二話 30時間テレビの準備

「はあ……はあ……しんどいんよ……」

「ハムケン!まだ3キロも走ってないよ!」

「ワシはもう休むんよー!」

 おれはハムケンといっしょにマラソンの練習をしている。しかしハムケンは全然走れない……

「ハムケン!100キロ走るんでしょ!もっと頑張らないと完走出来ないよ!」

 おれはハムケンに喝を入れるも……

「これ以上は走れんけん!」

 ハムケンは走ろうとしない……これ大丈夫か?




 結局ハムケンは5キロほど歩きながら走っただけで練習を終えた。家に帰るとプロデューサーの柳さんが家に来ていた。

「あ!ハムケンさんとユーキさん!練習はどうですか?」

「マラソンしんどいんよ……半分の50キロマラソンにならんの?」

「それはダメです!100キロ走ってくださいね!」

 ハムケンのお願いはあっさり却下された。

「柳さん!今日はどうしたんですか?」

 おれの質問に柳さんは答える。

「今日は30時間テレビの収録の予定について話に来ました!」

「もう収録するんですか!?」

 30時間テレビの放送はまだ半年も後だが……

「はい!30時間も放送するので、余裕を持って収録します。決まっている企画から収録します。」

「もちろん生放送の企画もあるんですよね?」

「はい!生でいける企画は出来るだけ生放送でいきたいんです!その企画は追って連絡します!ところでハムニブさんにもデカい企画をやって欲しいのですが……」

 ちょうどハムニブは家に居たのですぐに呼んだ。

 一体なんだろう……




「俺にもデカい企画をぞ?もしかして野球に関係ある事かぞ?」

「いえ……野球には関係ないのですが、スポーツ企画をやって欲しいんです!」

「ぞ!でも球技なら得意だぞ!」

 柳さんは申し訳無さそうに喋り出した。

「球技じゃなくて、ボクシングをやって欲しいんです!」

 ハムニブとおれは驚いた!

「ボクシングぞ!俺は腕っぷしは強い方だがぞ、ボクシングはやった事ないぞ!」

「柳さん!ハムニブは誰と戦うんですか?」

「元世界チャンピオンのチョクモンさんです!」

 チョクモンさんは何度も世界王者を防衛した有名なボクサーだ!ちなみにチョクモンと言う名前は芸名らしい。

「素人の俺に戦える相手なんかぞ……」

 ハムニブは不安そうだ。もう引退しているとはいえ、相手は世界チャンピオンだもんな……

「ハムニブさんならやれますよ!とにかく今日から練習しますよ!」

「今日からぞ!?マジかぞ……」

 柳さんはすでに近所のボクシングジムに連絡しているみたいだ。ハムニブは文句を言いながらもジムに向かった。




「ユーキさんとねここさんにも話があるんです!」

 柳さんがそう言うので、おれはねここを呼んだ。

「なに?まだ半年も前でしょ?」

 ねここは昼寝をしていたようだ。少し機嫌が悪い。

「すみません……ねここさん。でも今から準備しないと間に合わないんです!わかってください!」

「まあ……しょうがないわね……で、話って?」

 ねここはちゃんと説明されて納得したようだ。

「30時間テレビの台本を持って来ました!」

 柳さんはそう言ってそこそこの厚みの台本を出した。あれ?でも……

「柳さん!30時間テレビの台本なのにこんなに薄いんですか?」

「この台本は、とりあえず今の所の台本です。本番の台本は辞書くらいの厚みがあります!」

「そうなんですか!?こりゃ大変だな……」

「私達に出来るのかしら……」

 おれとねここが心配している様子を見て柳さんはこう続けた。

「まあでも途中でスポーツ中継を挟みますし、深夜には大物芸人さんがやる恒例の企画もありますから、皆さんの負担は軽くなるとは思いますよ!」

 大物芸人ってあの人かな?確かに毎回深夜の企画をやっていた気がする……

 おれはその言葉を聞いて少し安心した。そうだよな!おれ達だけでは出来ないよな!




「とにかくこの半年で本番まで準備するんで、皆さんお願いしますよ!」

「おいらも頑張るっす!」

「僕も出来る事やるんじゃ!」

「私も面白い番組やりたいッチ!」

「ワシもやるんよー!」

 いつの間にか宇宙怪人ハムスター達が集まって来ていた!

「おれっちはなんか役に立てないちゃ?」

 宇宙怪人ねずみの一休も来ていた!しかし一休は長い時間、人間くらいの大きさにはなれないが……

「一休さんには30時間の間捕まえにくるハンターから逃げ続けて欲しいんです!」

 柳さんの提案に一休は驚いた!しかし……

「それならおれっちも出来るちゃ!その企画やらせてくれちゃ!」

 やる気になっているようだ!

「ぜひよろしくお願いします!皆さんいっしょに良い番組を作りましょう!」

「「「「「「やるよ!!!」」」」」」

 宇宙怪人達は一斉に声を上げた!おれも本番に向けて頑張らないとな!

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