15
放課後になり、俺は
その理由は
ミリカの情報を、
正直、
実際に聞いてみないことには分からないだろうさ。
そのため、独自行動を取らざるをえないのだが……。
いつもは
久々に見た俺が通っている高校は、普段よりも仰々しさが増しているような気がする。
まるでラスボスの魔王が立ちはだかっているような感覚がする。
それも、俺の背丈が小学生になってしまっているからだろうか。
とりあえず校門前まで来たはいいがこれからどうすればいいか。
小学生が高校に入るなんて、学校祭くらいしか機会がない。
よもや何のイベントもないこの時期に俺が入れる余地はあるのだろうか。
「くっそー……何かいいアイディアはないのか……」
俺が手をこまねいていると、校門より複数の男子高生が出てきた。
言葉を聞いていると、どうやら、彼らはどこかへ遊びに行くらしい。
むしろ、俺は草陰に隠れてやり過ごしていた。
小学生の身長から見上げると、男子高生は全てが不良のように見えてしまうのだ。
これが普段着だとまだ恐怖は緩和されるだろう。
しかし、学生服というのがこの小学生の体が恐怖に駆り立てていく。
男たちの声が遠ざかって行き、俺はホッと胸を撫で下ろす……ってか、何でこんな気持ちになっちまうんだよ。
この高校で不良なんていないぞ。
みんな素行が良い生徒たちばかりなのに……。
今度は甲高い声が複数聞こえてきた。
こんな遠くからでも聞こえてくるとは、どんなボリュームで喋ってんだよ。
そんな悪態を心の中でつきながら、俺はこの小柄な体を生かしてひょいっと草陰から飛び出る。
それから、校門の前でこちらに向かってきている学生を観察した。
甲高い声ということから大体の想像はついていたが、今度は女子高生だった。
彼女たちは中身の無い、しかし充実した話を交互に……いや、誰かの声に覆いかぶさるように話している。
自然と、さっきまでの恐怖感はなかった。
この体と同じ性だからだろうか。
それとも、この体ならば積極的に協力してくれるはずだと信じているからだろうか。
ともかく、誰かに話さなければ前に進まない。
俺は緊張しながらもこちらに来た女子高生たちに話しかけた。
「……あの、おねーさん」
「ん? どうしたのこんなところで? お兄さんかお姉さんが通ってるのかな?」
俺の緊張している様子に気づいたのだろうか。
女子高生たちは俺に対して優しく語りかけてきてくれた。
そして、よく見ると俺とクラスメートの女の子もいるじゃないか。
名前は知らないが、確かにいたような気がする。
いや、絶対にいた!
俺は緊張という感情に戸惑いながらも、勇気を出して一歩進んだ。
「
「
複数いる女子高生のうち一人の脳内に合点がいったのか、その子が電話をかけ始めた。
良かった……。同じクラスの人間がいて。
正直、俺は男子くらいしかクラスの人間を知らない。
授業形態のせいもあるかもしれないが、クラスで同じになった人が集まって全員で授業するということがほとんどないのだ。
体育は別々だし、他の授業は教科が違えばクラスで同じでも顔を合わすことは滅多にない。
名前を知っている人間なんて、もっと限られてしまうだろう。
そんな中で俺の名前を知っている女の子に出会えて、本当に良かった。
「それにしても、ちゃんと敬語を使えるなんて偉いねー」
「あ、こ、これくらい当然ですから……」
そうだ。
体は
礼の一つくらいできて当然だ。
しかし、女子高生たちは
コイツ、全然礼儀正しくないぞ。女の子らしくもないかもしれない。
何故なら、着ていた服を洗濯しないで放っておく人種なんだからな。
まあ、ここでそれをバラしても何の意味もなさないから黙っておくが……。
「えへへ、可愛いねえー。何年生なの?」
「えーっと……五年生、です」
「その、
「家庭教師をしてもらっているんです。それで、今日はちょっと相談があって……」
「へー、そうなんだー」
そんな話をしつつ時間を潰している間に、俺のことを知っていた女子高生が通話を終了させた。
それから俺に向き合って話を始める。
「安心して。あと少しで来るって」
「ありがとうございます」
「じゃ、私たちは行こうっか」
「そーだね、この子から聞いてきたってことは問題ないでしょ」
口々にそう言うと、女子高生たちは俺にさよならの挨拶をしながら手を振って校門を出ていく。
まあ、ずっと居られても困ったし、勝手に別れてくれるならありがたいことだ。
俺は笑顔で彼女たちを送り出していたのだった。
「ばいばーい……はぁ」
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