第14話 手を取り合うために
本日2話目です。
この小説は毎日複数話投稿を基本としているので、飛ばさないように確認をお願いします。
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場所が決まれば、期限の1週間後が来るまでにその島を緑地化してしまう必要がある。
その作業のためにイリーナ達は、星の衛星軌道上にあった宇宙船を動かして、その島の上空へと固定する。
もちろんシュマーレ族の科学力なので、大気圏内での飛行もなんてことない。
「よし、早速緑地化していこう!」
「はい。ひとまず微生物を他から集めてきて散布しましょう」
選んだのは、およそ10平方キロメートル程ある島。
これぐらいの大きさなら、数年、数十年人が住み続けても大丈夫だろうという広さの島。
一応2人が想定している生存者は数十から数百程度なので、それ以上に集まった場合は、ちょっと狭いかもしれないが、1週間以内での緑地化と、各種環境生物と草食動物、草食モンスターの配備を考えると、これぐらいの大きさが限界である、という判断になったのだ。
それも宇宙船に備えられた作業機器のリソースを全て割いてやることなので、この作業中はマリーが他のことができなくなるというデメリットもある。
それでも、折角生き残っているのだから、地球人達にもう一度大自然を見せてやりたい。
そして自分が生み出す最高の世界観の、ファンタジーの世界を見せつけてやりたい。
自分とマリーだけで楽しむのは勿体ないというイリーナの思いだった。
ついでに言えば、ゲームの世界観である以上そこには環境とともに生きる人間も存在した方がらしいよね、というイリーナの打算もある。
そんなこんなで、2人は星の緑地化とそこに配備する生物、モンスターなどを選択していく。
なおモンスターと生物を言い分けているのは、母星エルフィアに存在しないような巨大生物を他の小型生物と一緒にするのは躊躇いがあったからだ。
故に2人は、危険度が高かったり明らかにデカい生物をモンスターと呼称することにしている。
「結局モンスターはアシプノスだけかな。後は小型生物が多めで」
「はい、そうなりそうですね。大型の草食モンスターの中には小型の肉食竜と同じ程度には危険なものも増える予定ですから」
アシプノスというのは、恐竜のような見た目をした温厚はモンスターだ。
モンスターと言っている通り、その体躯は並の象よりも大きい。
ただ草食性かつ温厚なので、人から手を出さなければ何も問題は起こらない。
「うーん、後は生活環境は、どれぐらい整えてあげた方が良いかな?」
「悩ましいところですね……どの程度文明が進んでいたかが不明ですし……私達が去った後に高度な文明の維持は不可能だと思います」
「だよねえ。私も大地の狩人系の大自然の中にいきなり現代の建物ってのは世界観的にやりたくないし」
今2人が話し合っているのは、例えばこの暫定地球の惑星中から人を集めて1つの島に押し込んだとして、その居住空間をどうするか、という話だ。
少なくともイリーナの知っている現代文明以上の文明に浸り、孤独とはいえシェルターだか地下室だかで数年単位で生活することが出来るような現代的な生活を送っていた生存者達が、いきなり野に放り出されてサバイバル生活をやっていけるわけがない。
だが一方で、たとえイリーナ達が完璧な住環境を提供したところでそれを維持するだけの能力は今の地球人には無い。
イリーナ達がずっと面倒を見続ければ可能だろうが、世界観に反する事を何故わざわざやらなければならないのか。
加えて、荒廃惑星再生者として、現地の文明にこちらの技術をばらまくなんてことはあまり望ましくない。
「……こればっかりは地球人と妥協出来るラインを探るしか無いか」
「そうですね。まずは1週間後の後。出来ることなら双方向のやり取りが出来るような装置があれば良いのですが」
そのマリーのなんとなく放った言葉に、イリーナは何かを思いついた表情をする。
「まさにそれ、じゃない?」
「というと?」
「地球人も連絡手段を持ってるんじゃないかな。それで電波塔か衛星さえあれば通信することが出来るとか」
「なるほど……。現地住民の機械を活用する、ですか。その可能性については検討していませんでした。となると、現地民とのやり取りが必要ですね」
そうと決まれば早速、とばかりに、2人は地球人と再度連絡をとるために行動し始める。
まずはまだ1週間経っていないが、全周波数帯を用いての地球全土への放送だ。
「『おはようございます、こんにちは、こんばんは、地球の皆さん。今回は、貴方がたと我々の双方向のやり取りが出来ないか、ということについて話したいと思って、こうして発信しています。前回の質問に対して数名の方から既に回答をもらっていますが、まずその前に考えるべきことが色々ある、ということに、私達も改めて気づきました』」
一方的な発信なので返事はないが、目の前に相手がいると思ってイリーナは話す。
相手への配慮を忘れず、しかしこっちの意思ははっきりと。
特に提供出来る最低限の住環境について話し合うために、そちらと映像つきでやり取り出来る手段はないか、と話しかける。
すると、先日も地上に顔を出していたロボットが再び地上に出てきて、空へと向けて手を振り始めた。
何か言いたいこと、おそらくは通信方法について心当たりがあるのだろう。
対話出来る方法を模索するために、イリーナとマリーはそちらに以前同様ドローンを飛ばした。
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つい先程この小説を書き終わりました。
結局23話で55000文字程の小説となりました。
今後も完結まで投稿していきますので、是非応援の程よろしくおねがいします。
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