閑話2
初まりに、7柱の美しき女神たちが在った。
女神は集い、言葉と思いを交わし合い、1つの世界を作り上げた。
そして作り上げた器に、それぞれの『良きもの』を詰め込むこととした。
「美しいものをたくさん集めましょう」
「豊かなものをたくさん集めましょう」
「逞しいものもたくさん集めたいわ」
「煌めくものもたくさん集めたいわ」
「愛らしいものもたくさん集めましょう」
「心優しいものもたくさん集めよう」
「みなで協力して、『良きもの』をたくさん集めましょう」
丹精込めた器――世界に相応しきものを、女神達は方々から集め、作った。
ある女神は美しい星々を。
ある女神は豊かな森を。
ある女神は力強く野を駆ける獣たちを。
ある女神は鱗を煌めかせ海を泳ぐ魚たちを。
ある女神は自然を統べる妖精たちを。
そしてある女神は、心優しき人々を。
世界に生き物が満ち満ちた――その時、最後の女神がふと首を傾げた。
「けれど、どれがもっとも『良きもの』かしら」
女神達は自分の集めてきたものこそがもっとも良きものであると言い合い、争った。
女神達の争いを写すように、全てのものは争い合い、お互いを喰らい合った。
「これがあなたたちの『良きもの』なのね?」
最後の女神は楽しそうに笑い、自分にとっての『良きもの』を世界へと落とした。
それが、『魔』。
魔は全てのものを喰らい、侵し、壊していった。
全てが魔によって滅ぼされそうになった時、女神達はようやく争いを止め、自らが集めたものを大いに守護した。
女神の力によって滅びを免れた命は互いに手を取り合って、魔に抗った。
それでも押され、滅びは免れないと思われたその時、6人の女神は互いの手を取り、異界より神子を招き入れた。
神子は魔の広がりを抑え、数多の命を守護し、やがて魔と魔の女神とを地の底に封じた。
こうして世界は、無事に生まれ出でたのだ。
……――これが、この世界の、表の神話。
7柱目の女神、ヘプタの愛と、――罪を覆い隠すための物語。
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異世界転移で性別を紛失した ふうこ @yukata0011
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