その男、探偵につき

糧を得る日々



―――先生は凄いんです!どんな依頼だって解決しちゃうんですよ!…コブシで!!―――



「あー、こちら松本探偵事務所ですがぁー…現在所長は席を外しておりましてぇー…」


『その声キヨシさんですよね?バレバレの居留守使わないでくれません?このやり取り何回目だと思ってます?』



 先生がいつものやり取りをしてますね!お電話相手のスミカさんは先生の事が大好きなんです!



「オマエから来る依頼は碌なもんじゃ無いだろぉ…はぁ…婚期が遠のく…」


『探偵稼業なんて、やってるうちは結婚なんて出来ないですよ!うちに来ませんかって毎回言ってるじゃないですか!』



 スミカさんはとっっっても、世話焼きなんです!だからいつも、うだつの上がらない先生にあれやこれやと依頼のお世話をしているんです!早くくっつけばいいのに…



「…ぁーぁ、んで今回の依頼は…?」


『あ、ようやく聴く気になりました?最近、近くの寄木市にまつわる、都市伝説が流行ってるのは知ってますか?』



 ふむふむ、今日の依頼は寄木市にまつわる都市伝説が関係しているようですね。あくまでもインターネットの噂でしかなく、ネットニュースに取り上げられる程の事でもない、そんな些細な噂ですけど…



「あぁ、何でも【フシ】がどうのこうのと、わけのわからんやつな」


『ソレですソレです!それを確かめに行った近所の大学に所属する、ミステリー同好会がですね?』


「なんだ、ホトケさんにでもなって帰ってきたのか?」



 先生はほんとに発想が物騒ですね!現代人とは思えません!!とはいえ…ミステリー同好会というとアソコですかね。割とちゃんとした会誌を発行することで何かと話題になる。会員は十数名、それも男女幅広く所属していたはずですが…?



『物騒ですね!違いますよ!…とはいえ、当人達の状況を考えると、当たらずとも遠からずです…』


『寄木市で調査に向かった男女13名、全員が幼児退行しているそうなんです。』


「…はぁ?」



 …電話を聞いていても良くわかりませんね。なぜ調査に向かって幼児退行してしまうのでしょう?何か…記憶を消したくなるような出来事が…?



「…なぁに、それ。ソイツラ全員演技してるとかじゃなく?」


『冗談のように奇天烈な話ですけど!!本当なんです!!詳しくは直接お話しますから!!』


「おいおい…そんなヤバそうなとこに先輩をツッコむ気なの、って…切れちまった…」



 先生と居ると飽きませんね!!とっても楽しそうな事件の香りがします!!



「はぁ…助手くん…」


―はい、何でしょう!!


「紅茶を。いつもので。」


―はい、只今!!

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