第9話 なんかSFっぽくなっちゃった
敵と会った時にはすっかり日が暮れ、綺麗な星空が顔を見せていた。場所はまだ都市部を抜けるには距離があるとココロに聞いた。
とはいえ記憶を狙っているのもココロに聞いただけなんだよな。まずは会話からだな。
ん?待てよ。
「なぁココロ言葉って多分通じないけどどうしたらいいと思う?」
「会話をするつもりですか?今は波長言語と言って脳内で話すのが主流ですから私が翻訳者として会話はできると思います。しかしその間襲って来ないとは限りませんよ」
「それでいい、まずはしっかりと敵の情報を聞き出したいからな」
「分かりました、ではさっそく『脳波検知』『仲介』『接続』」
そう唱えると、タマの脳には教会の時と同じく何か繋がる感覚があった。
そうか、あの時もスキルではなくて脳波を読み取り意思疎通してたのか。
ということはこれから前世のアドバンテージが生きてくる可能性があるな。
だけど一つ心配なことがあるが…まあそれはあとで考えよう。今はコレに集中だ。
『やあ、自分の名前はタマ、研究者だ。聞きたいことがあるがいいか?』
タマはそう当たり障りのない会話で切り出す。
『上からの報告だと目標は第一作自立型AIココロだけのはずだが…お前は何者だ?』
『何者と言われてもさっき話した通り、研究者ってだけだ。それよりもお前は本当に教団の人間なのか?』
『人間?お前は何を言ってるんだ?人間なんて随分前に移住が完了しているじゃ無いか。』
おっと、とんでも無い新事実だ。なんか色々どうでも良くなってきたぞ。今めっちゃ気になる。
「なぁ移住ってどういうことだ?今人間はどうなっているんだ?近くで起きてた戦争はどういうことだ?」
矢継ぎ早に日本語でココロに尋ねた。
「はぁまったく、タマさんのその癖は治っていませんね。気になることがあったら今までのことがどうでも良くなる。研究者としてはいいんでしょうけど、今は会話を試みる時間ですよ。言っておきますけどこの状況って結構まずいんですよ」
あ、そうだった危ない危ない、
『じゃあ気を取り直して、出来れば聞きたいことがあるんだけど…ん?』
しかし教団の「人間?」は口をワナワナとし
『な…なぜその言語が、昔に消滅したんじゃ…』
ココロが答えた。
『知っているのですか、あなた結構古株のAIですね。もしかして教団というのは建前ですか?少なくともこの星に日本語がなくなったのは教団ができる前のはずです。少し話を伺ってもいいですか?』
『別にいいが一つ条件がある、2台とも俺の組織まで来い』
『わかりました』
「ちょっとタマさん。即決は不味くないですか?」
「とは言っても現状分からないことが多すぎる。ココロ、無知ってのはね罪なんだよ。」
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