両親が来た。

「分からないものですね。先輩はいつも変わらない顔をしていて、大病を患ってるなんて感じることすらできなかったな……」

「それは、分かるにはかなり無理があると思うよ。多分」

「医学の進歩というやつですか?」

「そうだな〜多分」


 遅れて両親がやってきた。両親は後輩に深く何度も礼をした。後輩は少し名残惜しそうに僕を見つめたあと、帰っていった。


「いい後輩にめぐりあったようだな」父が口を開く。

「あぁ、かなり物好きだと思うよ。あの子は。」

「自分で言うな。まぁ大事にするんだな。あの子に……いろんなことを残さないようにな」

「分かってるよ」


 母は寡黙な方なので、やはり口を開かない。こんな時もらしいというかなんというか。

母に似て僕の性格も今のようになったのだろう。ちなみに言うと、母は一人称僕ではない。

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余命宣告されている私が知らない後輩に好かれていた話 諏訪彼方 @suwakanata

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