30
時刻は夜の八時。俺がいるのは
彼女をコバルダンから守るため今日は彼女の家にお泊りなのだ。
やましい気持ちなんてこれっぽっちもない。
これっぽっちもないが、コミュニケーションの必要性はあるだろう。
そう、俺は今お風呂場にいるのだ。
いくら
よって、湯船に二人、その間に一人が体を洗うというスタンスになっている。
今、俺は
彼女は同じ女の子ということもあるのか、包み隠さずに湯船に浸かっている。
やはり、彼女の小ぶりながらも小学生にしては大きい胸が見え隠れしてしまっていることに、俺はマナーとして目を伏せる。
その先には、体を洗っている
「
「い、いや……特に理由はない……かな」
「そっか。だったら背中洗いっこしようよー」
「うう……」
昨日は
彼女の何も知らない裸体がありありと俺の目に映し出されてしまっている。
俺は、そんな彼女が眩しくて目を伏せてしまっていた。
「
「わ、私だって恥ずかしくなる時もあるよ……」
「珍しいのねえ。
「き、
「ごめんごめん。いっつもはしゃいでる印象があるからさ」
……いや、この場合俺のとっている行動がおかしいんだろう。
はしゃぐってどうやればいいんだ? 女の子に抱きついたりする? それともお風呂の水をバシャバシャと
後者はまだしも前者はマズいだろう……!
そんな感情を思案していると、
「ほら
ここで黙っていたら俺が怪しまれる。
ここは意を決するしかない……!
俺はお風呂に上がり、
そして、彼女から受け取ったタオルで彼女の背中を流すのだ。
湯冷めしないよう、すぐにパジャマに着替えた俺たち。
夕食は
一瞬だけだが、小学生しかいない中でどんな夕飯を食べればいいのかと迷ってしまったが、ここにとんでもないポテンシャルを秘めた小学生がいることを忘れていた。
小学校にいる時、
今まで楽しいことだけを考えていた
彼女を落ち着かせるため、俺は
「大丈夫だよ
「
「私と
「うん……もし私がおかしくなっても、助けてね」
「当たり前だよ。友達だからね」
「うん……!!」
こんなのを見せられたら、絶対に守らなきゃな。
改めて決意した俺。その時、カーテン越しに影が横切った。
俺はすぐに立ち上がり、カーテンを除けて窓を開けた。
窓の外には何かがいた雰囲気は見られない。
だが、影が見えたのは確実だ。そして、それはきっとコバルダンだ。
それに虫でもないと思った。窓に一瞬だけ映った影は窓を覆い隠すほどの大きさを誇っていた。
そんな大きな虫が町中に出たら周囲はパニックになっていることだろう。しかし、外はいつもの閑散とした空気に包まれている。
「
「コバルダン……だよね?」
「絶対にそうだよ。
「……分かった」
もう慣れた頭上から降りてくる魔法少女の服。
フリフリとした可愛らしい外見の裏に、とんでもない防御力を秘めている。
抵抗せずそれを受け入れ、俺は魔法少女となる。
「じゃ、行ってくる」
「うん。気をつけてね
「短期決戦、ってことだね」
「
「
「ごめん。私のために……」
「気にしないで。これが修行になるんだから」
「
「分かった。……待ってろよコバルダン!!」
二人の女子小学生に見守られながら、俺は窓のサッシに足をかけて空へと飛び出していったのだった。
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