或る街で起きた奇妙なおゆうぎ会
サイコfun太
その男、一般人につき
良く或る日常
――――今日はこいつにしようか…―――
「またかよ!もう何度目だよ!ポコポコポコポコとボム投げやがって!」
男が一人、暗い部屋で何やら叫んでいる。明るく輝く絵を見ながらぶつくさと言う様はなんとも滑稽だ。
―ヘイヘイ純チャン、今日は調子ワルソー
「うるせー!見てろよお前ら…ここから巻き返してやらァ!」
どうもFPSゲームとやらを遊んでいるらしい。独り言が多いのはどうやら背信者というやつのようだ。
この時代では堂々と背信行為を行うようで、教会の権威も地に落ちたものだと感慨深くもある。地道に活動を続けたかいもあろうと言うもの。
まぁそのような些事はどうでも良いのだ。これからこの男には私との遊びをしてもらうのだから。
「…!やっべ、今日は俺かよ…。すまんな、お前ら。今日の配信はここまでだ。」
―なになに
―カッコいいとこ見せてくれるんじゃないのw
―逃げたな
「うるせ!外せない用事なんだよ!そんじゃまた来てくれよな!」
男が何やら箱の表面に触れると明るく輝いていた絵は真っ黒に塗りつぶされる。やはり奇妙なものだ。あれに人が一喜一憂する様を思うと、私が提供する遊びのほうが面白いと思うのだが…
「…ちょっと待ってくれよ、まだ服も着替えてねぇし。自分で歩いていくからこの前みたいな事はヤメてくれよ。」
男は部屋の角に居る使い魔には、視線もやらずに呟いた。別に、自ら赴いてくれると言うのであれば特にすることも無い。
しかし…使い魔に男を抱えさせて、街の空を飛ばせた時の男の狼狽する様子はなんとも言えない面白さであった…また見たいものである…
やはり無理矢理連れて行かせるか…?いやいや、私は紳士だ。そのような真似は控えるべきである…とは言うものの、矢張り好奇心には抗e
「おい!」
男が唐突に叫んだ。どうやら私は相当に思考に時間を費していたようだ。もうすっかり準備が終わっていたらしい。残念だ。
「今から行くからよ、いつも通り術を掛けといてくれよ。」
男の頼みも慣れたものだ。初めの頃のオドオドとした彼が懐かしい…
…記憶を消せばあの頃の彼が見れるだろうか?ふむ…一考の余地があるかもしれない。
「くだらねぇこと考えてそう。別にどうでも良いけどよ。術かけたらさっさとどっかやってくれよ、コイツ。」
――あーあ、今日は何回死ぬんだろうな。
男は呟いた。さて、頑張ってほしいものだ。
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