踊っている姿を目撃される。

 それから数日たったある日。僕はなぜか踊っていた。なぜ踊っているのかというと、体がベッドにいるとなまってしまうからだ。お手洗いに行くのと検査や診察を受けるのに移動するくらいでしかあまり歩かないから。


 音楽はない。だから。即興で適当に振り付けを作って踊る。疲れるまで踊ろう。今はただ踊りたい。



「あの……」

しばらく踊っていると、後ろから声をかけられた。

慌てて振り返ると、後輩ちゃんが、いた。

看護師さんじゃ、ない。一気に恥ずかしさが込み上げてくる。


「な、あっと、お見舞い、来てくれたの?」

「はい。先輩がいない学校はつまらないので」

君ほどの子が珍しいこと言うんだなーって感心してしまった。

「つまらない?僕は見ての通りだ。心配しなくていいさ」

今はすこぶる元気快調だからさと、元気さをアピールした。が、後輩ちゃんは真顔のままだ。

「今は落ち着いているようでよかったです。あのっ……!」


いきなり抱きつかれた。僕は汗臭くないだろうか。なぜかそんなことばかり考えてしまった。


「怖かったっ……よかったっ……」

後輩ちゃんは泣き出してしまった。

僕はそっと後輩ちゃんの頭を撫でてあげた。


心配、してくれてたんだな。ありがとう。




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