27
「もしかして……」
「どうしたの
「鏡があることで
「うん……コバルダンが何かしている可能性があるよね」
妙に納得してしまっている
彼女は神妙な顔つきで周りを見渡していたが、思い出したように目を丸くさせた。
「……やっぱりミリカは
「え? でも、それは
「こうは考えられない? ミリカになっていた時『
「……封印?」
「うん。コバルダンが
「でも
「演技の可能性だってあるよ。タイミングが良かったもの」
「うーん……納得できるようなできないような……」
「魔法少女は
「確かに……。でも、それなら最初コバルダンを襲った理由は? 演技をする意味が分からないよ。私だったらコバルダンとミリカの二人で私にトドメを刺しちゃうよ?」
「演技じゃないとしたら……きっと、
なるほど。
だったら、俺は
ぬいぐるみを持った
白のローブがかかっているその物体は、人の身長ほどの長さを誇っている。
もしかすると、これが鏡かもしれない。
そう思った俺は近づいてローブを取り外したのだった。
「あ、鏡だ」
「やっぱり、これが鏡だったんだね」
白のローブに隠されていた鏡は、壁に向かって斜めに立て掛けられていた。
汚れもなく、綺麗に目の前を反射している鏡は、ぬいぐるみをギュッと抱きしめている俺をありのまま映していた。
ぬいぐるみを持つ。本物の
しかも、目の前の
そんな彼女のギャップ感溢れる出で立ちが、鏡に映っているのだ。
「おお……可愛い……」
「ね?
「ねえ
「うーん……今度のテストで良い点取れたらね」
……って
何故かぬいぐるみをねだってしまった俺も大概だが、
そんな二人同士の会話が続いてきたところで、
彼女の手にはお盆が乗せており、その上にお菓子やジュースなんかが置いてある。
わざわざごめんね
その表情は恐れを抱いているようだった。
「
「
「……否定したいけど、そう」
「そっか。だからこれで隠してたんだね」
床に落ちていたローブを手にとって
彼女が来た以上、苦しませるようなことはしたくない。
そう思った俺は鏡をローブで隠したのだった。
「……ごめん
「ううん。こっちこそごめん。勝手に鏡を使ったりして」
「いいよ別に。
「えへへ……」
「ほら、テーブルの周りに集まって。適当に座っていいから」
そう、今日は
そろそろ本題に入ってもいい頃合いだろう。
「
「う……」
「怖いのは分かるよ。でも聞かせて。私も
「……分かった。私も覚悟を決めるよ。あのね……鏡に変な人影が映ってたの」
「『映ってた』? 今は?」
「今はハッキリと見える。輪郭も、姿も……」
それもそうだろう。知らない人が鏡を見るたびに映っているのだから。
しかも、それは日を経るごとにくっきりと映っていくのだから……。
そんな
彼女はノートと鉛筆を一セット手渡していた。
つまり、彼女に描かせるつもりだろう。コバルダンを。
「お願い
「……
何度も見ているからだろうか。脳にこびりついたその存在の輪郭を彼女は一寸も違わず描いているように見える。
そして、ノートに描かれる存在は
鉛筆をテーブルに置いて一息つく
「こんな感じかな。私ってバカみたいでしょう? こんな幻を毎日見てるなんて……」
「
「うん。私もそう思う」
「ん?
「
「え!! それって本当!?」
彼女はテーブルに両手を付けて
「この名前はコバルダン。私たちの敵なんだ」
「て、敵? どういうこと?」
「……本当は誰にも喋っちゃいけないんだけど、
「ね、ねえ……私をバカにしてないよね? それ」
さすがの
そんな不安感が彼女の表情から読み取れる。
「ウソじゃないよ。……
「そうだね。それが一番手っ取り早いか」
「変……身……?」
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