第8話 やっぱりかっこいい子たち考えてるときが一番楽しい
窒素呼吸の下り、今サバイバルの話を書いていて『酸素無いって火がつかないやん』となってどう考えても無理じゃねとなったのであの辺書き直します。
その後に特に大きな影響は与えませんが、一応設定が変わるのでご了承下さい。
イリーナ達シュマーレ族は
窒素呼吸✕→酸素呼吸○
とし、大気組成も地球と割合は違うものの似たようなものだという設定に変更します。
作者が呼吸の原理など科学的な部分について疎いために、無茶な設定を読ませてしまって申し訳ありませんでした。
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イリーナとマリーは、早速星に放つための生物のデザインを考え始めた。
と言っても、いきなり全ての生物を放つことが出来るわけではない。
まず星の生態系を考えるならば、生態系の基礎となる多量の微生物について考える必要がある。
そしてこの微生物については、惑星再生プログラムのほうですでに、『これを使えば万事解決』と言わんばかりのコンプリートセットの微生物群の遺伝子表などが配られている。
これらは星の特徴に合わせた進化をし、更にナノマシンを最初から内蔵して発生するようになっているために、その後の生態系の自由な改造の邪魔になることもない。
そんな理想的な微生物群を、すでにイリーナは惑星に放っていた──!
「まあ、これについては自分で全部考えるのは無理だからね」
「私でも全機能を割かないと厳しいですからね」
そもそもとして、生態系というのは非常に複雑なものであり、それを一人の人間、まあイリーナの場合はシュマーレ人だが、一人のシュマーレ人が一から組み立てるのは不可能である。
相互に複雑に絡み合い、また生態系のピラミッドも存在し、環境との関わりや環境に与える変化、あたえらえる影響と様々な要素があり。
その全てを考えて作り上げるぐらいならば、最初から改変しやすいものにしておいて、後から作ったものに合わせて変化するような形にしておけば良い。
それが、惑星再生プログラムにおける微生物のコンプリートセットだ。
「よし、取り敢えずこれで微生物が出来る……でこの後、進化の歴史とか考える?」
「考えるのも楽しそうですけど、大変そうでもありますね」
「だよねえ」
微生物を放った二人が次に考えるのは、作る生物の方向性である。
その中でも、いきなり完成形の生物を作って理想の星にしてしまうのか、それとも生物がある程度進化する前提で単純な種を放ったその進化の様子を見守るのか。
その二択について考えなければならない。
現代の地球を例に考えるならば、今存在している種をそのまま設置する、例えば哺乳類なら多用な種類のそれらを設置するのか、それとも恐竜の足元で必死に生き延びた哺乳類の祖先を設置して、それが進化して新しい種族が生まれるのを待つのか、という話である。
「まあ、普通に考えて作りたい生物作るよね。つじつまは後で合わせられるし」
「ですね。じゃあその方針で行くということで記録しておきます」
もちろんイリーナが選ぶのは前者である。
そもそもイリーナの目的はゲームのようなファンタジーの世界を自分で楽しむことであって、生物がどのように進化するのかというシミュレーター的なことではないのだ。
世界観を考えるのが好きとはいえ、それと自分でファンタジーを体感することのどちらが優先かと言われればファンタジーだ。
小さなネズミと全長10メートルのドラゴンならば後者を作って見てみたい。
もちろん微生物を放って後は進化するに任せる惑星再生者もいるだろうし、なんならイリーナのように最初から作りたい惑星がある方が異端ではあるだろうが。
普通の惑星再生者は、惑星を浄化した後、微生物セットを放てばそれで十分なのだ。
なんせ微生物セットの微生物は放っておけば勝手に成長して環境に適した生物へと進化する。
それこそ地球の生物が微生物から始まって人間やライオン、象、クジラに至った程に大型で知的な生物も自然に生まれうるほどだ。
そこにわざわざ手を加えるような必要性は、星を再生するという目的だけを考えればないのである。
そのあたり、イリーナは思い切り異端であるし、上司からも「こいつ大丈夫だろうか」という形で心配されていた。
それはイリーナの目的がそもそも自分の好きな環境、生態系の星を作りたいというものだったからで、上司の心配は的外れではあったのだが。
「それじゃあまた年単位で観察ですね」
「長いなー」
「広まりきればいい分これでも短い方ですよ。進化を待つなら何万年とかかるわけですから」
「だよね。それにしても長いな、って思っちゃうわ」
人類の歴史も、地球の、生命の歴史に比べたら分針が一回動くかどうか程度のものだと前世でも言われていたことをイリーナは思い出した。
本来生物の自然淘汰と進化にはとんでもなく長い時間がかかるのである。
「コールドスリープに入りますか?」
「んや、それは良いや。それよりちゃんと作る惑星の設計しておきたいし」
「そうですか」
そう言ってイリーナは、惑星の様子を浮かべていたモニターを操作して、作成中だった生物モデルや設定集を表示していく。
「やっぱり思ったんだけどね」
「はい」
「先に格のある奴等、つまり自然の維持機構の役割を持ってる奴等作った方が、後はダウングレードさせやすいかなって思ったんだけど」
「それは惑星の浄化と微生物の散布が完了して、ちゃんと検証してからの予定ですよ」
「ぬーん」
今イリーナを困らせているのはこれだ。
実験が完了してから改めて検討しブラッシュアップすると決めたために、大精霊やドラゴン、巨人などの格のある生物の設計に手をつけられない。
「もう、1回全撤去で良くない? 微生物が広まってる間は実験いらないでしょ? どうせ後からモンスターとか植物とか持ち込むんだし」
「うむむ……確かにそうとも言えますね。では実験はここまでにしておきますか?」
マリーの言葉にイリーナは大喜びで頷く。
「うん、そうしよう! これまででどういう系統が一番役立つか、わかったはずだしね!」
最初に決めた方針よりも今のノリが大事。
イリーナにはそういう短慮なところがあった。
だからこそ主を愛おしい、なんてマリーは考えているわけであるが。
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