朱碧 バイオレット

@Zeu

第1話

プロローグ

とある日の午前2時32分

独りの高校生が大学の廊下を歩いていた

「ここにあったはず…」

彼は大学の研究室にある

研究の資料を取りに来ていたのだ

「はぁ…全く…ハヤテさんも人使いが荒いんだから」

彼の名は碧天 朱依

現在20歳の大学生だ

ところで…

君はほんの少し人と違う人をみてどう思う?

怖い?不快?一緒に居たくない?

そう思うのもはっきりいって無理はないと思う

なぜなら私もそうだから…


第一章 地元嫌いの地元民


貴方は街の言い伝えや迷信を信じるだろうか


この街には変な言い伝えがある

朱碧伝説(しゅへきでんせつ)

内容としてはこんな言い伝えだ


目が朱い(あか)子供は縁起が悪く前世で大罪を犯したような魂が処罰を受ける為にまた輪廻をしてきた死神の一族の末裔だと言う

逆に

目が碧い(あお)子供は縁起がよく前世で善行を積んだ魂がまた善行を積み方を他の愚民に教える為に輪廻を超えてきた勇者の一族の末裔だと言う


こんな1つの宗教のようなことを信じる愚民の集まりがこの街だ

だから俺はこの街が嫌いだ


第二章 キッカケ


俺は目が朱い

だから物凄く差別された

俺自身(碧天)の名前を持つ人間だからハッキリ言って家に俺の居場所は無かった

俺が生まれた瞬間から俺以外の人もみんな

失望したと思う

目の色が全てだから

でも良かった事もある

蒼真は碧色だったから

父さんはいつの間にか家を出ていて

母さんは母さんでお酒ばかり飲んでイラついた時には俺に八つ当たりしてきた

蒼真はそんな家が嫌で家出をして帰ってこなかった

ある日母さんが家に帰ってきた

その時は特段イラついた様子でビール瓶

片手に乱暴にアパートの扉を閉める

バァン!!と言う音と共にドタドタと上がる音が聞こえる

「おい!てめぇなんか生きてたって無価値なんだよ!!」

母さんが怒鳴ってビール瓶の中に入っているビールを掛けてくる

母さんは酔いが回って来たのか

「ハハハハ無価値くんは死んじゃえよwww」

そう言うと空になった脇腹ビール瓶を凄い勢いでぶつけてくる

ドン!!

骨に当たったのか物凄く痛い

「ぐっ…やめてよ母さん」

うずくまって声にならない声をあげる

それでも母さんはやめてくれそうにない

今度は台所にあるキッチンバサミを取り出して俺を少し押さえつけながらヘソの穴にグリグリと切れ味の悪いキッチンバサミを入れ込んでくる

「痛い!!痛いよ!!やめてよ…」

抵抗はするが大人の力に子供が敵う訳ない

今度は三回くらい刺してきた

(体の力抜けて意識飛びそう)

(次刺されたら確実に死ぬ…)

そう思うと母さんは俺の首筋を狙ってきた

かろうじて首を右に動かせた

それと同時に反射的に母さんを蹴り飛ばした

これが火事場の馬鹿力なのだろうか

と同時にその時俺は思った

(反撃が恐い…)

(これは正当防衛になるよな?)

そう自分に言い聞かせ俺は母さんの首筋に 落ちていたキッチンバサミを当てて素早く

引いた

ブシャァァァァ

水風船が弾ける様に首から鮮血が流れ出る

…俺は母親を殺してしまった

「逃げ…なきゃ…」

もうこんな所にいる必要は無いだろう

だけど

病院に行こうにもその前に出血で死ぬ

救急車は呼んだら警察沙汰になる

誰かに助けてもらうか?

いや誰が俺を助けてくれる?

俺、朱眼だぞ?

「うっ…がっぁ…」

とりあえずここから出なきゃ

「まだ、まだ死にたくない」

そう思うとすぐ外に飛び出した

すぐ体力が無くなった

(あーあ救急車呼べばよかった)

薄れゆく意識の中そんな事を考えている自分が居た

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