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すると、その中では信じられない出来事が起こっていた。
部屋には
俺より先に空を飛び、その間に部屋に入ったのか!?
驚きで正常な思考ができない俺をあざ笑うかのように、後ろから鼻で笑うミリカがいた。
「フッ……だから言ったのに。私は
「う……嘘だろ? だったら何で
「前にも言ったでしょう? 私は
「才能がないって言うなよ! お前に
「分かるわ。あなたよりずっと」
「くっ……!!」
弓を構えていないことから、攻撃の意思はないと見る。
俺は
「
「私は大丈夫だよ
「くうっ……! ダメ……!! 来ないで……!! 私が……私じゃなくなって……いく……」
だが、
声を押し殺して必死に何かに耐えている
ま、まさか彼女が……!?
「
「どうして!?
「
「そんな……! あっ……!!」
最初は否定していた
俺たちの推理はまったくのハズレだった。
その瞬間、
彼女の表情に意思は感じられない。
ただ内に存在する敵のスピーカーに成り果ててしまっていた。
「
「大丈夫!
「さ……
「
「今まで……ありがとね……アアアアアアア!!」
「きゃあ!?」
「
彼女の周りに衝撃波が繰り出され、
俺はその彼女を助けるために彼女の壁となった。
「ありがとう
「これくらいなんてことないよ」
「
「分かった。
「
部屋に置かれている小物や家財は全てなぎ倒され、まるで大きな地震があった後のような状況へとなってしまっている。
衝撃波が強くなると同時に、
その姿は俺たちが倒そうとしていたコバルダンだったのだ。
言われてみれば、鏡越しに見えないと言われた時に気づくべきだったのだ。
つまり、コバルダンが傷を受けると、
完全に覚醒してしまった
「クックック……ハーッハッハッハ!! いきなり出会えるとは俺も運がいいな!」
「
「んー? きあらちゃん? 誰だねそれは」
「クソッ……! 記憶がないのか……!!」
後ろでただ佇んでいるミリカ。
彼女は
逆に邪魔をしてくるかもしれない。
だが、彼女はおどけたように俺に言うのだった。
「さーて、才能がない
「ミリカ……!」
「思い知ることね。あなたの力のなさを」
「ふざけんなよ! 俺は絶対に
「どうぞご勝手に」
まるで観客になったかのように、ミリカは少し後ろに下がって俺とコバルダンの戦いを観戦する。
実質、俺とコバルダンの一騎打ちになったわけだ。
「さて、いくぞ魔法少女よ!」
「
覚悟を決めた俺はエンジェルロッドを構えた。
コバルダンに入ったダメージはそのまま
加減して戦わないと……!
「ハッハッハ! 喰らえ!」
コバルダンは剣を取り出し、斬りかかってくる。
それをエンジェルロッドで迎え撃つ俺。
エンジェルロッドは剣を受け止め、攻撃を防いでくれた。
しかし、ロッドはただ受け止めただけで弾いてはくれない。
このまま鍔迫り合いになったら、負けるのは俺だ。
「ククク……どうする魔法少女よ」
「どうするって……分かってるくせして……!」
「どのみち貴様は終わりだ。なぜなら、俺に殺されるんだからなぁ!!」
「俺は死なねぇ……!
(
「え……!?
(念話しなくても大丈夫! そのままで聞いてて!)
「う、うん」
(
「どうして……!?」
「魔法少女! 貴様、誰と会話している!?」
(エンジェルロッドの必殺技、ロッドの先に光を集めて放つ『ストライクヒット』は浄化効果があるの! だから、コバルダンを倒す時はそれを使って倒して!!)
「分かった
「き、貴様! 俺の質問に答えろ!」
「うるせぇ!!」
「なっ――」
一瞬の隙を見つけた俺は、即座にエンジェルロッドを鍔迫り合いから離す。
剣はすかさず俺を切断しようと縦に下りてきたが、俺は心で念じて体を後ろへと下がらせる。
そのおかげで、俺はコバルダンと距離を取ることができたのだった。
すぐに俺はエンジェルロッドを解体してブーメランに変形させる。
「いっけぇー!!」
「そんなブーメラン! 効かんな!」
そんなことは分かってる。コバルダンがこの程度の武器で怯むはずはない。
だが、俺はコバルダンの目線が武器にいってしまうことを利用したのだ。
身軽にもなった俺は、一気にコバルダンとの距離を詰める。
その間に、コバルダンは自らに近づいたブーメランを剣で叩き落としていた。
力なく下に落ちるブーメランだが、俺はそれを片手でつかみ取り、コバルダンとすれ違いながら高速で飛行する。
一件何の意味もない行動のように見えるが、これは陽動とエンジェルロッドに光を溜める時間稼ぎというものだ。
猛スピードで弧を描いて空を飛んだ俺は、コバルダンの背中へと直進していく。
「これで終わりだ……! コバルダン!!」
「なっ!?」
「おらあああああ!!」
エンジェルロッドの先端に光が溜まっていることを確認する暇もなく、俺はコバルダンの胸部にエンジェルロッドの先をぶち当てた。
「ガハッ!」
コバルダンの胸部にエンジェルロッドが当たったことで、俺はようやく必殺技が決まったことを確信した。
先端の光はコバルダンを胸部から包んでいく。それは少しだけ離れている俺にも分かるくらいの暖かな光だった。
安心できるような、初めて太陽の光を浴びた時のような初々しい感覚が蘇る。
こんな気持ちの良さそうな光なのに、コバルダンは苦しんでいる。
そう、ミリカの弓矢を受けた時みたいに……。
「グゥッ……! この光を止めろ……!!」
「これが……お前を消滅させ、
「ふ、ふざけるな……! この俺がいなくなったら……!!」
「それで結構!
もうコバルダンは抵抗しても無駄だろう。苦しんでいるコバルダンをジッと見つめるのも悪くないが、俺はミリカが気になって後ろを振り返った。
もしかしたら、俺を妨害してくるかもしれない。
だが、ミリカは俺の姿を呆然として見ているだけだった。
手に弓を持っていないことからも、攻撃の意思はないとみる。
……ミリカ、一体何が目的だ?
それに、
「フッ……フッフッフッ……!!」
「何がおかしい? コバルダン」
「ま、魔王様がお目覚めになる……! 時間はもうすでに過ぎているのだ!」
「何を言ってる!? 苦し紛れか!?」
「俺は消滅する……だが、この世界が支配されるのは確実なのだよ!! ハーッハッハッ――グゥ!!」
意味深な言葉を残し、コバルダンは次第に消滅していく。
コバルダンの姿と、
最後に、コバルダンの姿は完全に光となって飛散していった。
あとに残ったのは
浮遊能力がない一般人の
「良かった……ちゃんと
「んぅ……あ、あれ? ここどこ?」
「
「
「ハハッ、その憎まれ口……ちゃんと
「そんな褒められ方あまり嬉しくないけど……ありがとね、
よし、これで何もかも終わった。これで後はミリカの正体を突き止めるだけだ。
俺と
足でしっかりと地面を踏んだ
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