第15話 前世のおかげで馴染んでる感はある
本日3話目です
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ロボットのところまでドローンを派遣したイリーナは、そのロボットを通して聞こえる少年の言葉を聞く。
『こないだ電波塔が壊れちまったけど、それさえあればまた広い範囲の人とやり取り出来るようにはなるぞ』
「『うーん、じゃあそっちに合わせたいから、取り敢えず君達の使ってる機材とか電波の規格とか確認させて貰ってもいいですか?』」
『もちろん良いぞ!』
ロボットの招くままに、ドローンをロボットとともに運搬用のエレベーターで地下に侵入させる。
その先には、広めの研究室のような場所があり、そこの奥の方の壁際にヘッドマウントディスプレイを被ってコントローラーを持つ少年の姿があった。
被っていたディスプレイを外した少年は、自ら通信用の端末について説明をしてくれる。
『これが端末だな。一応近場のシェルターとかとはケーブルで繋がっててやり取りが出来る。後は遠くの人とも連絡できてたんだけど、衛星が壊れたのか電波塔が壊れたのか連絡が出来なくなっちゃったんだ』
「『なるほどね。ちょっとスキャンと、接続しても大丈夫かな?』」
相手が本当に15歳ぐらいの少年ということもあり、また相手の親しげな態度もあり、イリーナは早々に丁寧に話すのをやめてフランクに話始めた。
『壊したりしないか? もし壊しそうなら、隣の部屋に使ってない端末があるからそっちで解析してくれ』
「『一応じゃあそっちの使ってない端末でやろうか』」
『オーケー』
少年に案内されて使ってないという端末の前にドローンを浮かせ、そこから幾本もの細い触手状のパーツを伸ばさせる。
地球の機械とイリーナ達の使う機械では規格などが大きく違うだろうが、それでも繋ぐことが出来るのがイリーナ達シュマーレ人の科学力だ。
端末の接続用のソケットの形状や端子の形をドローンが確認すると、細い触手が何本も集まって、それに適合する形のコネクタを形成する。
『凄っ』
少年がそう驚いているのを気にせずに、イリーナは宇宙船の演算能力を使って機械の解析を行い、宇宙船のコンピューター内の仮想空間に地球人の端末を模倣した仮想のデバイスを構成していく。
これにより、どうすれば繋ぐことが出来るのか宇宙船のコンピューターで調べることが出来るのだ。
「『よし、解析終わり。うん、これならすぐに繋げられるね』」
『ほんとか?』
「『ほんとほんと。ちょっとだけ待っててね。あ、ドローンはここ置いておくから、下手に触らないでね』」
少年にそう伝えてから、イリーナはドローンの操縦をやめて着地させる。
コンピューターの解析の結果では、特に新しい機器を作らずとも宇宙船の通信応力を使ってすぐに繋げることが出来るのがわかったので、電波の中継点になるように設定を変更していく。
そしてしばらくして、イリーナ達の母船が宇宙空間においてきた通信用の衛星が地球の通信も中継するようになり、一時期オフラインかローカルにしか繋ぐことが出来なかった地球人の端末が、オンラインへと息を吹き返した。
「『どう、繋がった?』」
ドローンからそう少年にそう尋ねると、歓喜の声が帰ってきた。
『すげー、ほんとに繋がったぞ!』
「『そう、それなら良かった』」
少年たちは繋がった事を喜んでいるようだし、通信の状態を見ていると、千人はいかない程度の人間が端末を介してやり取りをしているのがわかる。
地球人達はその事実だけで大喜びをしているが、大事なのはこの後の話だとイリーナは気持ちを引き締め直した。
そして、音声によるものだが、一般的に動画投稿サイトと呼ばれる類のサイトを利用して、端末を所持している地球人へと一斉に配信を始める。
「『回線が繋がって喜んでいるところ申し訳有りませんが、こちらと皆さんのやり取りのために通信を繋ぎたかっただけなので、まずはこちらの話を聞いて下さい』」
そう伝えると、配信のコメント欄に『了解です』『わかった』『本当にありがとう! 愛してる宇宙人さん!』『本当に宇宙人なのか? 信じられない』といったコメントがズラッと並ぶ。
それらを見ながら、イリーナは本題について話を始めた。
「『今回相談したいのは、皆さんの住環境をどうするか、です。まずその前に状況を説明します。私達の技術力でもこの惑星そのものに生態系を行き渡らせるには数年かそれ以上の時間がかかります』」
『まあ、そうか』『おいおい嘘だろ? まだそんなに待てっていうのか?』『頼む、俺のところだけでも自然を生き返らせてくれ』『これ以上1人は耐えられない』などなど、やはり生態系がある場所での生活を望む声が大きいことをイリーナは確認して、話を進めた。
「『そのため、今とある島だけに集中して生態系を完成させ、移住を望む方はそちらの島にお連れしようと思っています。ですが、良いですか、ここからが重要な内容です』」
そう言ってイリーナは一旦話を切る。
生態系のある場所に住むことが出来る、自然の中に入っていける、というのは地球人たちには悲願かもしれないが、同時にデメリットも存在する。
その事をちゃんと理解してもらわないといけない。
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