第2話 貿易?契約?まず挨拶。
ちっぽけな港町に、俺の会社はある。
株式会社三津原貿易。
都会の会社と比べればちっぽけな会社だが、この港町の多文化的な豊かさは此処の貿易で保全しているといっても過言ではない。
「おい!留ン田!また遅刻か!」
「社長....貴方もじゃないですか?」
ロープウェイから降りて歩き出すと、後ろの方から声が聞こえる。
どうやら俺の一つ前のゴンドラに彼、社長である三津原重樹は乗っていたようだ。
社長とは思えないほど豪快な性格で、かなりガサツな人だ。
しかし、貿易会社の社長らしく、仕事...特に交渉能力はかなり高い。
「ガハハ!ほら、急ぐぞ!」
彼に急かされながら、会社へと歩く。
「...そういえば知ってるか?今日の朝、今度はアメリカで『大量停電殺人事件』が起きたらしいぞ」
「朝から物騒な話しないでくださいよ...」
『大量停電殺人事件』
世界各国で起きている原因不明の大規模な停電及びそれに付随する大量殺人。
それが起きる予兆、場所、周期、目的。その一切が不明の怪奇現象...というよりは
災害だ。
被害を受けた国は
フランス イギリス スイス カザフスタン パラオ....他にも様々な国がその名を連ねる。
一部の国際連合非加盟国ですら、それの解析、対策を行うために国連に加盟したとされるほどの災害。それがついにアメリカでも発生したのか。
「物騒な話?とんでもない!これを機にアメリカとの貿易も考えるべきだろう?」
「あのですね!人が死んでる事件をそう判断するのは.... 」
「まあまあ、ほら、会社に着いたぞ。今日は来客が来てるんだ。」
「来客?そんなの初耳なんですが...」
会社所有の小さな建物に入る。
階段を上り、質素なオフィスに入ると
背の高い男性が2人と、小さな女の子が一人、ソファに座っていた。
海のような蒼さの目で、金髪、顔も整っている男。
黒髪で茶色の目を持つ男。
紫髪で青と赤のオッドアイの少女。
どうやら、黒髪の男を除いて外国人のようだ。
「こんにちハ。」
金髪の男が立ちあがり、軽く会釈をする。
「遅れてしまって申し訳ない!ああ、留ン田君は知らなかったか。紹介するよ。金髪の彼はルソーさん。黒髪の方は
「よ、よろしくお願いいたします...?」
とりあえず会釈をする。
この三人は...どこか変な雰囲気がする。ただの貿易交渉の為に来たわけじゃないような...?
ふと、ディアボロという少女がこちらを見ているのに気付いた。
「...?」
「....アハッ♪」
固まる俺に、その子はただ微笑んだ。
「とりあえず留ン田君はここで貿易書類の処理を頼むよ。」
と、社長は三人を連れて会社を出てしまった。
しょうがない。他の社員にも挨拶をして、デスクに向かう。
まずは、スイスからのシードルクラフティを発注するための書類からだ。
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