第2話[不撓・終極]
〜現在地︰流星街・裏路地〜
〜蒼羽視点〜
蒼羽「おい、逃げんなっつってんだろ」
薬売人「ッハァ……ッハァ!!!来んなよォ!」
午前2時、1人の男は声を荒げながら足を動かし、もう1人の男は革靴のコツ、コツと言う音をアスファルトに伝わせながらもう1人の男を追い詰めていく
蒼羽「お前さぁ、薬の売買するくらいなら知ってるよな?流星街で零夜組のヤツ以外が薬の売買しちゃいけねぇって事くらい」
薬売人「し、知らねぇよォ!!!!」
蒼羽「そうか、まぁどっちにしろ、見過ごす訳にゃいかねぇな」
俺は懐から愛銃を取り出し、薬売人の足に照準を合わせ
そして、拳銃のトリガーを引く
バァンと言う鉛が発射される音が裏路地の壁を反射し流星街に響く
薬売人「ッあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!」
弾は売人の左足を穿き、売人はその場に伏す
伏しながらもほふく前進の形で前へ前へと動く売人を哀れに思いながら、ほふく前進している売人のすぐ傍に追い付く
俺は売人の背中を勢い良く踏み付ける
薬売人「ッガッ!!!」
唾を吐き出し、ヒクヒクとままならない呼吸を繰り返す売人を横目に、俺は淡々とした言葉をかける
蒼羽「気付かなかったなぁ」
蒼羽「お前、流星街で薬を売買したの、これで6回目だろ?」
勢い良く踏みつけられたせいなのか、売人は声を出せないようで、首を縦に振る
俺は踏み付けながらしゃがみ、拳銃を売人の後頭部に押し付け、質問を続ける
蒼羽「んで、これお前一人の単独犯?」
蒼羽「それとも、組織でやってる?」
薬売人「そ……シ……キ……」
蒼羽「……チッ、やっぱりか」
売人は弱々しく言葉を発す
俺はトリガーに指をかける
蒼羽「組織名は?」
薬売人「………言え……な……」
蒼羽「あ"?」
薬売人「ッヒァ……」
組織名を渋り、俺はもう1つの手で売人の頭を掴む
蒼羽「拒否権なんかねぇんだよ豚が」
蒼羽「お前は答えるっていう選択肢しか残されてねぇんだよ」
半ば怒号にも取れる声量で売人を威圧する
薬売人「……言え……ねぇ……」
蒼羽「あっそ、じゃあもう用無しだな」
薬売人の回答は、俺の期待にそぐわない物だった
俺はトリガーに力を込め、そして
押し込む
バァンと言う銃声音が、路地裏と言う小さな空間に反響、売人の頭からは、月明かりに照らされた鮮血が地面に流れていく
俺は仕事を終えると、スーツにかかった返り血を拭き、その場を後にする
道中、俺はスマホでメモアプリを開き、とあるメモに書き足しを行う
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〜今月の変化〜
・外からの薬売人は増加傾向にあり、先月が2人に対し、今月は7人と増えている
・そして、薬売人全員に尋問すると、口を揃え"組織"と答えている、前は調子に乗った単独犯が殆どだったのに、組織ぐるみで流星街を荒らしているとなると、やはり何か行動をしなきゃ行けなさそうだ
・流星街の暴力沙汰が日に日に多くなっていると言う情報を耳にする、前まではそんな事は滅多に無かった、あったとしても、酔っ払い達の喧嘩とかそんなのだ、だが、今回の暴力沙汰に関しては、何かと因縁を付けて暴力を振るっているとの情報も出ている
見回りを強化し、ソイツらを迅速に退治する対策が必要だ
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メモアプリを閉じ一呼吸した後、近くに停めている車の方向へ向かっていく、月明かりが眩しく、影がくっきりとアスファルトに張り付く
蒼羽「………何の組織なんだろな」
少し立ち止まり一言呟く
だが一呼吸置くと、また歩き出し、組織について脳内で考察してみるが、どれも納得できるような物では無かった
蒼羽「帰ったら、報告だな」
そう思い、俺は車の方へと向かって行く
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〜現在地︰流星街・大通り〜
〜天斗視点〜
刀を携え、一通り暗い街を横流しに見ていく
最近は暴力事件やらが多く見受けられ、それのせいで住民達が外に歩けないらしい
その不安を払拭する為に、暴力沙汰を起こしてるヤツを見つけたいのだが、まぁ、早々見つかるわけがない
天斗「……さぁて終極、気長に行くかぁ」
俺は携えている刀に向かい呟く
俺の携えている刀は、日本三大名刀の一つ
"
この刀は、零夜から貰った物だ
代々、零夜の家が継承していたらしいが、それを俺に貸し出してくれていると言う感じだ
名刀を見ず知らずのヤツに貸して良いのか、と思ったが、「お前裏切るようには見えねぇし平気平気!」と言う楽観発言をしてきたので、もうそういう物だと割り切っている
……しっかし、2時半ともなると、人の気配すら感じねぇな
そう思いながら大通りを歩いていく
やはりこの時間は流石に寝ているか?と言う不安も出てくる
ザワザワと風で揺れる木、暗い夜道
……幽霊が出そうで、とても怖い
俺は幽霊が大の苦手、1人で幽霊特番なんか見た暁には多分死んでしまう程幽霊が嫌いだ
人間、1度幽霊のことを考えると、脳に色々な幽霊の話や写真やらが記憶として出てくる
……今日は帰ろう
幽霊が怖くなった俺は踵を返し、アジトの方へ方向を変える、そして、また歩みを始めた
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