40
……何か、柔らかいものが俺の頭に触れている。
そう感じた時、俺は目覚めたのだと気づいた。
目を開けて、一番に視界に入ったのは……すやすやと眠りについている
「
体を起こして初めて、俺は今まで
起きて体を動かしたことが原因なのか、
「んぅ……。あ、
「
挨拶を交わし、俺は立ち上がる。
どうやらここは
ぽけーっとしている俺を見て悟ったのだろう。
「もー、
「え?」
「気がついたらお城にいるし、
「ごめん
「いいよ
彼女の口ぶりからすると、
これは、俺が側にいて初めて語ろうと言うのだろうか。
とりあえず、
「ねえ
「何、
「こと――
「この下で休んでいるよ」
「そっか。行こう、
「うん」
俺の言葉に頷く
彼女の服装も清純さを表している白のワンピースで、元に戻っている。
快い笑顔も健在だ。もう、彼女の中に魔王はいない……!
リズム良く階段を降りていく
リビングにたどり着くと、そこには俺が椅子に腰掛けながらテーブルに肘を置いていた。
あの様子だと、緊張しているな?
しかし、
「
「え? あ、ああ……」
「……う」
なんて声を掛けようか。
……ってか、もうそんなことは関係ないのか。
俺は妙に視線を合わせてくれない
「なあ……もういいんじゃないか?」
「……うん」
「へ?
意識が通じ合った二人。それに目を点にさせて事態を把握できない
そんな彼女を可愛いと思っている間に、
今の
目と目が合う
「
「ど、どうしたんですか
「……私ね、
「え?」
「……今は、
「こ、
「それはね
「い……入れ替えた?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔つきで
彼女が驚くのも無理はない。そう、無理はない。
「あの日……私が一人で怪物退治しに行った日のこと。覚えてる?」
「……うん。あの日だけ特別に、
「あの時、
「それが……体を入れ替えるってことなの?
「そう。エンジェルロッドにお願いしたの。誰か、私を救ってって。辛い私と……代わってってね」
「……じゃあ、あの日から……
後ろを振り返った
どんな顔をすればいいのか分からず、俺は何とも微妙な顔つきをせざるを得ない。
だが、
「……そっか。
「
「じゃあ、あの言葉も、
あの言葉。それはつまり、あのお風呂場で言ったことだろう。
『……確かに、帰りたいって気持ちがある時もあったよ。でも、今は違うの。……強くなりたい』
あれがあったからこそ、
つまり、まだ
それは、自分の運命を悟っているからこその悲しみだった。
「
「……
「えへへ、大丈夫だよ。私は
「帰らないよ」
「え?」
「私、まだ帰らない。この世界で強くなって、ちゃんとした魔法少女になる」
「
「
「うん……うん……!」
「だから、
そう言って、
姿は俺だが、中身はれっきとした
……ああ。俺も見届けてやるよ。お前の成長をな。
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