアオイが勝ち進んだ方が2人を明日のゲームに進められる」


ケイ「あぁ...わざと負けようとする人狼がいたら人狼陣営は勝てない。俺が市民ならまだしも2人仲良く人狼陣営、終わりだよ」


アユ「そんな...でも、ミドリとアオイを追放しちゃえば、アカリは私達に協力せざるを得ないんじゃない?」


ケイ「もしミドリかアオイが追放されそうになったらアカリが人狼2人を明かすだろう、結局は同じ事だ」


ケイは絶望しながらも頭をフル回転させた...そして細い細い糸を1つ手繰り寄せた。この特殊ルール人狼の穴、可能性を。


ケイ「アユ、人狼の襲撃でミドリを選択しようとしたらどうなると思う?」


アユ「そりゃ、アカリがさせてくれないでしょ」


ケイ「そう、この人狼ゲームでは襲撃したい相手が人狼同士違うんだ。ペアの人を襲撃先に選ばれてはい良いですよとは言えない、つまり襲撃先の選択権は毎晩交互にやって来るんじゃ無いか?」


アユ「な、なるほど! 1日目がアカリに選択権があったら2日目は私って事ね」


ケイ「つまりありえる、ミドリアオイの襲撃!」



事実かは分からない、事実であっても上手く行く可能性は少ない、そんな絶望的な状況は変わらないままゲーム開始の時刻を迎えた

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