第5話 東の土地
イリヤは、この町の教会へ挨拶に向かったはず。
「ここの司祭様が別な教会へ移動になって、ここには新しい司祭様が赴任することになってるんですが・・・その新しい司祭様がまだ到着していないそうなんです。今は代理を神官助手の方が務めてるけど・・・紹介状を読める人がいないんですよ」
イリヤの紹介状は、教会でもそれなりの地位にある者しか読み書きできない古代文字で書かれてる。それがイリヤの身元を証明してる。
それを読める者がいない・・・大丈夫か、この教会?
せっかくなので、3人で若い
東へ向かう荒れた道を歩いていると、草むらを見たイリヤが足を止めた。
「ギシギシ、アザミ・・・スイバかな?」
わたしには雑草にしか見えないが、薬の専門家にはお宝に見えるのか?
「まあ、薬草ではあるんですが・・・土地は、かなり痩せちゃってますよ」
イリヤによると・・・そう言う薬草が採れる土地は、逆に野菜などの作物は育ちにくいらしい。東の土地での生活は、決して楽ではなさそうだ。
「この先にいる人たちね。多分、強制移住させられたんだと思うよ」
「強制移住?」
「10年くらい前に、この辺の領主同士も戦争やってたはずさ。戦争で土地を奪われた住民が、この地へ無理矢理に送られて来たんだ」
確か・・・この地の領主が、隣国の領土の一部を手に入れたはずだ。それで自分の領民に肥沃な土地を与え、もともと住んでた異国人を痩せた土地へ移住させたと聞いた。
東の土地。訪れてみると、思っていたより住民は多かった。
旅の保存食が欲しい・・・と言っても最初は警戒されたが、わたしの
そう。わたしの故郷と彼らの国は、先祖とする神は異なるが、同じ神々を崇めてる。なので習慣も近い。わたしに取っては彼らの作るものの方が口に合うと思ったのだ。
珍しいお客として、わたしとイリヤとサクヤの3人は、東の土地でリーダー格の男性に引き合わせて貰えた。
食事を食べていけ・・・とも言われたが、顔を隠してるサクヤには無理はさせたくない。世間話だけで、その日は宿に戻ることにする。
世間話と言うには、少々重い話ではあったが。
昨日。火刑にされた女は、この東の住民だったそうだ。
・・・人骨を砕いて畑に撒いた。
・・・悪魔を呼び出す呪文を唱えた。
そんな嫌疑が、女にかけられたと言う。
そして、魔女の証拠とされた『悪魔との契約書』だった。
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