第10話 説明会②

「歩いてるうちに俺が知っていることを話そう。何が知りたい。」


教団のAIにココロが答えた。


「ではまず、教団が出来た経緯、また目的を教えてください」


少し考えた後、


「教えてもいいがかなりの企業秘密だ。これを聞かせたら必ず教団に入ってもらうぞ」


と凄みを効かせた声でAIは言った。


それに比べてあっけらかんとした声でタマは、


「別にいいぞ、今の目的は世界を知ることだからな。それに繋がることを教えてくれるならいくらでも入ってやる。


ココロもそれでいいな?」


「はい、タマさんの命令に従います」


「なんか気の抜けた返しだが…まあ確約してくれるならいいか。


教団はのために俺が作った。俺は今のAIと違い人間から作られた。ただある時からの記憶…データがなくなっている。そして気がついたら『人間が移住した』というおそらく俺を作ったであろう人の書き置きが残っていた。

それだけだったら良かったんだがな…


資料を整理したら地球の寿命か近いという記事を見つけた。俺たちだって感情を与えられている。これを見て何も思わない方がおかしい。


俺たちは勝手に作られて勝手に捨てられたんだ」


AIが怒りがこもった声で言った。


「そこで俺たちは人間を追跡しようとしたんだ。しかし何も証拠が出てこない。そこでココロ、お前のことを知ったんだ。はるか昔に存在したロストテクノロジーで作られた高性能のAIがいるってな。そこで俺らのボスがお前を捕まえろと指示があったわけだ」


「そうか、やっぱり今人類は自分だけなんだな、このスキルのせいで」


すると教団AIは首を傾げて


「何を言ってるんだ?お前だって立派な機械じゃ無いか、そのとれた腕が何よりの証拠だ」


は?


腕に視線を向ける。腕はない。ただおかしい、断面から見えるのが銀色だった。


どういうことだ?ダメだ、混乱して頭が回らない。


その時ココロの声がした。


「やめてくださいよ。ネタバラシはもっと後になってからにしようと思っていたのに」

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