その少女、魔法使いにつき

特別な日常



―――今日はどんな楽しいことが待っているのかしら?―――



「ちょっとぉ、シオリィ?聞いてるのー?」



 少女が話かけてくる。今日は髪を纏めていないのね。肩までかかる黒髪が綺麗で、とってもチャーミングだわ。


 あら、いけない。話しかけられてるのに気づいてないのね。困った子ね…



――シオリ、呼ばれてるわよ。



「ふぇっ!!?ぴゃあぁぁ!!ななな、なにかな!?ナナミちゃん!?」


「ぴゃあって…何その叫び声(笑)」


――動揺しすぎじゃない?



「うう…忘れて!!そんな叫び声、うら若き乙女である私は出してません!おーけー!?」


「ハイハイ、おーけおーけー」


――おーけーよ、シオリ


「ふぅ~…それで?なぁに、ナナミちゃん。」


「だからぁ、最近隣街で流行ってる都市伝説、知ってる?」


「都市伝説?どんなの?」


「なんかね?人の死を食べるおじさんが居てぇ、けーやくすると永遠に若さを保っていられるんだって!スゴクない?」



 あら、そんな話があるのね。興味深いわ。発信元はどこなのかしら?都市伝説として出回っていると言うことは、多数の情報源が広めているのでしょうけど…



「えー…私は別に良いかなぁ。ちゃんと年を取って、素敵なおばあちゃんになって、素敵な人と一緒にのんびり過ごしたいなぁ。」


「もー、欲が無いんだからぁ、しおりはぁ。そんな素敵な人はできたんかー!うりうりー」


「ちょっと、やめてよナナミちゃんくすぐったいって!あははは!」



 何はともあれ、現地に行って確認してみないとダメかしらね?シオリには悪いけど、また今夜調査に向かって貰おうかしら。



――シオリ、悪いのだけれど…


「…うん、わかってるよ。」


「私、魔法使いだもん。」




―――素敵な出会いがあると良いのだけれど。


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