第10話[模擬戦闘訓練]
〜現在地:アジト〜
〜零夜視点〜
虎狼捜索から2日目、レイテルでどうなっているか聞くが、皆分からないとだけ
まぁそりゃそうか、と椅子の上で腑抜けた声を出しながらダラリとする、机に顔を伏せ、片手でレイテルの画面を見る
皆悪戦苦闘しているようだ
萃もハッキングを頑張っているらしいが、如何せん情報が少なく行き詰まっているようだ
コンコン
すると、ドアがノックされる
零夜「入っていいぞ〜」
???「……失礼するわよ」
ガチャリとドアの開閉音が聞こえる
零夜「おぉ
ドアを開けたのは、構成員の紲だった
紲はたまに俺の部屋に来る事があり、今回の来訪も特段珍しいことではなかった
そんな紲は赤黒い髪を触りながら、俺に視線を移し口を開ける
紲「……特に用事は無い、零夜に会いに来ただけ、それとも、私が来るのは嫌だった?」
零夜「いやいや、紲が来てくれるの、めっちゃ嬉しいよ」
紲は俺の回答に笑みを浮かべる
紲「虎狼組詮索、私も参加したいけど、零夜が書類整理で倒れるのが心配だった、だから零夜を優先したの、ごめん」
零夜「何言ってんだ、そう思ってくれるだけ嬉しいよ、ありがとう紲」
紲「そう、なら良かった」
こんな優しい子が俺の組に居てくれて良かった……オアシスだなぁとしみじみ思って居ると、紲が「……?なに?私の顔をボケっと見つめて」と疑問そうに言う、俺は「あいや!その……か、可愛い顔してるなぁって思って見てただけだ!」と取り繕う、それにビックリしたのか紲は腕で顔を隠し、「……そういう所よ馬鹿…」と小さな声で呟く
紲「……ゴホン、私が来た理由は、ただでさえ進んでない書類+人手不足により、書類が更に滞ってると思ったから、それのお手伝いに来たって訳」
グハァ……ただでさえ進んでない……(涙)
こっちも頑張ってるんだけどなぁ……
紲に向かい苦笑いし、「じゃあ、手伝ってくれる?」と聞く
紲「えぇ、というかそのつもりで来たしね」
ロングヘアーをたなびかせ、机の前に立つ
俺は上の方の書類を手に取り、紲に渡すと
「すぐ終わる量ね」と一言
零夜「じゃあ、当番用の机に座って…ん?」
紲「何かしら?」
当番用の椅子を持ち上げ、俺の隣に置く
零夜「えっと……紲さん?」
紲「ほら、早く始めるわよ」
ピトっと体を俺に当て、それでも尚そのまま書類を進めていく紲を見て、俺もペンを持ち書類整理を進めていく
黙々と書類を進めていき、何故だかいつもより効率良く進められた
少し喉が渇いたのでコーヒーを持ってくると紲に告げ「えぇ、私もお願い」と一言
コーヒーを注ぎ、俺のコーヒーには砂糖を入れる、ブラックコーヒーを飲めないからだ、ブラックコーヒーを飲める人間は人間だと思っていない、あんなん人が飲めるのか?
そう思いながら注ぐ、注ぎ切ると、コーヒーの匂いが部屋を充満させ、2つのカップを持っていく
紲「あら、ありがとう」
カップを紲に手渡しする
紲「あっ」
その時、紲と手が触れてしまった
零夜「あっすまん」
紲「いや、大丈夫よ」
俺は手を少し引き、また紲にカップを渡す
と、その時、紲に手を掴まれる
零夜「っ!?紲!?」
紲「……細い腕、だけど……私の好きな腕……」
俺の腕を掴みながら、愛おしそうに見つめる
それが少し……怖かったので、強引にカップを置き、手を振り払う
零夜「あ、あ〜!よし!書類整理頑張ろうぜ!」
紲「……えぇ、そうね」
紲がジメッとした声色で言うが、俺はそれに気づかないふりをした
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〜現在地:アジト・地下訓練場〜
〜忘霓視点〜
幻響と地下の特訓場に向かう
幻響「いやぁ〜まさか忘霓が訓練に付き合ってくれるとはね、感激感激」
忘霓「敵との戦闘になった時の戦闘訓練だと言うことを忘れるな」
幻響「でも俺との訓練に付き合ってくれるんでしょ?」
忘霓「ものの捉えようだ」
幻響「……っはは、そうだね」
特訓場前に着き、着々と戦闘訓練の準備を始める、ゴム弾の入った拳銃を装備し、障害物が置かれた特訓場の中へ入る
幻響「遅〜い、何してたんだよ〜」
中には先に幻響が居たようだ
忘霓「然程時間経ってないだろうに……」
幻響「そう?俺の中では結構時間経ってたんだけど」
ヘラヘラと笑いながら俺に話す
白に銀混じりの髪を
幻響「まぁ、ルールって言っても、いつもと同じようにやればいいだけ……でも、一応話しておくよ、忘霓忘れっぽいからね」
忘霓「御託はいい、早く話せ」
幻響「まったく、まぁいいや」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
幻響「ルールは簡単、両者片方が戦闘不能or降参と宣告するまで己の武器を使い戦う」
幻響「命に関わるような事は禁止、一応模擬だからね」
忘霓「いつも通りだな」
幻響「でしょ?まぁ、早く始めよっか」
俺と幻響は数m距離を取り、顔を見合わせる
幻響「それじゃあ、始めよっか」
忘霓「早々にへこたれるなよ」
幻響「おっ?挑発?良いね〜燃えてきた」
忘霓「無駄口叩くくらいなら、早く殺りあおう、こっちも暇じゃないんだ」
幻響「はいはい、やりますよせっかちさん」
幻響「じゃあ」
______「「戦闘開始だ」」______
▲△▲△▲△▲マッチアップ▲△▲△▲△▲
_______忘霓 VS 幻響_______
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〜現在地:アジト・地下訓練場〜
〜幻響視点〜
さて、まずはどう行こっk……
忘霓「よそ見厳禁だぞ」
反射的に左に避ける
幻響「っと、危ないなぁ」
初っ端間合い詰めてきた
蹴りが頬をかすめ、数秒反応が遅れていたらモロに顔面に蹴りが入っていただろう
幻響「いいね〜楽しめそうだ」
忘霓「お前も攻めてこないと負けるぞ」
手でクイックイと挑発され、俺はその挑発に乗り、携えた木刀を抜刀したと同時に地面を蹴り上げ忘霓の頭部目掛け振り上げる、だが、振り下ろすと同時に腕で制止され、そのまま俺の脇腹に重い蹴りを入れる
幻響「ッイッ……!!!」
蹴りにより横に飛ばされ、体制を整え地面と膝を接触させ蹴りによって生じた勢いを殺す
幻響「……ッやるね」
忘霓「口を動かしてる暇なんかあるか?」
幻響「無い……ッね!!!!」
地面と瞬間的に足を離れさせ真横へ走る
忘霓はそのまま動かず、拳銃を構え俺に向かい2、3発発砲、だが俺の動体視力は他のやつより優れている、銃弾の弾道を一瞬にして把握し避け鋭角に方向を変え忘霓との間合いを詰めそのまま体術戦へと持ち込む
忘霓は銃をしまう隙すら無かったのか、銃を投げ捨て俺の振り下ろした拳を
俺は肘打ちよりも早く忘霓膝で腹に蹴りを入れ肘打ちを拒絶し、その勢いのまま忘霓の顔面を掴み壁へ激突させる
忘霓「ッグ!!!」
弱った忘霓の隙を見逃さず
顔に膝蹴りを入れようとするが、する直前に膝を掴まれ、そのまま押し込まれてしまち、俺はそれにより体勢を崩しよろけてしまう
忘霓はそのチャンスを逃さず、俺の真正面へ間合いを詰めると背負い投げを一撃、追撃をするかのように倒れた俺の脳天に銃口を突き付け
忘霓「終わりだ、幻響」
と、一言俺に告げる
幻響「……っくっはは、いやぁ終わりかぁ」
最早この状況で、もう逃げ場はない
俺は手を挙げ乾いた笑いを浮かべる
幻響「はいはい、降参降参」
▲△▲△▲△▲△▲勝者▲△▲△▲△▲△▲
_________忘霓_________
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
〜現在地:アジト・地下訓練場〜
〜忘霓視点〜
勝負は俺の勝ちで終わった
倒れている幻響に手を伸ばし、幻響はその手を取る
幻響「いや〜やっぱ強いね」
忘霓「これでも零夜組の中では10本の指に入るくらいには強い」
幻響「それは俺もなんだけどな〜」
忘霓「もうちょいその戦闘時の荒さを削れ」
幻響「ははっ、こりゃ手厳しい」
軽く雑談をし訓練場を出ると、射撃場から発砲音が聞こえる
幻響「お、あの姿は」
???「………チッ、上手く撃てない」
忘霓「
射撃場で訓練をしていたのは、零夜組一般構成員の、白夜だった
白夜「あぁ、忘霓さんと幻響さん、はい、一応射撃精度を上げようと思いまして」
幻響「いつも頑張ってるね〜、その熱量、ほんと見習いたいよ」
白夜「そうですかね……ありがとうございます」
忘霓「あまり無理をしすぎるなよ」
白夜「はい、分かりました」
白夜にそう伝え、俺と幻響は時間も時間なので昼飯を食べに行く事にし、その場を後にした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます