第37話 臨時追加版 第4部 人間編 4


このダイジェスト版にクレームを何件か頂きました。


一番載せなければならない第4部人間編最終回が乗っていないと…。


確かに彩斗達が新たに明石達を仲間に加え、そして新しく闘いの意義を感じる場面で、彩斗達が改めて何の為に戦うのか、戦う意味を見出す場面でもあります。


考慮の末、急遽追加する事にしました。


第4部最終回のダイジェストです。


ここまでのあらすじ


子供殺しを解決した彩斗達は明石夫婦、その娘の司、忍、そして喜朗おじと加奈を死霊屋敷に招待をして焚火を焚いて外で楽しい夕食を囲んだのであった。


以下本文


やがて夕食の準備が整い、テーブルに料理が並び、積み上げた薪に火が入り、大きな焚火に照らされた俺達は美味しい食事を摂りうまい酒を飲み、話が盛り上がり、楽しい時間を過ごした。


圭子さんが明石に何か話しかけていた。

明石が頷き、喜朗と加奈ちゃんに目配せをした。


「さて、彩斗君、真鈴ちゃん、はなちゃん、四郎さん、今日はご招待ありがとう。

 お礼の印に私達で細やかな歌をプレゼントします。

 準備するから少し待ってね。」


明石と喜朗と加奈ちゃんが車の方へ行き、司ちゃんと忍ちゃんは昼間に作った花の冠を頭に被り、圭子さんの両脇に立った。


圭子さんが車の方を見ている。

やがて車の方から小太鼓がリズムを刻みながら近づいてきた。

加奈ちゃんだ。

小太鼓を叩く加奈ちゃんは後ろにバグパイプを脇に抱えた明石と喜朗を従えて大きな焚火の方にやって来た。

明石と喜朗もバグパイプの演奏を始めた。


「なんだろこれ聞いたことあるよ。」


俺は小声で真鈴に言うと真鈴が小さく頷いた。


「彩斗、ラグビーの歌だよ。

 ワ-ルドインユニオン。」


司ちゃんと忍ちゃんが清らかな、それでいて力強く感じる高音で歌い始めた。

そして2人を支える様に圭子さんの少し低い声が歌に加わった。

加奈ちゃんの小太鼓と明石と喜朗のバグパイプ、圭子さん、司ちゃん、忍ちゃんの歌声が心に染み入るハーモニーとなった。


There's a dream,I feel so rare, so real

その夢はとても素晴らしく、とても大切だと私は感じた。


All the world in union The world as one

世界のすべてが団結して、一つの世界となる。


Gathering together One mind, one heart

一つの精神、一つの心の元に集い。


Every creed, every color Once joined, never apart

あらゆる宗教を信じる人もあらゆる肌の色の人も、ひとたび繋がり合えば二度と離れない。


Searching for the best in me,I will find what I can be

私の中の最高な物を探し、私がなれる可能性の中で最高のものになってみせる。


If I win, lose or draw there's a winner in us all

たとえ勝とうが負けようが、引き分けてさえ、私たちすべてが勝者なのだ。


It's the world in union the world as one

それは団結した世界、一つとなった世界なのだ。


As we climb to reach our destiny a new age has begun

その目標へとたどり着くとき、新しい時代が始まる。


We face high mountains, must cross rough seas

私たちは高い山々に挑み、荒れる海を渡らなければならない。


We must take our place in history and live with dignity

私たちは歴史の中に存在して、尊厳をもって生きて行くのだ。


Just to be the best I can sets the goal for every man

なりうる最高のものになるために、すべての人々が目標を定める。


If I win lose or draw It’s a victory for all.

私が勝とうが、負けようが、引き分けてさえ、それは、すべての人のための勝利なのだ。


It's the world in union the world as one

それは団結した世界、一つとなった世界なのだ。


As we climb to reach our destiny A new age has begun

目標へとたどり着くとき、私達の新しい時代が始まる。


It’s the world in union the world as one

私達が団結して一つとなった世界。


As we climb to reach our destiny A new age has begun

目標へとたどり着くとき、私達の新しい時代が始まる。


It’s the world the world in union

私達が団結して一つとなった世界。


A new age has begun

新しい時代が始まる。




俺は泣いた。

真鈴も、四郎も泣いた。


明石は歌は人間の魂を救う時があると言った。

その通りだと思った。


圭子さんは人間から歌を取り上げたら前に進めなくなると言った。

まさにその通りだった。


ここ数日、人間が引き起こす言葉に出来ないほどの物を見せつけられ俺の心は実は傷だらけになって崩壊寸前だったのかも知れない。

今日、司ちゃんや忍ちゃんたちの歌声で救われた感じがした。

彼女たちの歌声は俺の魂に付いた傷を埋め、汚れをそっと落としてくれた。

俺は心の底から救われた気持ちになった。


悪鬼の明石だろうが、死霊が依り代にしているはなちゃんであろうが何の偏見も無く屈託なく受け入れて共に楽しんでくれる彼女たち。


その彼女たちが笑顔で歌を歌い続けられる世界にしなければならない。

彼女たちの歌声を守らなくてはいけないと俺は心の底から思った。


なにか、大いなる意思のようなものが本当に存在するのなら、傷ついた俺の魂を癒す為に、目の前で彼女たちが歌う姿を見せてくれたのかも知れない。

そんな事を思いながら俺は、おそらく真鈴も、四郎も、はなちゃんも彼女たちの歌声に聞き惚れていた。


人類から歌を取り上げてはならない。


この子達が心からの笑顔で歌える世界を守らなければいけない。


いつか世界中の人達が、悪鬼や死霊達でさえ共に手をつなぎ肩を組んで心からの笑顔で歌える世界が来るように。


俺達は戦う。






第4部 人間編 終了


確かに歌の存在は吸血鬼ですが、何か?の重要なテーマの一つです。


歌が無いと人類は前に進めません。


この場面をダイジェストに載せないと最終部で死霊屋敷隣の巨石に非難している子供達はパニックに襲われて悲惨な展開になったかも知れませんし、死霊屋敷を守備している彩斗達の士気も上がらなかったかも知れません。


人類から歌を取り上げてはいけませんね(;^ω^)

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