第8話 第6部 狩猟シーズン編 1
ここまでのあらすじ
廃ボーリング場で悪鬼の大集団の討伐を済ませた彩斗達。
彩斗も真鈴も雑魚とは言え初めて悪鬼をこの手で倒し、明石、喜朗おじ、加奈との共同作戦で絆も強くなった。
第5騎兵隊ワイバーンとしての活動にも自信がついたある日。
真鈴が引きつった顔でマンションに戻って来た。
何と真鈴の親友ジンコが真鈴が何か怪し気な組織に入っていて犯罪でも犯しているのではないかと怪しんでいると言う。
世間には絶対秘密と言う彩斗達の活動がばれる危険が…。
以下本文
「ひひ~ん!
どうしよう~!
こんなのがばれたら、かか様に殺されるよ~!」
中略(本編読んでね!(≧▽≦))
「いやあ、そんな…さあ真鈴、何が起きたか話してよ。」
真鈴は落ち着きを取り戻して今日起きたことを話し始めた。
「そうね、秘密がばれたかもしれないのはジンコよ。
今日昼休みで学生用のカフェでジンコとだべっていたのよ。
二人とも次の講義が4時限目だから、2時間以上時間を潰さないといけなかったの。
それでね、ジンコが私に最近付き合いが悪いよ、彼氏でもできたの?と結構しつこく訊かれたのよ。
ジンコは私が初めて彩斗の家に行った時…覚えてる?」
「え、うん、四郎が復活した夜の事だよね…俺が睡眠薬入りのハーブティーを飲ませた夜…あの時は御免なさい。」
「まあ、それは過ぎた事だからもう良いわ。
その時にこのご時世だから何かあった時の為に私の足取りを残しておこうと思ってジンコにここの住所とか彩斗の写真を送っておいたのよ。」
「…えええ!それじゃジンコはここの住所も俺の顔も知っていると言う事?」
「そうよ、当たり前じゃない。
わたし、変な犯罪に巻き込まれたくないもん。
仮に殺されたりしても証拠がばっちり残るしね。
それくらいの用心は当り前よ。」
「はぁ~、まあ、しょうがないよね。
それで?」
「その後で大学に行った時にジンコが私の事心配しててね、色々と訊いてきたのよ。
一生お目に掛かれない物って何だったの?とか何か変な事されなかった?とかストーカーとかされてない?とかね、その時は私は彩斗から貰ったあのヴィンテージのドレスを見せて何とか取り繕ったんだけど…あれから私達、色々忙しくなったじゃない?
死霊屋敷の人狼の市蔵の件とか初めは凶悪な悪鬼だと思っていた景行の事だとか、あの、気色悪い外道の子供殺しの事とか、岩井テレサ達の組織の出会いとか、廃ボーリング場での外道で卑劣で残虐な悪鬼どもとの戦いとか、その間に悪鬼との戦いに備えて戦闘の訓練をしたりとか…まあ、今までの気楽な大学生生活が一変しちゃったわけよ。
ジンコと遊び歩く事もすっかり少なくなったしね。
それでね、おまけに最近の私、普段は服とか身につけている物とかはあまり高い物を身につけていなかったんだけどね、最近はポリスマンのサングラスとかジンコに見られちゃって、真鈴、パパ活でも始めたんじゃないの?とか疑われていたんだけど…」
「うむ…パパ活とはなんだ?」
「なんじゃ四郎、わらわでも知っておるぞ。
パパ活とは金に困ったうら若き乙女がの、まぁ、彩斗の様な気色悪い親父どもに金を払う代わりにあんなことやこんなことをして男どもにあの回数を増やしてやる事じゃの。」
「うんそれでジンコは彩斗の写真や彩斗が不動産経営してるとかそこそこ金持ちだとか、私と付き合うにしては32歳で10も年上で怪しいって思っていたそうなのよ…」
「…ちょちよちよ!
ちょっと待てよ!
俺と真鈴がパパパパパパ活関係だってぇ!
冗談はやめてくれよぉ!」
真鈴の目がギラリと光るとひらりと飛び上がり俺の体を押さえつけて首筋にいつの間にか手に持った子猫ちゃんナイフを当てた。
「なによ…あんたみたいな32にもなって2回と4分の1野郎のくせに22歳の美人女子大生とパパ活出来ねえって言うのかよ…アタシは美人じゃねえって言うつもりかよ…。」
「いやいや、真鈴は美人の方だと思うよ!何も知らないで真鈴を見たら凄い美人の方に入ると思うけど、真鈴は足が臭くて俺には…」
「はぁ?!はぁあああああ?!
てめえ何言ってんだよこの野郎!
今何を言ってるのか判ってるのかこの野郎!
その首すっぱり切り落としてやろうかぁあああ!」
四郎が慌てて真鈴を止めた。
「真鈴!落ち着け!ここで彩斗の首を撥ねると本当の殺人犯になってしまうぞ!
真鈴の足が臭いか臭くないかはともかく、ナイフをおさめろ!」
やがて真鈴はナイフをひっこめて俺に御免ねと呟き、タバコに火を点けた。
「やれやれ、まあそのジンコとやらが真鈴の事を色々と心配しているのは判ったじゃの。」
「しかし、今の真鈴の動きは常人の速さでは無いな。
いつの間にか短期間のトレーニングで上達したのかな?」
確かに四郎が言う通り、真鈴の動きは俺でもついて行けないほどの速さだった。
加奈ほどじゃないけどかなり速い。
普通の人間が見たら驚く速さだった。
「そうなのよ四郎、最近、私の反射神経が凄くなったみたいでね、この前もジンコが机から落としたペンを床に落ちる前に手で掴んだりして、驚かれた事も有るし、この前ジンコと新しいブラとパンティーを買った帰りにジンコの部屋で撮影会をした時も最近私が凄く食べるのに体のスタイルが良くなったったって凄く不思議そうな…」
「待て!待て!待てぇええええ真鈴!
新しいブラとパンティを買って撮影会だとぉおおおお!
真鈴とあの清楚な感じのジンコがブブブブラとパパパパンティーの撮影会だとぉおおおお!
女子大生がブラとパンティーのささささ撮影会…きしゃぁあああああ!」
「何よ彩斗、女の子の親友だもん!
私とジンコの仲だもん!
そんなの当り前じゃないのよ!
将来に備えて男子の前で魅力的に見えるようなポーズ取ってスマホで撮り合ったり、スタイルをチェックしたり、そんな変な事じゃないわよ!
…きゃあああ!
彩斗!鼻血!鼻血が凄い!気っしょ~!」
俺は真鈴はともかくこの前写メを見せてもらった清楚な感じの美人女子大生ジンコがブブブブブラとパパパパパンティー姿であんなポーズやこんなポーズをとっている姿が鮮明に目の前に現れて、何かの患者が激しく吐血するような勢いで鼻血をテーブルにぶちまけていた。
俺は慌ててキッチンに向かって走り、ティッシュを掴んで鼻に押し付け、同情する視線で俺を見る四郎と、この2回と4分の1野郎!と真鈴とはなちゃんから物を投げつけられながらテーブルに飛び散った鼻血を拭きとる間、真鈴の説明が中断した。
その時インターホンが鳴り、出前館がピザを届けて来た。
玄関で真鈴と四郎がピザその他を受け取り、真鈴がくしゃくしゃに丸めた領収書を俺に投げつけた。
俺がテーブルの鼻血をきれいにふき取り、真鈴がテーブルに除菌消臭剤をスプレーして更に拭き取り、奇麗になったテーブルにピザを並べてから真鈴の状況説明は再会した。
「さて、ピザが冷えてしまうから食べながら話を聞こうじゃないか。」
「そうじゃの、その方が良いじゃの。
さっさと真鈴の説明を聞いてロードオブザリングを見るのじゃの。」
「うん…そのシュリンプの奴こっちに回して。
それで…どこまで話したっけ?」
「真鈴の足が臭いか臭くないかと言う所で…彩斗が首を切り落とされそうになった所からだな…しかし…」
四郎がいきなり屈み込むと真鈴専用スリッパを真鈴の足から引き抜き顔に当てて思い切りスリッパの匂いを吸い込んだ。
「え…。」
「きゃぁあ!四郎!何すんのよ!」
四郎がスリッパを床に置いてピザをひと切れ口に入れた。
「いやなに、われは嗅覚が君らより鋭いが、真鈴の足はごく普通の臭さだぞ。
われでもそんなに臭く感じないのに彩斗が臭い臭いと言うのが不思議でな。」
「いや、だって玄関のシューズクロークを掃除していたら真鈴のブーツがとんでもない臭さだったんだよ!
間違い無いよ!」
「何よ彩斗!
ブーツの匂いを嗅いだの?!
とんでもない変態野郎だったのね!」
「いや、いや、違うんだよ!
誤解だよ!
たまたま鼻がブーツの中に入って…」
「たまたま鼻がブーツに入る訳無いじゃないのよ!
この変態変態変態!
きぃいいいいい!
…あれ?私ブーツとかは玄関に置いていないよ?
何それ?」
「そう言えばわれも時々シューズクロークから何やら得体の知れない臭いが時々漂ってきた気はしたが…」
「確かに女物のブーツだったよ!少しごつい感じだったけどサイズが小さいもんね!
真鈴がここに住むようになってからあのブーツが出現したんだよ間違い無いよ!」
「何よこのど変態ブーツクンカクンカ野郎!
そんなに言うなら見てみようじゃないのよ!」
そういう訳で俺と真鈴が玄関に行き、四郎がピザを両手に持って頬張りながらついてきた。
「ほら!これだよ!
このブーツだよ!
かなり消臭除菌スプレーをかけたのにこんなに臭いもんね!」
俺は問題のブーツをなるべく顔から離して取り上げた。
「うわっ!
確かに除菌消臭スプレーを凄い大量にかけたとしても凄い臭いだな!
ピザに臭いが移ってしまう!」
四郎が慌てて数歩下がり、残りのピザを口に押し込んだ。
真鈴もその臭いに顔をしかめながらブーツを見た。
「あ、これ私のじゃないよ。」
「へ?」
「このブーツはジンコの彼氏のブーツだよ。
ずっと前にジンコと彼氏が夜中に酔っぱらって来て終電乗り遅れたから始発まで泊めてって来たのよ。
その時ジンコの彼氏が凄い酔っぱらっててブーツを置いて私のスニーカーを履いて帰っちゃったのよ。
ジンコ達が帰ってから気が付いたんだけどね。
ジンコの彼って足が凄く小さいのよ。
間違えて私のスニーカー履いてみてもぴったりだったしね。
凄い匂いがしてたから嫌だったけど捨てるわけにもいかなくて後日ジンコに言ったんだけど彼氏がそのうちに取りに行くと言ったきり忘れてたのよね。
ここに荷物を持って来た時に紛れ込んでるのを見つけてシューズクロークに置きっぱなしにしたのよ。
私はブーツとか、部屋に置いてるもん…誰か変態に臭い嗅がれても嫌だからね!」
四郎が口いっぱいに頬ばったピザを飲み込んでブーツに少し鼻を近づけた。
「なるほど、確かに先ほど嗅いだ真鈴の足の臭いとは違う臭いではあるな。」
俺は…真鈴のブーツでは無くて他の全然知らない男の臭いブーツに顔を突っ込んで臭いを嗅いでしまったのか…いやいやいや!ただ間違ってブーツの中に鼻が入ってしまっただけだけど!いや本当に間違って鼻がブーツに入ってしまっただけなんだけど!
しかし、その事実は俺のアイデンテティーが崩壊しそうな出来事だ。
深夜の住宅街で下着泥棒が派手なブラジャーとパンティーを履いたむさくるしい中年男に『この下着泥棒!まてぇええええ!』と叫ばれながら後を追われて2重の悲鳴を上げる光景が浮かんでしまった。
俺は下着泥棒などした事は無いが、その下着泥棒を非常にかわいそうに思ってしまった。
「そんなそんな…いや!
本当にこのブーツが知りもしない男のブーツだなんて信じない!
俺は信じないぞぉ!」
「私のじゃないって言ってるでしょ!」
「やれやれこれでは埒が明かんな。」
四郎がいきなり俺を押し倒して顔を掴んだ。
「許せ彩斗、非常事態だ。
真鈴、彩斗の顔に足を乗せろ。」
「うわ!四郎!何をするやめてくれぇ!モゴモゴ!」
必死で叫ぶ俺の口を四郎が手で塞いだ。
「ほら真鈴、さっさと彩斗の顔に足を乗せろ。
この事を解決するにはそれしか無いぞ。
お前、この先ずっと足臭女と言われたいのか?
誤解を解くためだ、早くしろ!」
真鈴はしばし躊躇った末に俺の顔に足を乗せた。
いったいこれはどんなプレイなんだ俺はこんなことを喜ぶ変態では無い!
真鈴の足が顔に近づき、大学から帰って来たばかりの真鈴の足が俺の顔に乗った。
少しだけ汗ばんだ足がストッキング越しに俺の鼻に乗って俺は四郎に口を塞がれているので真鈴の足の臭いを思い切り嗅ぐしかなかった
「うがぁ!もごもごもご!」
真鈴が足をどけた。
「あれ?全然普通の足の臭さだよ。」
確かに真鈴の足は普通の臭さだった。
「そうよ、失礼しちゃうわね。
謝罪しなさいよ、彩斗」
俺は土下座して真鈴の足は普通の臭さでしたと謝った。
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