第10話 ファースト・コンタクト
取り敢えずモンスターとか自然の維持機構の設定を練るのを一旦置いておいて、イリーナとマリーはそのロボットに接触をとるために準備を始める。
準備を始めると言っても、連絡用の装置を地上へと送り届けるだけだが。
ちなみに大量にナノマシンがアレば、発声装置のような形状をとらせて会話をすることも出来たのだが、残念ながらあのロボットの周辺にはナノマシンがそこまでの量は存在していなかった。
「頼む~、人じゃなくてただのロボットであってくれー」
イリーナがそう祈っているのは、相手が知的生命体である場合と、そうではない場合とで必要とされる対応が違うからだ。
とくに前者の場合は色々と面倒くさい話をしないといけないし、最悪イリーナの改造計画が頓挫する。
そして、地上に出たロボットが周囲の探索を始めたところに、イリーナたちが宇宙空間から投下した通話用の装置が到着した。
黒いドローンのような形状をしたそれに、ロボットがびっくりした挙動を見せているのが映像でわかる。
それだけで、イリーナのテンションは大きく下がった。
「こんにちはー。こっちの声聞こえてますか?」
『『え、何、これドローン? ていうか言葉? すいませんなんて言ったかわからないんですけど』』
そのロボットから発された音声に、イリーナは目を丸くした。
そのロボットの話す言語に聞き覚えがあったからだ。
そしてそれは、イリーナの記憶を覗いたことのあるマリーも同様だった。
「イリーナ、今の言語は……」
「『もしかして英語で話してる? え、というか、待って』」
そこで猛烈に嫌な予感がしたイリーナは、質問の内容を振り返る。
「『ここってもしかして、太陽系の第3惑星にあたる地球なの?』」
古い記憶を掘り起こして、向こうと合わせた言語で話すイリーナ。
固唾をのんでロボットの返答を待つ2人に、ロボットは困惑した声で返す。
『『英語も地球なのもそうですけど、どういうことですか?』』
「終わった……。いや終わったっていうかなにこれ? なぜ地球に?」
一旦向こうに通信が繋がらないように通話を切って、イリーナはマリーと顔を合わせる。
「イリーナは異世界転生したと思っていましたが、そうではなかった、ということではないでしょうか」
「えぇ……そんなことあるぅ?」
そうぼやきつつも、再び通信のスイッチをイリーナはいれる。
映像の向こうでは、急に黙ったドローンにロボットが色々と手を振ったり声をかけたりしている様子が映っていた。
『『すいませーん? 何も聞こえなくなったんですけど?』』
「『失礼、ちょっとこっちで立て込んでたものですから』」
イリーナはそう応えると、改めて対話を開始した。
「『まず確認させてほしいんですが、あなたは知的生命体ですか? それともその被造物である人工知能などですか?』」
『『普通に人間ですけど……』』
その言葉を聞いたイリーナは、がっくりと肩を落としながら話を続ける。
「『あーなるほど。私達は、えーと、あなたたちからするところの宇宙人というカテゴリに分類されるものです』」
『『は、はあ……てほんとですか!?』』
「『本当なんですよー。じゃあ次の質問ですが、あなたの他に生存者はいますか?』」
『『それなりにいると思いますけど。少なくとも俺の知る限りでも何人かはいますし』』
オーマイゴッド。
いやシュマーレ人は無神論者。
じゃなくて。
「マリー、電波の全周波数でこの惑星全体に発信することって出来る?」
「ナノマシンを介すれば可能です。行いますか?」
「うん、じゃあそれの準備をお願い。出来たら教えて」
マリーに指示を出した後、イリーナは映像越しに目の前の人物に向き合う。
「『ちなみに地球の人間の方達って、復興の手立てとかあったりしましたか? 地球が凄い荒れてたように思えるんですが』」
『『特に無かったと思います。地上がボロボロだったのと放射能汚染が強すぎて。なんか地上の放射性物質とか無くなってるので、あれ? って感じになってるんですけど』』
「『それ撤去したの私たちなんですよー。いや、余計なお世話にならなくて良かったです』」
そこまで言ったところで、横からトントンとマリーに肩を叩かれる。
どうやら、地球全土への全周波数帯での電波による音声発信が準備出来たらしい。
「『えー、ごほん。地球の皆さん、おはようございます。こんにちは。こんばんは。私達は遥か彼方のエルフィアという惑星からやってきた、貴方がたが言う所の宇宙人です』」
これで電波の受信機能がある地球の全生存者に連絡が届いているはずである。
「『今現在、全周波数帯で話しているのは、全ての生存者の方に現状を説明するためです』」
さて、ではまず状況の説明と私達のしていることに対して了解を得なければならない。
了解を得られなかった場合、ファンタジーの惑星を作って自分で楽しむという私の目的も頓挫してしまうことになる。
いやまあ地球を諦めて他の星でやっても良いんだけど、折角のハビタブルゾーンにある惑星だ。
出来ることならこの機会は活かしたい。
そう考えて私は、更に言葉を選びながら演説を続けた。
~~~~~~
6万文字って決まってるのでサクッと進めないと話が終わらねえ!
と今5万文字付近を書いている作者は思っています。
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ドラゴンノベルスのコンテストに出す小説なので、★やフォロワーの数は多ければ多いほど良いのです!
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