第9話 実験結果と突然の邂逅
早速惑星に放っていた環境維持機構のためのモンスターや巨人、精霊もどきなどを回収したイリーナとマリーは、それぞれのナノマシンから活動の記録を取り、その情報を元にどうするか話し合いを行う。
「巨人が結構微妙だったね。巨人というか地を這う系統の子というか」
「そうですね。特定の地点に置いて守り神みたいに扱うなら良いですが、移動させるとなると機動力が下がりますね」
「巨人が駄目ってわけじゃないけど、空中を移動できるモンスターは絶対欲しいね」
「一応精霊もどきにも浮遊能力つけてましたよね」
「つけてたけどさ。そもそも大精霊っていろんな種類が色んなサブカルで出てるでしょ? それこそ人型の存在からモンスターみたいな系統まで。だったら巨人とモンスターに分類しちゃって良いんじゃないの? みたいな」
「でも大精霊と精霊がモンスターとは別の理で存在している、みたいな作品もありますよね?」
そんな話し合いをしながら、どんどんとどういう方向性に持って行くかを決めていく。
そして色々と話し合った結果、結論にたどり着いた。
「やっぱりモンスターだね。大精霊は精霊という種族の管理が手間がかかりそうだし、巨人は移動能力が低すぎる」
「巨人は各地に置きつつ、他の飛行能力の持ったモンスターは世界中を巡るような設定はどうですか?」
「知的生命体が出てきたときに、巨人の反応で色々察されちゃいそうでさ。利用されると困るでしょ? それに見た目も知的生命体に似ることになるわけだし」
結論としては、巨人と精霊は一旦排除。
ドラゴンや巨大な鳥などを含めたモンスターに環境維持のための能力を持たせて、惑星に配備していく方針にイリーナは決めた。
色々とイリーナの考えに抜けがないか確認していたマリーもそれに賛同して、より細部を詰めていく。
「ファンタジーの世界観的に言うなら、1種類のモンスターが全部の修正能力を持つよりは、それぞれは強力な自然の具現化だけど全部合わせるとバランス良く自然の調和が取れてる、って感じの方が良いよね?」
「はい、そう考えます。1種類のモンスターにその力を持たせるということは、ただ私達の代理を作るようなものですから。それならば、能力をいくつものモンスターに分散して、その力が必要になる場所に必要な力を持ったモンスターが移動するような仕組みにしておいた方が良いかと」
「だったら風はやっぱり鳥型モンスターかなあ。マグマの流れは四肢のあるモグラ、はちょっと見た目がダサいな。どうしよっか」
そんな話を2人がしているところで、マリーがピクリと何かに反応した。
そしてそれと同時に、2人が集まっていたディスプレイに1つの映像が映し出される。
そこには、草1つ生えない地面から飛び出した小さな小屋のようなものと、そこから出てきた
人間のような形状をしたロボットの姿があった。
2人の間に数十秒間の長い間沈黙が流れる。
「……マリー? これ、何?」
イリーナは自分よりも冷静だろうとマリーに問いかけるが、人工知能であるマリーでさえ、この自体には困惑した様子を示している。
「いえ、私にも……当該ロボットから電波の送受信を探知。これは……まさか知的生命体がいる……?」
「いや、いやいやいや。そんな馬鹿な話あるわけ──」
『あるわけない』、そう言おうとしたところで、イリーナは軽く目を通したこの惑星に関する説明を思い出した。
『宇宙空間より望遠映像にて地表の様子を確認。生命の反応無し』。
それが、この惑星が荒廃惑星として再生対象に選出された理由だ。
「うわべだけ見ないでちゃんと調査しろよ! 普通地上が駄目になったら知的生命体は星の外に出るか地下に潜るかのどっちかしかないでしょうが!」
「当該ロボット周辺の地下をサーチ……リーナ、大変申し上げにくいのですが」
「うあー……。わかる。聞く前から内容がわかるよ」
それでも聞きたくないと首を振るイリーナだが、マリーは容赦なく事実を突きつける。
「この星の前文明の遺構か、あるいは場合によっては前文明の知的生命体そのものが存在しているようです」
「…………はぁーーー……」
深く深くため息をついたイリーナ。
それもそのはず、荒れ果て、もはや生命体の痕跡すら無いからと星を自分好みに魔改造するためにやってきたら、その星には先住民がいた。
何を言っているかわからないと思うが、イリーナもわかっていない。
ただ1つわかっているとすれば、ここは荒廃惑星再生者の出番では無くなるかもしれない、というところだ。
と、そこでイリーナは思い出す。
「あのさ、マリー」
「はい、なんでしょうかリーナ」
「荒廃惑星の基準の中にさ、生命体が確認できたとしても、『それ以上の発展が望めない星の状態』の場合は再生対象に入るみたいな決まり無かったっけ?」
「……一応ありますね。他には、知的生命体が存在しながらも植物などの再生が見込めない星の状態の場合は、知的生命体に告知した上で再生作業を開始する、という項目もあります」
「うえー……。じゃあ1回あれに接触してみなければいけない感じ?」
「そうですね。一度接触したほうが規則の遵守にもなりますから」
突然の、惑星を荒廃させたであろう前文明の出現に、イリーナとマリーは頭を抱えるのであった。
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