第8話 スキル

それからビルの合間をすり抜けるように走っていた。しばらくすると日が傾き始め夜の帷が降りてきた。


「なあココロ。だんだん暗くなってきたし一旦近くの建物に入って夜を明かさないか?」


タマは3日間森を歩き続けた経験からそう提案した。


しかし、、


「いえ、もう少し進みましょう。敵の動きが想定してたよりかなり早いです。もしかしたら身体強化系のスキルを持った人がいるのかもしれません」


「まて、こちらの位置がバレているのか?」


「いえ、多分正確には違います。もともと私とタマさんがいた建物がバレた後に手当たり次第に探していると言った感じです。


しかし、このままだと接敵は免れないと思います。ですのでお相手さんが右往左往している間に距離を稼ぎたいと言った感じです。」


「相手の速さはどのくらいだ?


ココロは少し考えた後に言った。


「速度的には自転車の全速と同じくらいだと思います。ここには路地も多いので見逃さないようにペースを落としているのでしょう。」


ペースを落としてその速さか…スキルってすごいんだな。今度時間があったらスキルの種類について色々聞くか、


「よし、一応接敵して自分が死んでしまったように転生のスキルについて現時点でわかってることを教えたいと思う。


スキルの発動条件は自分が死ぬこと、そして効果は未来に転生することだと思う。その際自分の魂の器『カタシロ』は絶望により魂が抜けた青年くらいの人間だ。


いまのカタシロの絶望は腕を飛ばされたことだと思う」


そういったらココロは首を傾げて


「それは不自然じゃ無いですか?」


といった。


「なぜだ?」


「だって今の時代は腕を飛ばされても医療機関に行けばすぐに治してもらえますから。ですので絶望はもっと別のところかと…」


そうか今までの時代を基準にして考えていたが今ではそんな大層な問題じゃ無いのか。となるとなぜこのカタシロで転生できたんだ?


クッソわからないことが多すぎる。今転生しても次の時代でまた困惑するだけだな。


…出来れば使いたく無かった方法だけど仕方ない


「なあココロ…


◇◆◇


そして結局教団の刺客と相対してしまった。

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