第14話 炸裂!雷神の覇道!

「―――俺の勘違い、正せるものなら証明してみろ!」


 己が力で! と、ソージが剣を抜く。隙のない構えだ。


 魔力を放ってる感じはねぇけど……何だこの異様なプレッシャーは。


「あ、あの」


「あ? どした」


 どう攻め込むか考えるオレは、ソージを見据えたままチビ女の話を聞く。


「さっきは逃げ遅れましたが、『二人で戦える』と知った瞬間、そんな気持ちはどっかに行きました」


 ―――アナタとなら、運命を変えられるかもしれません、とチビ女が優しい声で告げた。


「………!」


 オレが振り向くと、目元は相変わらず見えないけど、チビ女の笑っている口元が見えた。


 そして、瞳から放たれる謎の光も。


「オマエ……その眼」


「攻める気はないのか?」


「「………!」」


 冷たく響く声が聞こえ、オレたちはソージに体を向ける。


「では、俺から行かせてもら―――」


「【ライトニング・サンダー】!」


 距離を詰められる前に、牽制として魔法を放った。


 【勇者】の顔すれすれに、雷撃が通りすぎる。



「えっ?」



 剣を構えて固まり、ぽかんとする【勇者】にオレは感心した。


「やっぱアンタ、ただ者じゃねェな? 距離を縮めれば、顔面にオレの魔法が直撃することを一瞬で見切るなんてな……さすがだぜ」


「ま、まぁな! 俺からすればまだまだだな!」


 肩に剣を乗せて、【勇者】は腰に手を当てる。それから、「あは、あはは!」と高笑いした。


「あれが、『強者の余裕』ってヤツか……」


「いえ、むしろ逆だと思いますが……」


「【神童】くん、君は強いな……素晴らしい速攻魔法だ。なら—――」


 君はどうかな! と、【勇者】がチビ女目掛けて突撃する。


 オレたちはその速度に目を見開いた。


 は、速ぇ……!


 チビ女抱えて避けようにも、【アイギス】を使わなきゃ間に合わねぇ……!


 でも、そんな余裕—――


「終わりだ!」


「や、やめてー!!」


 一足でチビ女の前に現れ、剣を振りかぶる【勇者】。


 それにチビ女が両手を前に突き出すと、そこから光が生まれた。


 【勇者】の動きが—――止まった、一瞬だけ。


 未知の何かを目の当たりしたかのように、【勇者】の顔が驚愕に染まるのが見えた。


 ……いける!


 一瞬の隙、それだけ十分と判断したオレは【アイギス】を発動する。


「ここは一旦、引くぞ!」


「ぜ、全身に雷ぃ~~~!」


 チビ女を脇で抱えて跳躍すると、【勇者】の剣が地面を割れ砕き、「ぎゃぁ~~~っ!!」叫び散らかした。うるさい。


「今のは魔法か?」


 ギロリと【勇者】が流し目で、オレたちを睨む。


 ザクッと地面に刺さった剣を抜くと、ゆっくりと一歩ずつ近づく。


 その足音が響く毎に、オレたちの緊張感が高まった。


「見たことがないな……。知らないことは面白い、未知がオレの探求心をくすぐる……、心地良い。だから、この飽くなき探求心をもっとくすぐってくれ―――」


【勇者】は剣を持つ手にグッと握ると、刀身が赤く燃え上がった。


 炎を纏ったんだ。


 何だ? あれ……。炎魔法なのは分かるけど、剣に纏わすなんて見たことがねぇ……。


 でも、分かることがある。


 あれは―――ヤベェ……!


「知らない、って顔しているな……。これは武器などの物体に魔法を付与する―――【エンチャント】って技だ」


【エンチャント】……? やっぱ知らねぇ。


「この技のおかげで今までオレは、様々な困難を乗り越えてきた。……しかし、それを会得するまでは、相応の時間がかかった……。それこそ死に物狂いだったよ、あの時の俺は……」


 その時を思い出してか、はたまた別のことを思い出してか、【勇者】は苦しそうに笑った。


「……でも、そうだな。【神童】くん、君は噂じゃ相当の魔法の使い手のようだな。そこでどうだ? 君が望むなら【エンチャント】のヒントをやる。ただし、教えはしないがな」


「へっ! ヒントもいらねーし、教えも乞わねーよ! 要は結局、魔法なんだから―――」


 オレは手を前にかざして、錬成魔法を発動する。


 シュンッと現れた剣を握って、



「―――【神童オレ】にできねェことは、無ェッ!!」



 刀身に魔法を纏わせ―――【エンチャント】を発動した。


 今は【アイギス】使ってんから、それに合わせて剣もバチバチッと雷魔法にした。


「しょ、初見なんですよね……? なのに、どうして……」


「クククッ……さすがだ! 武器に魔力を宿すには高度な技術が求められる……それを容易く乗り越えるとは! その力、試したくないか?」


「あぁ……アンタにぶっ放してやりてェ気分よ」


「なら—――」


「ヒヒッ!」


 オレたちは同時に剣を構えて、



「―――いくぞッ!」



「―――ぶっ潰すッ!!」



 一気に間合いを詰め、全力を以って振りかぶる。


 瞬間、【エンチャント】された剣同士がぶつかり合い、衝撃波が生まれ、闘技場全体に広がった。


「うっ……! バケモノなんですか……!? あの人達……!?」


 雷と炎が天空へと立ち昇る中、衝撃波に飛ばされないよう、腕で風を防ぎ、地面にしっかりと重心を乗せるチビ女。


 オレたちはつばぜり合いのまま、展開もなく拮抗した。


 しかし―――


「クッ……!」


 ダメだ……押し通せねェ……!!


【アイギス】で身体能力は大幅に向上してんのに、なぜか身体強化魔法を使わず、生身の【勇者】と互角だった。


 ……違う。消耗してるのは、明らかにオレの方だった。


「どうやら、剣術の方は大したことないみたいだな……。いや、素人か? 足りない……圧倒的に経験値が足りない。だから、力で無理やり押し通そうとする。……剣はな、ただ腕力だけで勝てるほど―――浅くないッ!!」


「グッ……!?」


【勇者】がオレの剣を滑らして、力の入れどころが無くなり体勢が崩れる。


【勇者】はそれを見逃さない。受け流した力を利用して横へ薙ぎ払った。


 宙に浮いたオレは吹っ飛んで、受け身を取ることもできないまま、チビ女の近くへ背中から落ちる。


「…………」


「だ、大丈夫ですか!?」


 チビ女がオレの身を案じて、丈の長ぇスカートを汚してまで膝を付いて顔を覗き込む。


「こ、これで……ハァ……決着は……着いたな……。もう、終わりにしよう……。試験終了だ……」


「………いやだ」


「「えっ?」」


 呆然と目を丸くさせるコイツらに見られる中、オレはのっそりと立ち上がって、もう一度言う。


「いやだ……オレが勝つまでやるもん。絶対、負けたまま終わりたくないもん……」


「もういいじゃん!! 今はまだ、俺には勝てないの!! 分かったでしょ? それに俺、正直、疲れたの!! 俺の体、労わって!!」


「そ、そうですよ! 今はまだ、その時ではないのです! 【勇者】を追い詰めただけでも、十分じゃないですか!」


「十分なんかじゃねー! 勝つまでゼッテェ諦めねぇ……! 挑戦し続けてやる!」


「面倒くさいね。いつもこんな感じなの? この少年。ビックリなんだけど」


「今日、初めてお会いしたのでわかりませんが……そうですね、とんでもなく負けず嫌いですね」


 オレを指差して訊ねる【勇者】の質問に、淡々とチビ女は答えた。


「ごちゃごちゃ的外れなこと言ってるけど、オレ―――アンタに勝つ方法見つけたから」


「「………!」」


 二人は目を見開くが、【勇者】はすぐに元の涼しい顔に戻った。


 それはきっと―――


「ハッタリだろ? そんなすぐに強くなるわけ無いじゃないか。むしろ、俺に勝つ程の力なんて以ての外。虚言は心の刃を鈍らせるぞ?」


「ハッタリでも虚言でもねェよ。それにオレの心の刃、ピッカピカだから。毎日、しっかり睡眠取って、ノンストレスコーティングしてるから」


「何を言ってるのかさっぱり分からないが……その証拠、俺に見せてみろ」


「アンタはさっき、オレの剣が素人って言ったな? あぁ、その通りだ。剣なんかロクに握ったことねェどころか、触ったことすらねェ……。だから―――」


 オレは再び錬成魔法で剣を作る。


 それも一本じゃあない、大量にだ。


 オレは背後に召喚した大量の剣に―――【エンチャント】を付与する。


「クソ剣術カバーすんために―――魔法でゴリ押すッ!」


「……えっ? 剣、努力しないの? そこに行き着いちゃうの?」


「おぉー! スゴイです! 一本の剣で拮抗してたのに、さらにそれが大量となれば……! 勝てます、勝てますよ!」


「おうよ! だからチビ女、オレに協力してくれ!」


 ニヒッとオレたちは笑いながら、【勇者】へと顔を向ける。


「オレが一発でラストアタック決める。だからオマエは—――」


「分かっています……動きはボクが封じるので、ご安心を……」


「助かるぜ……」


「ちょ、ちょっと待てよ! 【神童】くん、確か君、俺とタイマン張りたいんじゃなかったっけ!? 本当にいいの!? 共闘になっちゃうよ!?」


「初めはそう思ってたけど、今は勝つことが最優先だからな。だから、そんなのどうでもいいや」


 んじゃ早速、始めるとすっか、とオレは狼狽える【勇者】に切っ先を向けた。


 すると、オレが作った剣たちが螺旋を描いて導きを作る。


【勇者】を穿たんとばかりに。


「チビ女!」


「はいっ!」


 オレが言わなくても、チビ女は原理のよく分からん魔法を発動して動きを封じた。


 ―――準備は整った。


「う、嘘でしょ~……」

 

 泣きそうな目で引きつった笑みをする【勇者】を見て、オレたちは顔を見合わせて頷いた。


 それから、真っ直ぐ【勇者】を見据える。


「「これでオレ(ボク)たちの—――」」


「や、やめ……」


「「勝ちだッ!!」」


「やめろぉおおおおお!!」


【勇者】が断末魔のような叫び声を上げた瞬間、



「—――【雷神の覇道ライジング・ロード】!!」



 と、オレは剣を天から地へと振り下ろした。


 放たれた剣戟の光線は、剣の道を通るごとに威力が増加していく。


 それは音からでも、色からでも判断できた。


 雷特有の轟音、紫電に進化した光線が近づき、【勇者】の顔色が悪くなり涙が零れた。


 次の瞬間、紫電の光線が【勇者】に直撃して、爆風と爆音が鳴り響いてオレたちに襲い掛かった。


「うっ……!」


 オレは結界魔法で壁を作り、何とか防ぐことができた。


 ここまでの威力とは予想外で、思わず面食らった。


「うわぁ~~~っ!」


 しかし、防ぐ手段などなかったチビ女は、泣き叫んで吹き飛ばされそうになる。


「チビ女!」


 瞬時にチビ女が吹っ飛んで行かないよう、オレはその細っこい手首を掴んだ。


「さ、さっきのとは、威力が段違いでしたよぉ~~~っ!!」


「しょうがねぇだろ!? じゃなきゃ、勝てねぇんだから!」


 爆風が収まり、砂埃が立ち昇る。


 静寂に包まれるが、オレたちが顔を見合わせると終わりを告げた。


「……チビ女!」


「……アルセくん!」


 イェーイ! とオレたちは勝利を讃える—――ハイタッチをした。


「勝ったんだぜ! オレたち、あの【勇者】に! スゴくね? オレたち、スゴくね?」


「はいっ! 摸擬戦とは言え、勝利を収めるなんてスゴイです!」




「—――やめろって、言ったじゃないかぁああああ!!!」




 オレたちが喜びを分かち合っている時に、そんな怒りの孕んだ叫び声が聞こえた。


 顔を向けると砂埃が晴れ、シルエットが見えた。


 そこにいたのは—――



「罪の無い虫さんまで殺すつもりなのか!!」



 地面に腕と膝をつき、身を挺して守っている【勇者】がいた。


 砂と土で薄汚れた身体の隙間から、ヒュ~と一匹の虫が羽ばたいていく。


「「…………」」


 それをオレとチビ女は……ただ呆然と見ていた。


「ったく……俺に勝つことに必死になりすぎだ、お前たち」


【勇者】は立ち上がって、「次からは気を付けるんだぞ!」と忠告した。


 アイツ……今まで虫んころを気にかけて立ち回っていたのか? しかも、守った……。


 そ、そんな……そんなの………!!



「小さな命、見捨てないで守りきるなんて―――カッケェ―!!」



 前言撤回! 思ったよりも強くねェと思ったけど、やっぱ強ェーし、何よりカッケェ―わ!


【勇者】!


「おそらくそれ……敗北用に用意していた魔道具―――」


「ゴホンッゴホンッ……ってことで、オレは無事、命を守り、役目を果たしたわけで実技試験終了だ」

 

「えぇ~まだ、やれんだろ? 早く続きやろうぜ!」


「ま、まだ戦うつもりなんですか!?」


「悪いが……それは無理だ」


【勇者】が手に持っている剣を前に出すと……刃がバラバラと砕けた。


「そっか……。武器が壊れたんじゃ、しょうがねぇよな……」


「そう言う訳だ」


 そう言って【勇者】は、欠けた刃の剣を鞘に納める。


「俺は先に戻る。お前たちもすぐに戻れよ」


 オレたちに背を向けて、【勇者】は手をひらひらは振ってその場を後にした。





「あぁ言ってたけど、流石に疲れたよな? ゆっくりしながら戻るとすっか」


「そ、そうですね……」


 鼻歌を歌ってご機嫌なアルセの背中を見て、チビ女こと―――マーリンは先ほどの戦いを思い返す。


 疑問に思う瞬間があったからだ。


(確かにあの時、ソージさんはアルセくんの絶大な威力を持つ光線のような剣技を……直撃していました。なのに、どうして―――ほとんど無傷だったのでしょう)


 確かにアルセの放った【雷神の覇道ライジング・ロード】は、【勇者】に直撃していた。


 にも関わらず、見えた姿は外傷もなく、服に土汚れが増えただけだった。


 では、一体……どのようにして【勇者】は防いだと言うのか?


 また呪いにも等しいおぞましい自身の魔法を打ち破ったと言うのか?


 マーリンの疑問は、さらに深まる。


「おーい? どした?」


「アルセくん……」


 歩みの遅かったマーリンを心配してか、アルセが振り返った。


 アルセはその時、何か違和感を抱いた。表情ではなく、直感と言うか雰囲気で。


 たとえ、顔が髪で覆われていたとしても、アルセはそれだけで気付ける男だ。


 だから―――


「ほら、隣来いよ! 隣いねーと寂しいからさ? なっ、一緒に戻ろう」


 ニカッとアルセは無邪気に笑って、隣で一緒に歩くようそう言った。


(……いえ、今は考えても仕方ないですね)


「はいっ! 今、行きます!」





「遅かったわね」


「………ミミか」


 アルセたちがいた闘技場の入り口の前に、ミミが腕を組んで待っていた。


 なお、杖は背中にかけている模様。


「どうして、ミミがここにいるんだ? 試験はもう終わったのか?」


「えぇ、ちゃんと合否まで決め終えたわ。だから、あなたの様子を見に来たのだけれど……案の定ボロボロね」


 ミミは砂と土で汚れ、ところどころ服が裂けた恰好をしたソージを苦笑いで見た。


「あなたでも、さすがに苦戦した?」


「……そう、そうなんだよミミっ!! 俺の話、聞いてくれよ!!」


 突然、泣き出すソージ。そこには、【勇者】の影など微塵もなかった。


「何があったの?」


 成人男性の泣きじゃくる姿など、大半の者は見るに堪えないと現実逃避する。


 しかし、ミミは違うのだ。


 彼の幼馴染だから、昔から泣き虫だと知っていたから、ドン引きせず優しく微笑みかけて頭を撫でるのだ。


「グスッ……あの【神童】くんさぁ? 訳わかんない魔法打ってきたの、物凄ーいスピードの魔法……避けられるわけないじゃん!! しかも、勝手に俺の評価高める勘違いしてくるし、何の? バカなの?」


「うんうん、そうね」


 無論、ミミは話の内容など理解していない。面倒くさいからだ。


 だから、適当に相槌を打って聞き流している。 


「それに二人いっぺんに襲い掛かってくるし……」


「何で二人で来たの?」


「俺が……二人まとめて相手してやるって言ったから……」


「自業自得ね」


 しかし、そこは聞き流さず、ツッコむミミ。


「それでさぁ……何か変な大規模の魔法発動したんだよ!? 光線みたいな!? 明らかに俺を殺そうとしてきたんだよ!? 信じられる!? その結果さ―――」


 ソージは腰に差す鞘から、半壊した剣を取り出した。


「ミミが俺にプレゼントしてくれた剣、壊されちゃった……!!」


 うぅ……、と今までよりも瞳から涙を溢れさすソージ。


「気に入ってたのに……大事にしてたのに……!!」


「ほらほら、泣かないの。今、作ってあげるから―――」


 そう言って、杖を持ってミミは錬成魔法を発動する。


「はい、できた」


「………! ありがと、ミミ!」


 ミミが錬成魔法によって作られた剣を、ソージはパーッと明るい笑顔で抱えて受け取る。


 ……とても大切そうに。


 ミミはそれを優しい眼差しで見守る。


 が、ある事を訊ねるために、真剣な顔つきになる。


「それで、ソージ……。【神童】くんの力はどうだった?」


 ソージは剣を鞘に納めて、神妙な面持ちで答える。


「あぁ……試験中、彼を煽ったんだけど……煽りに乗りはしたもの、冷静さは欠いていなかった―――彼は強いよ、戦闘面でも精神面でも……」


 ソージは瞳を閉じて、アルセが【エンチャント】を発動した瞬間と【雷神の覇道ライジング・ロード】を思い浮かべる。


「そして俺の【エンチャント】を見ただけで盗んだ……。想像以上のセンスの持ち主……。加えて実力差を埋める機転が利く……。だからこそ、ハンデがあるとは言え、真っ向勝負で負けた……」


「仕方ないんじゃない? あなた、魔法が苦手なんだから。それに制約もあるんだし」


「得意でも苦手でも無い。が、お前からしたら苦手に見えるんだろうな」


 ミミは舌を少し出して、ごめんさい、と謝る。


 ふざけているようにしか見えなかったソージは、ちょっとばかし仕返しすることにした。


「あぁ。そうだ、ミミ。制約の事なんだけどさ」


「ん?」




「―――破ったんだ、俺」





 ソージがそう告げた瞬間、ミミはパチパチと瞬きをする。


 あまりにその発言が、信じられなかったからだ。


「そ、そこまでの力なの? 【神童】くん……」


「最後の攻撃、あれはそうでもしなきゃ防ぐことができなかった。全く末恐ろしいよ」


 はぁ……、とソージは呆れたような、しかし何処か嬉しそうに溜息を吐いた。


「そ、それじゃあすぐにでも、私たちの―――」


「いや、まだそこまでではないな。それをこれから決めようと思うよ」


「そうね……そのための最終試験よね」


「あぁそれと、二人まとめて戦ったって言ったろ? その【神童】くんとペアだった子が面白い魔法を使うんだ……身体の動きを遅くする……違うな―――巻き戻すような魔法。……ミミ、知ってるか?」


「動きを巻き戻すような魔法? いえ、聞いたことが無いわね……。もしかして、その子も?」


「【神童】くんと同様、候補者の一人だ。これから決める―――」


 そのために俺たちはここへ来たんだ、と先に歩むソージの後ろに、ミミが「えぇ……」と頷き付いていった。






~あとがき~


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