裏切りと最強で最弱の人。中編
外のフィールドに出ると、自然と聖兎の後ろにセリア、白川、その他寮生が立ち、ペドの後ろに黒川が寮から持ってきた椅子に座る。
「聖兎って呼んでいいか」
「好きに呼んでください」
「じゃ、遠慮なく。聖兎、学園での最終目標、卒業までにしたいことはあるか?」
「え」
(まあ、あるっちゃある。絶天頂になる。だけど、それよりもしたいことがある)
「知り合いを探してます」
「ほーん、なるほど面白い。それが聞ければ十分だ。さあ、始めよう」
(なんの確認か知らないが、この勝負、俺が勝つ)
聖兎はそう思ってデッキに手を置くと、ペドから威圧感とオーラを感じ、咄嗟にデッキから手を離すが、すぐにデッキを手に取りセットする。
「二回で克服。やるじゃん。順番は決めていいぞ」
(ああ、やばいな。一瞬でここまで印象を変えられるとか、一瞬で俺じゃ勝てないと思った。得体が知れない)
「白川ちゃん、審判よろしく」
「あ、はい」
白川は中央に移動して、審判を始める。
「では、一年生の聖兎くん。二年生の……本名を知らないので、ペドさん。二つ名は無敵の最弱」
(無敵だか最弱……どういう意味だ?)
「お二人とも準備はよろしいですか?」
二人が頷くと、白川は手を挙げて宣言する。
「始めましょう、ハビット!」
二人の戦いが今始まる。
「俺が先行をもらいます。ドロー」
聖兎がカードを引く。
(手札は上々、ペド先輩、得体が知れないのは変わらないが、名前と白川先輩、黒川先輩に対しての態度、どの性癖で刺せばいいかは簡単だ)
「俺は手札から、人物カード、女の子。を召喚。さらに性癖カード、童顔、控えめな体型を装備」
「ほう、いきなり対応してくるなんて、珍しいな」
「童顔で控えめな体型の女の子。年齢の特定は不可能ですよね」
「うまいな」
ハビットの人物カードに年齢の記載はない。年齢を設定するには、性癖カード、十代や、小学五年生などでおおよその年齢を設定するか、性癖カードの回数カード、一や七など、数字単体のカードを使う方法の二通りがある。
今回の場合、童顔で控えめな体型の女の子。高校生でも大学生でも、小学生でも当てはまる設定にすることで、相手のニーズに勝手に応えれる。
「ターンエンドします」
(これなら対応できるが、本当は女子小学生やロリのカードが欲しいな)
ペドのターン。
ペドはカードを一枚引いて、すぐさまターンエンドする。
(舐めている……わけじゃないよな)
「本当にターンエンドしていいんですか?」
「もちろん。ほら、ドローしていいぞ」
聖兎は不信感を抱きながらも、ただ手札が良くない可能性もあるので、特に気にせずドローする。
(経験豊富……ペド先輩が生粋のロリコンなら処女厨のはずだが、白川先輩もロリとしてカウントしていた、年上でも見た目が幼ければいける人の可能性が高い)
補足、天頂学園は一部教師を除いて全員未経験。安心してください。
「俺は手札から、人物カード、お兄さんを召喚。そして、女の子に、性癖カード、経験ほ、う」
聖兎は言いかけて、手を止める。
聖兎の手を止めたのは、ペドの一瞬の表情。一瞬だけ笑みのような、嘲笑う表情で聖兎を見下し、そこが知れたと思わせた。
(なんだ、これ……あ、そうか! 童顔で見た目が幼いだけの女の子、この条件ならロリとも取れる。だが経験豊富にしてしまっては、小学生から離れてしまう。見た目が幼いだけの経験豊富な女……ロリとして認めらない)
属性として、小学生やロリがあれば経験豊富はジャンルになるが、わざわざ見た目が幼いと書くならば、経験豊富で中身は年上の可能性が高いことになる。聖兎はその可能性に気づいた、いや、気付かされたのだ。
「どうした聖兎、かかってこないのか?」
ニヤけ顔で煽るペド、それを睨むような作り笑顔で返す聖兎。
「ターンエンドです」
聖兎がターンエンドすると、ペドはカードを引いてターンエンド。
「また」
(どうする、フィールドには見た目が幼いだけの女の子、見た目が幼いだけだ、小学生、ロリにするにはどうすればいいんだ!)
「聖兎、三ターンやる、追加カードは三枚だ。考えろ。二つ、上限があれば、下は決まってその上限より下になる。意味を、可能性を」
(考えろ……ペド先輩を一撃で倒すにはロリしかない。そのカードが、今の俺の手札にはない)
猶予を与えられた三ターン、聖兎はカードを一枚ずつドローしていく。
「ドロー! 一枚目、人物カード、お姉様JK」
(これじゃだめだ)
「ドロー! 二枚目、性癖カード、妹」
(妹、ロリではあるが、三十歳でも妹は妹だ)
「ドロー! 三枚目」
(頼む、これで来てくれ。運命力! 来てくれ!)
聖兎は手札を見て、考え、ペドの言葉を思い出す。
(上限、可能性? 下は決まって上限より下。二つ)
天啓、聖兎に天啓が舞い降りる。
「ペド先輩、分かりましたよ。言葉の意味が」
ペドは何も言わずに頬を上げ、聖兎を見つめる。
(かかってこい、そういうことか。良いですよペド先輩、見せてやる!)
「俺は見た目が幼い女の子に、性癖カード、妹。を装備。さらに人物カード、お姉様JKを召喚。さらにシチュエーションカード、交際相手の姉妹を発動」
聖兎はオーラを出し、聖兎に向かって放ちながら確信する。それは勝利への確信か、それとも聖兎の勝利への確信か、ペドの目的への確信か。
「やるじゃん、聖兎」
ペドの脳に映像が流れる。
『今日で付き合って一年だね』
清楚な彼女は彼の手を引き、記念日を楽しんだ。
『疲れたね。よかったら、うち来る?』
彼女に連れられ家に行くと、玄関で彼女の妹に出迎えられる。
黒髪をツインテールでまとめ、可愛らしくも生意気そうな女の子。JKの彼女の妹となると、年齢は十歳から十四歳ほどだろう。
アルバムで見せてもらった彼女に似ている気がする。
『隣のお兄さんだ〜れ〜』
舌足らずに甘い声の彼女の妹、彼女にて可愛らしい印象を覚える。
『このお兄さんは、私の彼氏だよ』
『そうなんだ〜』
妹ちゃんは『くふ』と笑って、中に入れてくれる。
『ねえ、あーん。え、妹の前で恥ずかしいって、良いじゃん』
『二人ともラブラブだね〜』
妹ちゃんに揶揄われ、恥ずかしいと思いながら彼女との時間を楽しんだ。
『ねえ、これ飲んで、美味しいよ』
『わたしも飲みたいな〜』
『だーめ。これはお酒なの』
『ケチ〜じゃ、お兄さんのもらおう、良いでしょ』
妹ちゃんは体をくっつけて可愛くおねだりしてくる。
『ねえーお兄さん♡』
可愛いおねだりに屈して少しだけあげてしまおうかと思ったが、彼女の手前上げられず、ノンアルコールのカクテルを作ってあげた。
『わぁーお兄さんありがと!』
妹ちゃんは可愛く飲んでくれて、おかわりをせがんできた。
『もう、だめでしょ』
彼女は二人で飲みたいのか、少しだけ冷たい言い方で妹ちゃんを部屋から出そうとするが、妹がいない身としては、もう少しだけ妹ちゃんと居たいと思い、彼女を宥め、少し不機嫌になってしまった。
『いいもん、一人で飲んでやる。ばーか』
彼女は可愛く拗ねてしまったが、夜もある。少しだけ妹ちゃんと遊んで、夜は大切な彼女のために時間を使おう。
『ねえ〜お兄さん♡ お兄さんは泊まっていくの?』
そうだよと答えると、妹ちゃんは「うふ」と笑う。
なんだろう、少し怖いと感じてしまった。
少し妹ちゃんと遊んで、彼女の方を見ると。
『ばーか! アホーう、んん』
随分酔ってしまったみたいだ。夜もあると思っていたのだが、今日は無理そうだ。仕方ないから妹ちゃんに部屋を聞いて、彼女をベッドに寝かせる。
『お兄さんはどうする?』
どうする? 夜遅いしできれば泊まって行きたいが、彼女のベッドに寝るわけにもいかないし、リビングのソファにでも寝させてもらおう。
『リビングのソファ、硬いからだめだよ。私の部屋に来る?』
妹ちゃんの部屋……彼女も妹ちゃんの部屋なら納得してくれるだろう。妹ちゃんは小学生くらいだし、嫉妬もされないだろう。
『じゃ、行こ。私の部屋は〜あっちだよ』
妹ちゃんの部屋は可愛く、いかにも小学生のような部屋だ。
『寝るまでお話ししよ。ベッドに座って』
言われた通りに座ると、妹ちゃんは体を近づけ隣に座ってくる。
子供特有の体温の高さを感じてしまい、少し彼女と抱き合ったことを思い出してしまった。
いけない、妹ちゃんと彼女を重ねては、両者に失礼だ。
『お兄さん? どうしたの〜』
なんでもないと。と言ってみたが、妹ちゃんは小悪魔のようにニヤリと笑う。
『ねえ、そこに寝て』
寝ろ? まあ、別に寝るくらい別にいい。
ベッドに横になると、妹ちゃんは俺のお腹の上に座ってくる。
『お兄さん、重い?』
軽いわけではないが、妹ちゃんの年齢と同じ子と比べると軽い方なんじゃないかと思う。
『軽い? そうなんだ〜でも、お胸も小さくて、コンプレックスなんだ〜ほら』
妹ちゃんは自分の胸を掴んで、強調させる。
『ねえ、お兄さんは大きいのと小さいのどっちが好き?』
彼女は比較的大きい方だと思うが、別に胸で彼女を選んではいない。
『どっちでもいい? よかった。わたしのも好きってことだもんね〜』
妹ちゃんは手をリードして、自分の胸を触らせる。
え! 相手は小学生、単なる確認。
彼女が言っていた、両親は夜遅く、海外に行くことも多いと。
妹ちゃんは異性との距離をうまく掴めず、異性に肝心があるのだ。それが良いのか悪いのか、確認のために触らせるという行動に至った。
『ねえ、どう? 大きいかな? やっぱり小さい?』
異性というものがよくわからず、勇気を出して聞いた質問が自分の嫌な返答だったら嫌だろう。ここは妹ちゃんのために、大人な返答をしなければ。
『え、大きい? よかった。ねえ、じゃあ、こっちは?』
妹ちゃんは下の方を触らせてくる。
暖かく毛の感触はしない。彼女とは違っているが、少し似ていて、重ねて妙な気分になってしまう。
これは妹ちゃんにじゃなく、彼女に妙な気分になっているんだ。
『ねえ、どうかな? あれ、お兄さんのここ、どうしたの?』
あ、小学生相手に、これ以上はだめだ。俺は彼女を裏切れない。
起き上がって妹ちゃんを退けようとするが、今退けは妹ちゃんに怪我をさせてしまう。
『ねえ、これって、知ってるよ。上下にすれば治るんだよね』
妹ちゃんは俺の言葉を聞かずにチャックを下げる。
『わあ、すごいね〜』
だめだと思いながら、俺は妹ちゃんを怪我させないためにどかない。俺が退けば妹ちゃんが怪我をしてしまう。仕方ないんだ。
『うふ、あ、なんか、わたしのここ、変な気分。お兄さんのここと合わせてみよ』
妹ちゃんは知っていてやっている。ここまでくれば流石に分かる。
これ以上はだめだ。体を起こそうとすると、妹ちゃんは体を押してくる。
『お兄さん、だめだよ〜ねえ、明日買って欲しいものがあるの、買ってくれる?』
いきなりおねだり? そう思った途端、妹ちゃんは耳元に囁いてくる。
『お兄さんの、強いおちんぎんで、買って欲しいものがあるの。ねぇお兄さん、わたしに、おちんぎん、使ってくれるよね』
妹ちゃんはニヤリと笑う、それは全てを知っている表情。
妹ちゃんは最初からこうなる気が分かっていて、お酒も全て分かっていて、俺は彼女を裏切ってしまう。でもしょうがない、大切な彼女の妹を怪我させるわけにはいかないから、俺のお腹の上に乗って、手を俺の首に回して、近づいてくる。
『お兄さん』
少女特有の甘い香りと、温かい体温、小悪魔のような笑みで俺の口を塞いだ。
「面白いじゃん」
ペドの脳にダイレクトアタック!
聖兎は確信した! 決まったと。
「ロリ、生意気メスガキは良いよな〜好きだぜ」
平然としながら立っているペド、聖兎の額に汗が滴る。
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