第1幕/虎狼編
第1話[命と意思を紡ぐ者達]
───マフィア
それは、表舞台には素顔を晒さず
闇に紛れ血で血を洗う過酷な世界を生き抜く
仮初の
マフィアの目的は千差万別
ある者は金を稼ぎたい
ある者は血で血を洗う喧嘩をしたい
そして、ある者は
──復讐を成し遂げたい
この物語は、仮初の家族……造花達の
託された命と意思を紡ぐ
───復讐譚だ
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「つっかれたぁぁぁぁぁ!!!!!」
「「うっせぇ」」
机にペンを投げ、椅子の上で背伸びをしながら青年は叫び、青年の机の前に置かれているソファに座っている他2人の青年は、コーヒーカップを置きそれを咎めるように口を揃え言葉を被せる
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〜現在地︰アジト〜
〜零夜視点〜
"
それは、東京の
まぁ、根城だとか何とか言っているが、そこら辺に居る零細マフィア組織、組員も構成員、幹部、そしてボスを含めても、30人程の人数しか居ない
だが、それでも零夜組は動けているので
あまり人が居ないことに関しては不安視して居ない、寧ろ1人1人しっかり付き合うことが出来、コミュニケーションがしっかり取れることに俺は喜びを感じている……
だが、俺の組員はクッソ程生意気だ!!
俺の名前は
そんな俺は組員にクッッッッッッソ程舐められている、とあるヤツに関しては会った瞬間ぶん殴ってやりたい
まぁ、それもコミュニケーションの一環として見逃しているんだがな
ここ零夜組は、分類としてはマフィアになる訳だが、暴力等は振るわない主義だ
寧ろ、流星街の住人とはいい関係を築くことが出来、外に出ると挨拶をされ、そのまま談笑に花を咲かせる事が大半
まぁ、いわゆるご近所付き合いってヤツだ
(マフィアがなんでそんな事しているんだ?)
組員に住人との会話内容を聞かされている時
密かに俺が思っていることだ
だが、組員が楽しそうに住人との会話を俺に話してくれるのが嬉しく、それは深くは突っかからない事にした
話が逸れたが、流星街の住人とは上手く付き合える事が出来、マフィア=暴力団と言う印象を払拭出来るほど、俺の組は暴力沙汰を起こしていない
だが、それは"こっちからは"の話だ
売られた喧嘩は買う
例えば、俺の組はとある売買をしている
その売買とは、詰まるところ違法薬物の類の事だ、流星街の住人は心優しい人が多く居るが、その裏には多くの薬物依存症が居る
ソイツらに薬を売るのが俺の所のなんだが、
俺ら以外の組が流星街で薬を売買する事は、どんな理由であろうと、"殺害対象"だ
俺ん所のシマを荒らすのは、どんなヤツであろうと許す事は出来ない
あとは流星街を荒らしに来るチンピラや不良とかも始末している
まぁ、流星街を簡潔に言えば
""薬と笑いが飛び交う狂気の街""
それが俺が根城にする街だ
???「おい、手止まってんぞ」
零夜「へいへい……」
零夜「と言うか、お前らコーヒー飲んでるんだったら俺の書類整理手伝えよ」
???「却下、俺今日当番じゃねぇし」
零夜「はいはい……そうですか……」
零夜組は、経費の浪費癖が酷い
だから何か買いたい時は、書類を通し、俺がそれを容認したら経費でそれを買うと言うようにしている
【この拷問器具買いたい】やら【この武器を発注したい】やら【この毒薬を買いたい!】やらが書類にまとめられ、それを毎回毎回俺は確認しながら判子を押し区別している
たまに【零夜を〇す為のナイフ】とか言う
もはやコイツスパイなんじゃねぇのかなと言う書類が届く事もあるが、そういう書類は見つけ次第ビリッビリに破り捨て、また作業に戻る
今日も積もり積もった書類に目を通すが……
???「……うんま」ズルズル
???「分かる」ズルズル
だが、あろう事か何故か"幹部"が
執務室のソファに腰をかけ、コーヒーを嗜んでいる
それを俺に見せつけているのか?と言う気持ちが限界突破し、俺は席から立ち上がり、声を荒らげる
零夜「いやなんでここで飲んでんだよ!!!自分達の部屋で飲めや!!!!」
???「お前がサボンねぇように見張ってんだよ」
零夜「うっせ!」
目の前のソファでコーヒーを飲んでるコイツらは
ここ零夜組の幹部であり、零夜組の主戦力だ
天斗は近接攻撃に長けており、刀や体術で敵を圧倒し、日本で10本の指に入る程の実力を保持している
その反面蒼羽は銃の天才、百発百中の悪魔だ
体術や刀をあまり好まないが、その代わり中距離射撃の精度は筋金入りの天才だ
天斗と蒼羽は戦闘時の相性の良さからタッグを組まされることが多く、零夜組の翼を担うと言う意味で、"
天斗「あ?何見てんだよ」
蒼羽「は?何言ってんだよ、見てねぇよテメェの事なんか、遂に目腐ったか?」
だが、コイツらが相性良いのは戦闘時だけ…
それ以外はクッッッッッッソ仲悪い……
いや、ツンデレなだけなんだろうけど、傍から見るとマジ仲が悪く、いつも誰かが仲裁に入る、そしてヒヤヒヤしている
零夜「お前ら……変な事で喧嘩すんなよ?」
天斗「わぁってる、コイツの首斬ったら落ち着くわ……」
蒼羽「その脳天に鉛玉ぶち込んでやる」
天斗「やってみろよクソザコが」
零夜「ちょ、やめて?!!??!」
刀と銃を構える2人に対し、俺は仲裁に入ろうとしたが……
……俺は零夜組の中で、一番の雑魚なんだ
一般人にギリギリ勝てるかくらい
だからこんなヤツらの仲裁に入ったら死んじゃう!!!!!
そう思い俺は必死に脳を回転させると、要らない紙の裏紙にペンを走らせ、文字を書く
そして天斗と蒼羽の前に立つと
さっき書いた紙を見せつける
天斗「あ?」
蒼羽「ん?」
天斗と蒼羽はその文字を見ると
天斗「……辞めるか」
蒼羽「……だな」
と言い、席に座る
紙には「研究室に出張させてやろうか」とだけ書いた
俺は天斗と蒼羽に対し、眉をひそめ溜息をつきながら自分の席に座り
ペンを持ち直し書類に目を通す
天斗と蒼羽はまたコーヒーをズルズルと飲みながら「フゥ……」と一息つく
静寂に包まれた空間は、時計が刻む秒針と
コーヒーがすすられる音に支配されていた
それが、零夜組の日常の一部分
それが、日常
だが、破壊とは、静かに
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──永遠
それは、終わりない鳥籠
籠の中に囚われ、それを愛し、それに固執し
全てを永久の物へと変えようとする
永遠とは
───決して抜け出せない、鳥籠だ
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