第3話 命綱観覧車②

ガシャ~ン.....



ゴンドラに乗り込んだが、ドアも無いし普通置いてあるイスも置いてない。あるのはつり革とどちらかが落ちてから5秒後に開く金庫のみだ




「アユ! 後は俺に任せろ」 


「.......」


「おいどうした! 早く降りないとケガするぞ!」


「私は...降りない」


「はぁ!?」


「だって2組連続でクリアできたのよ! なら私達もできるはず! 明日からのゲームも多く人が残ってた方が有利でしょ!」


「惑わされるな! そうやって50組目以降何人が死んでった! 乗り込んだ時までに分からなかったらもう諦めて1人がすぐ降りるべきなんだ!」


「ならあなたが降りなさいよ!」


「約束が違うぞ! 俺はこの先もクリアしてミオを守らなきゃならない! すぐ約束を破るお前なんかに任せられるか!」


「そうミオミオミオって! 腹立つんだよクソリア充が!」




ガシャ~ンガシャ~ンガシャ~ン!!



アユが強引に降ろそうとしてくるがつり革がある以上そう簡単には落ちない。気づいたら15m付近を通過していた




ケイ「もうダメだ! 分かったから2人共残る方法を考えよう」


アユ「そう言って隙を見て落とすつもりだろ!」


ケイ「そんな事しない! アユだってクリアできると思って降りなかったんだろ! なら今の行動はなんだ! 俺の方がアユより力は強い!

このままだと2人共落ちるぞ!」


アユ「...分かった」


アユは攻撃を止めたがつり革だけはずっと離さなかった




ケイ「考えるんだ、まずこの観覧車とルールの違和感を」


アユ「違和感? 何もないわよ」


ケイ「いやある。例えばイスが無い事やつり革がある事」


アユ「それはケンカしやすくするために」


ケイ「それは固定観念だ、つり革も長くケンカが続くような悪趣味なものかと思っていたが、何か別の理由があるはず。じゃなければ79組目のマイク達は何を見たっていうんだ」




何故マイク達は乗り込む前にクリア方法が分かったのか。それは前の組の何かを見たからである


アユ「前の組って、あの暴れまわってたけどクリアできてた奴ら?」


ケイ「そうだ。暴れまわってただけなのに、途中で何かに気づいた...まさか暴れまわってた事がヒントなのか?」


アユ「暴れまわってたといえば、このゴンドラの床ちょっと安定感無くない? 微妙に揺れるって言うか」


ケイ「確かに、でもだからってなんだ」




答えががで出ないまま90mまで到達する




アユ「終わりよ! もう落ちて!」


ケイ「おいやめろ! ギリギリまで考えろ!」


アユ「もうそのギリギリなのよ!!」



悔しいが、こうなったらもうアユを落とすしかない。罪悪感はあるがミオに会いたいという気持ちがケイの心を鬼にする




ケイ「おら!!!」


アユを思いっきり殴る


アユ「このヤロー! 殺す! 殺してやる!」


ケイ「やってみろ!!」




お互いガムシャラに殴り続ける


ケイはアユの片手のつり革をつかむ指をひっぺはがす


ガシャ~ンガシャ~ン!! 床の音が響く


ケイ「まて!!!!」


アユ「あ!?」


ケイ「分かったんだ! 謎が!」


アユ「なによ!」


ケイ「78組目の奴らもこうやって暴れて周りが何も見えていなかった! そしてマイク達も上の方にいる78組目のゴンドラ内を見る事はできなかった!」


アユ「何が言いたいの?」


ケイ「この状況の2組が唯一確認できたのが、音だ! この床の!!」


アユ「床? 確かに乗り込んだ時も今暴れた時もガシャ~ンってうるさかったけど」


ケイ「そう! その音聞き覚えが無いか?」


アユ「聞き覚えって」



アユはその場でジャンプしてみた




ガシャ~ン




アユ「...あ! 体重測定した時の体重計の音と同じ!」


ケイ「そうだ! この床はでっかい体重計だったんだ! 恐らくあの体重測定はこのゲームの為に行われたもの」


アユ「だからってなんなのよ? それが攻略に繋がるの?」


ケイ「この命綱を外す金庫のロックはどちらか1人が落ちた5秒後に開く事になっている。その人が落ちた判定は運営の人が目視で確認しているわけじゃなく、体重計の重量で人が落ちたかを判定してロックを解除しているんだ」


アユ「なるほど! じゃあ1人の体が5秒間浮けば!」




ゴンドラはもう105mまで来ている




アユが急いでつり革に捕まり体を浮かせる




1、2、3、4、5




ピピッ! ガチャ...


ロックが解除される




ケイ「金庫が開いた!」


中には鍵がありケイは自分の命綱を外すことに成功した




アユ「ちょ、ちょっと!」




アユの体がゴンドラの外に出され、間一髪指を引っかけた状態になっている




ケイ「耐えろ!!」




ケイは急いでアユの命綱を外し、腕をひっぱりゴンドラの中に体を戻す




アユ「ハァー、ハァー、死んだかと思った」


ケイ「ギリギリだった...」


アユ「...ありがとう、最初約束を破ったり殴ったりしたのに、最後助けてくれて」


ケイ「うん、まぁこの先人数が多い方が有利だからな」




無事第1ゲームクリア。2人には残り120組の挑戦を見る余裕はなくすぐに自分の部屋へと戻った



第1ゲーム脱落者196人(死亡者86人)総残り人数404人


3人チーム残り18組


2人チーム残り168組


1人チーム残り14組




死亡者を除き現時点の生き残り者とそのチームが受け取れる1人あたりの賞金81万7千円

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