第2話
薄れゆく意識の中そんな事を考えている自分が居た
その時
「大丈夫か?」
誰か来たようだ
深夜3時の裏路地に誰だろう?
「酷ぇなこの傷…治すか」
「あなた…誰です……か」
「黙れ」
「俺はお前をこのまま放置して見殺しにする事も出来る」
「そう…ですか」
俺はもう、どうでもよかった
「どうした?生きるのに疲れたか?じゃ、尚更生きてもらわないとな」
お世辞でも嬉しかった
何故ここまでしてくれるのだろう?
「針、刺すぞ」
「何故…あなたは…俺を…助けてくれ…るんですか?」
「無理して喋るな、黙れと言った筈だ」
プスッと針が刺さる
「あなたは何者ですか」
「また同じような質問か意識障害か?」
「至って真面目です」
「はぁ…どうしても知りたいようだな俺は医者だ。医者なら患者は助けるのは当たり前だろ?」
「あり…が…と…うござい…ま…す」
「麻酔が回ってきたか」
その後の意識は無い
だけど俺が起きたら手術は終わっていて
朝日が昇りかけていた
その人はもう居なかった
「お礼、したかったな」
そうポツリと俺が呟くとポケットに何か入っていた
手紙だ
体調大丈夫か?
まぁ頑張れ
辛かったらここに連絡しろ
俺は居ないが必ずここは助けになる
悩みだけでも吐き出してみろ
あとコレと飯でも食っとけ
追伸
風呂入る時傷沁みるかもしれないが気をつけてくれ
外科医 黒霧
下を見ると栄養系ゼリードリンクの【鉄分】
ぶどう味と諭吉が5枚と電話番号が書いてあってその隣には100円玉が3入っていた
「黒霧さん…なんであんたはそこまでしてくれるんだ」
その時俺はもう少し生きてみようと思った
家に帰り先ず掃除をした
家のタンスを漁っていると通帳があった
「500万か…結構貯めてたんだな母さん」
通帳の隣には暗証番号と思われる数字が書かれた付箋が貼ってあった
早速数万引き出してきた
「にしても意外だなぁあの人が500万も貯めてたなんで」
まぁでも大抵予想は着く
恐らく母さんの仕事の関係だろう
母さんは風俗嬢だ
父さんが居なくなった時俺は10才だったと思う蒼真は9才だった
蒼真は1年前に家を飛び出して今はもう居ない
その時の母さんが選んだ仕事が風俗嬢だ
だから俺が帰ってくるともう居なかった
よく一人でカップ麺を作って食べていた
机の上に千円札が置いてあったから
でももうそれもない
俺が殺してしまったから
第三章 もう限界
2年が経った俺は17歳になった
もう限界だった
2年経ったことで自分が分かった
誰かを殺めたいと
そう思うようになった
もうダメだ
母さんを殺したことによって発生した
心の中のモヤも晴れない
資金ももう無くなりそうだ
ふと思い出す
15歳の頃俺が治してもらったことを
「黒霧さん元気にしてるかな…?」
手紙の端にあった電話番号に電話してみた
「もしもしあの、黒霧さんから…」
「はい、あー黒霧からの子?医療費の支払い?」
医療費?何を言っているんだろう
「いや医療費じゃなくて…」
「えじゃ何?」
なんだコイツと思いながら話を続ける
「相談に乗ってくれるって…」
電話の相手は「あー」
と納得したように頷く
「そうゆう感じかOK今どこ?」
「家です」
「OK今行く」
「え分かるんですか」
「分かるよ〜だって君GPS入れさせてもらってるもん」
「へ?」
驚いて変な声が出てしまった
「じゃ切るねー」
「あ待ってくださ…」
切れてしまった
どんな人が来るんだろう?
少し恐い
「警察だったらどうしよう…」
そう思いながら待ってるとインターホンが鳴る
来た
ドアを開ける
インナーに白と紫を入れたような髪色になっている男性が立っていた
「君が黒霧に治してもらった子?」
凛とした立ち姿でとても綺麗だった
「は、はいそうです」
俺は人と話すのが少し苦手なのでまぁまぁ緊張していた
「あ、上がってください」
「ここで立ち話もなんですから」
そう言い奥へと案内する
男性が
「そういえば君赤いね目」
「え?」
「カラコン?綺麗だね」
綺麗、この人は地元の人では無いのだろうか
たとえ皮肉でも嬉しかった初めて誰かに褒められたから
「これカラコンじゃないんです元々生まれつきで…」
気づいたら正直に話していた
でもこの人には正直に話してもいい気がした
そうすると感情を汲み取ってくれたのか
聞いてきた
「それ君の秘密?」
「はいまぁそうです」
「へー面白い秘密だね」
「君、名前は?」
「朱依です」
「僕ハヤテ、よろしく」
「ハヤテさんは何か秘密があるんですか?」
俺が聞く
「んー秘密かー職業かな〜」
「何してるんです?」
「本業は医者で副業は薬剤師だよ」
(副業で薬剤師をやっている人なんてまず居ないとゆうかそもそもそんな事が可能なのだろうか)
「めちゃくちゃ頭良いじゃないですか」
それしか出てこなかった
「ありがとう初めてなんだよ褒められたの」
そうかこの人も俺と同じなんだ
「ところでさ…君一人暮らしじゃ無かったよね」
不穏な空気が流れる
「…なんで分かったんですか」
俺が母さんを殺めた事を知っているのだろうか
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