第22話[奴隷と王と紅茶]

〜現在地:流星街〜

〜終夜視点〜


相同コイツ

さっきよりも殺気が膨張している……

流星街北方面全土が、殺気に侵されていく感覚を地肌で感じる


相同「怖気付いてんじゃねぇぞ」


ズボンのポケットに手を入れ、余裕綽々の表情を俺に向かい浮かべ挑発してくる


終夜「テメェこそ、怖気付いて漏らすんじゃねぇぞ、漏らしたら後処理はママにやってもらいな」

相同「煽りに煽りで返す、その時点で思考回路の単純さが見透けるな」


ピキピキと俺の血管が鳴る感覚がする

コイツまじめんどくせぇ……!!!

リミッターが外れかけている俺は骸喰の刃先を奴の方へ向ける


終夜「ぶっ殺してやるよ、雑魚が」

相同「来いよ」


その刹那、俺はガッと地面を蹴り上げ、自分の間合いに相同を引き込み骸喰を振り下ろす


だが、相同は俺の骸喰の斬撃をナイフで受け止め、ジリジリと火花を散らす


終夜「おまっ……なんで受け止められるんだよ……ッ!!!!」


俺の問に何も言わず、相同は骸喰を押し退ける


終夜「ッヂ!!!」


押し退けられた衝撃で体勢が崩れてしまう

その隙を奴が見逃す訳もなく、直ぐに間合いを奴は詰めてくる


終夜「来んなよッ……!!!」


この体勢じゃ、骸喰を振り下ろせない

苦肉の策だ、俺は崩れた体勢から蹴りを斜めから相同に向け蹴り上げる

しかし、俺の蹴りは相同により受け流される

そしてそのまま、相同の拳が俺のみぞおちへと入り、唾を吐き出す

だが奴の猛攻を終わらない

俺の手を掴み、横の建物の壁へ投げ、俺は為す術なくその壁に激突


終夜「ガッハッ……!」


荒い息を立て、俺は地面に伏す


終夜「……て…めぇ………」

相同「雑魚が、調子に乗るなよ」


終夜奴隷相同

コイツと俺の圧倒的戦闘技能の差

ダメだ、この数分で理解してしまった

今の俺じゃ、コイツには


──絶対、勝てない


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜現在地:トリスティス〜

〜???視点〜


高貴を絶対正義とし、醜いものを徹底的に排除する、高潔な組織


ふふ、今夜も紅茶が美味しいわね

私は月明かりを浴びながら自室で紅茶を優雅に飲む、この紅茶、多分高級ね

コクがあって、普通の人には受け付けない味だけど、私にはこの紅茶の美味しさがわかるわ


???「ごめーん紫空しあ、雑巾の絞り汁入れちった☆」

紫空「ブフォ!!!!!!!!!!!!!!!!」バタン

???「紫空ァァァァァァァァァァァァァ!!!!」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〜数分後〜


紫空「ゲホッゲホッ……」


ま、まさか紅茶かと思ってたのが雑巾の絞り汁とは思わなかったわ……少し私は咳き込み、そして愁水に顔を向け質問をする


紫空「ちなみにこれ用意したのって誰?」

???「俺☆」

紫空「愁水しゅうすい………」

愁水「待って違う間違えただけなの、そんな目で見ないで」


愁水が必死に取り繕う

だが、私もこの手のことは慣れてきた

私は口を拭き、シュンとしている愁水に声をかける


紫空「そんな落ち込まなくてもいいわよ」

愁水「だよね☆」

紫空「もうちょっと落ち込みなさい」

愁水「どっち!!??」

???「しゃぁぁぁぁぁぁ凸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

紫空「なんで窓突き破って入ってくるのかしらこの子」


すると私の部屋の窓が破られる

今月で6回目、ここまで来ると強化ガラスにしない私に問題があるわよね


愁水「おぁ!累月るいげつ!」

累月「やっほ!」

紫空「ご機嫌よう、累月」

累月「やほ〜!」


元気が良くていいわね

窓突き破ってこなかったらもっと良かったのだけど、そんな事を思いながら、私は月を窓から眺める


愁水「これが立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿はギャグ要員の紫空かぁ……」(コソッ)

累月「黙ってれば美人だよね」(コソッ)

紫空「聞こえてますよ」

「「なんでもないです」」


はぁ……この人たちは……

私はそう思いながら、紅茶を手に取り、それを少し口に入れる


愁水「あっだからそれ雑巾の「ブフォァ!!!!!!!!」

累月「紫空ァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

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