第24話[全軍撤退]

〜現在地︰流星街・大通り〜

〜天斗視点〜


バチバチと火花が立つような目で悠河を見る

それに対し悠河は、余裕綽々と言うような顔をし、俺を見つめる

玲亜が後ろで抑えててくれてるが、多勢に無勢、いつか殺られてしまう


なら、


天斗「速攻で殺るのみ」


俺は勢い良く地面を蹴り上げ、悠河の背後を取る


天斗「死ね、クソ野郎」


そして終極を振り上げ






勢い良く、悠河の首を狙う

天斗(やった……!)


ガシ


悠河「ここの奴ら血気盛んだなぁ、そんなんせっかちじゃモテないぞ?」

天斗「はぁ!?」


終極の刃を素手で止めやがった……!?

奴の手からは血が滲んでおり、隙間からでも出血していることが分かる

だが、悠河コイツは痛いという表情を一切見せず、俺の終極を受け止め続ける


天斗「ッらァ!!!」


奴が何かアクションを起こす前に、俺は悠河との距離を足蹴りにより離す


悠河「ッグ!w」


悠河は背中をさすり、「もうちょい手加減しよ?w」と軽口を叩く

もちろん、手加減なんて者はしない

俺たちに仇なす者は全員殺る


鮮血がついている終極を再度構え、俺は深呼吸をゆっくりする


悠河「なにやってんの〜、早く殺るよ」

天斗「そんな急ぐなよ、せっかちな奴はモテねぇぞ」

悠河「それ言われたら困るなw」


俺は再び悠河と目線を合わせる

風がないている、木々の葉っぱが舞う


悠河「おーい……来ないなら……」





悠河「俺から行くよ?」

天斗「ッ!?」


はっや!!!

初期動作を最小限に抑えて、俺の側まで間合いを詰めてきやがった!!!

俺は反応しきれず、悠河の拳を受け入れる形で受け止める


天斗「ッガァ!」


拳の威力が強く、その衝撃に抗えず俺はその場にヘタリ込んでしまう、ゲホゲホと咳き込みながら唾を吐き出す


悠河「うぇ〜すぐダウン?おもろしくないなぁ、もっと楽しませてよ」


そういうと奴は、足を俺の背中に乗っけ、グリグリと足を動かす


玲亜「天斗!!!!」

天斗「……逃げ…ろ」

悠河「お!仲間思いだね」


玲亜が何か叫んでる

だが、よく分からない、拳の威力が強すぎる

思うように動けない、目の前もグラグラとする


悠河「よし、じゃあ」

悠河「早速、殺っていきましょ〜!」


そう言うと悠河は懐から何かを取り出す

それは、ナイフだった


悠河「息の根、止めさせてもらうよ」

天斗「ッ!!!」


本能が叫ぶ、殺れ、動け、と

だが、それに相反するように体が動かない


悠河「ものの数分か〜、期待して損した」


悠河「じゃあ、またね」


悠河はニヤニヤとしながら、ナイフを振り上げる


玲亜「天斗!!!!」


玲亜は構成員に阻まれ、こっちに来れないようだ


天斗「ッチ……!」

天斗(ここまでかよ……!!!)














凪『全軍、撤退だ』








すると、街中のスピーカーから音が聞こえる

その声は、アジトで凪と名乗った、ソイツの声に似ている


凪『宣戦布告は済んだ、ここで終わらせるのも乙なものだが、俺たちの目的は、流星街の、そして』


凪『楽しいをやる事だ』


凪『零夜組の諸君、俺達の組織は知っているだろう?』


凪『さぁ、前哨戦はこれで終わり』


凪『1週間以内、1週間以内に、俺たちの所まで来い』


凪『来なければ……分かるかな?』


凪『楽しい全面戦争ゲームの時間だ』


その声を皮切りに、凪からの声は聞こえなくなった


悠河「え〜いい所だったけどな〜」

悠河「……まぁいいや、俺の玩具がすぐ壊れるのは、俺にとっても嫌だしね」


どうやら俺は、コイツにとっての玩具

この俺を玩具扱いする程……この強さはイカレている……


悠河「ほら帰るよ皆」

天斗「っ待て……ッ!」

悠河「待たない」


離れていく悠河を追う為、立ち上がろうとするが上手く立ち上がれない

流石にダイレクトに入りすぎた……

いや、今はそんな事より、玲亜は無事なのか


玲亜「無事だよ、大丈夫?立てる?」


俺の思考を見透かすように、俺に答える


天斗「……立てねぇ…」

玲亜「警察が介入する前に、アジトへ行くよ」

天斗「おう……」


コイツ!俺の立てない発言無視した!?

まぁ……いい、よくある事だ

俺は仕方なく終極を杖のように使い、アジトへと向かう


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜現在地︰流星街・北〜


相同「……俺はもう行く」


今さっき、アナウンスが流星街中に響いた

どうやら全軍撤退の合図らしい


終夜「逃がすかよ……ッ!」


ヘロヘロになりながらも、俺は立ち上がり

骸喰の刃先を向ける


終夜「お前は……殺す……!」

相同「続きをしたいんなら、俺達のとこに来い、何時でも殺ってやる」


そう言うと、相同は俺が居る方向とは真反対の道へと歩みを進めた

嗚咽と咳が止まらねぇ、思うように動けねぇ

はぁ、はぁと言う息切れをする

相同と俺の勝負は、俺の脳のシャットダウンと言う形で、幕を閉じた


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜現在地︰流星街・東〜

〜幻響視点〜


タイムアップの知らせをアナウンスから聞く

柊介は「え〜いい所だったんだけどなぁ」と残念そうな声を出す


柊介「んま、ボスの命令だしね」

幻響「へぇ〜、逃げるんだ」

柊介「安い挑発には乗らないぜ?」


俺と柊介はニヤニヤと笑い話す

そんな光景を見ていた忘霓は、「一旦離脱だ、帰るぞ」と俺を宥めるように言う


幻響「はいはい、帰りますよ」

柊介「んじゃ、また会う日まで」

幻響「絶対殺すからね〜♪」


そう言うと、柊介も満足そうな顔をし、柊介と構成員は俺たちの目の前から姿を消し、闇に紛れていった


幻響「あー疲れた〜」

忘霓「疲れたのは分かるが、ここに居ても警察が介入してくる、アジトへ戻るぞ」

幻響「はいはい、分かってますって」


忘霓は俺に手を伸ばす

少しキョトンとしたが、忘霓の意図を完全に理解し、俺も手を取り起き上がる


幻響「んじゃ、行くか」

忘霓「だな」


そうして2人の狂犬は、月明かりに照らされた道路を闊歩し始める

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