第54話 スーパードクターとKUZU

そんな訳で、医者の滝沢ニキと、医者五人、看護婦七人、患者の親子グループが十人。


仲間に加わった……。


「ああ、滝沢。言っておくがうちには性奴隷の女が二十人程度いるから。それと、刑罰は公開での鞭打ちな。俺の癇に障った奴は問答無用で死刑だから、その辺りはよろしく」


「うむ、お前の作ったコミュニティにしては、思ったよりはマシだな。とりあえず、性奴隷制度は無くしていく方向で調整したい。しかし、現状無くせないであろう理由があることは理解しているので、当該者の手厚いケアと、精神科医への定期的な検診を無料で受けさせることを要求したい」


「良いだろう。まあ、奴隷の女共には、毎日シャワーを浴びさせて、甘いものも与えるようにしているから、最初から配慮はしているがな。若い女は多ければ多い方が良いため、今も近隣のコミュニティから女を集めているんだ。婚姻制度もクソもなく、今は産んで増えてほしい。男は技能があるものか、子供しか募集していないが……」


「なるほど、人の心はないが、理論的だな。遺伝子の多様性から、最終的にはそういった一般人に当たる層も取り入れる必要があることは、お前には言わずとも分かるだろう。だが、今は確かにその時ではないな。兵力は?」


「中高生のガキ共に銃を与えて、扱いを教えている。俺の愛人の元自衛隊員が、指揮と訓練の責任者だ。俺が愛人として飼っている女達が個人戦闘力は高いんじゃないか?」


「女子高校生を愛人にしたのか。最低の所業であり軽蔑するが、こんな世界で女性を養っていることは褒められることだろうな。私は患者の方々を助けられず死なせてしまったから、私よりはマシだろう。それで……、思春期の子供は、まだ心身が未発達な部分も大きいため、洗脳のような行動は慎むべきとは言っておこう」


「その点なら安心してほしい。この女達は全員、精神に不可逆なダメージを受けているからな。冬芽と透は元から発達障害気味で、その上PTSDと双極性障害を発症。エレクトラはPTSDはもちろんのこと、摂食障害の気があるな。無子は重度の統合失調症だ。そして最近、それに性依存症が全員に付け加えられた感じ。だから、ちょっと脳みそを洗ってやった方が本人達の為になるんじゃね?」


「ふむ、逆に無理やり引き剥がした方が問題になるケースか。このような世界で、隔離しての精神治療は中々に難しいことはもちろん理解しているが、医者として、少しずつでも寛解を目指すべきだと提言させてもらう」


「不可能だな。冬芽は魔導師で、無手でも人間なんてバラバラにして殺せるし、透も最近は肉体の強化が著しい。エレクトラは電撃を操る能力者で、無子はウィルスに適合した不死者だ。医療従事者の方が危険だろう」


「了解した。では、そちらでの介護を続けてもらいながら、こちらでも解決策を考えておく。そして次は……」


うむ。


頭がいい奴がいると、助かる。


正直言ってこいつは嫌いだが、それはそれ。


議論において反対の意見を出す奴だからって、殺すのはよくない。


道徳的な話ではなく、イエスマンだけ周りに置くことは危険だというリスクマネジメントの話だ。


滝沢も、俺のことが嫌いだし、ムカついているとは思うが、それを表には出さない。


仕事だからな。


そりゃ、道徳的にダメだ!今すぐやめろ!とかウエメセで言ってくるアホは即殺すよ?


けど滝沢は、道徳的に良くないというのはまあもちろん人として言ってくるが、医者としてここはこうした方が良いよと、建設的な意見を出してる訳じゃん。


それを殺すのはなんか違うかなーって。


「……よし、到着した。丁度晩飯を作っているところみたいだ、食え。ああ、その前にシャワーを浴びてこいよ。本来ならシャワーは毎日使用できないんだが、俺から許可されたと言えば使えるはずだ。絶対王政最高だぜ!」


「うむ、礼を言う」


そんな訳で、滝沢と医者達が仲間になった。


薬品、医療品、滅菌服や防毒手袋など、大量にゲットだぜ。


明日一日は休みにして、明後日から客船の中の大掃除だ……。




「晩飯何?」


「あっ、大リーダー!今日は、炊飯器で炊いた炒飯に、鶏がら春雨中華スープ、それとほうれん草とにんじんの煮浸しです!あと、デザートに苺ミルクのプリンがあります!」


「ほえー、寒天なんてあったか?」


「海に生えている天草を集めて、みんなで作ったんですよ!」


「ははは、暇してんなあ」


そんな話をしながら、お盆を受け取って飯を食う。


味は……、まあ普通だ。


俺が作った方が美味い。


だが、大量に料理を作るのは普通に重労働なんでな。食える味なら文句を言わんよ。


おお、苺ミルクプリンもまあまあいけるなあ。


「……思いの外、空気は悪くないようだな」


また出たぞ、滝沢。


「当たり前でしょそりゃ。空気が悪いコミュニティなんて、早晩滅ぶぞ?絶対王政ではあるけど、王である俺が過ごしにくい空間になる程締め付けたら意味ないじゃん」


「……それもそうか。……食事も良い、栄養バランスが考えられているな」


「調理担当のババア共は、栄養士とかだからな。知識はちゃんとあるみたいだ」


そういや、ババア共の中にキノコに詳しい人がいてなあ。


今までキノコ系は怖くて食ってなかったんだが、レパートリーの中に、椎茸とシメジとエノキダケがあることが分かったんだよ。


これからはキノコも食えるぜ!やったね!


「シャワーも、制限はあれども使えて、食事に困らない……。服も作っているんだったか?」


「ああ、最近作り始めた。と言っても、作務衣みたいなのだけどな。後はマフラーとか手袋だな」


「ふむ……、お前のことだから、もっと酷い圧政をしていると思ったが」


「いや?もう五人ぐらい処刑してはいるぞ?けど、手下共はちゃんと言うことを聞く。それは、食わせてやっているからだな。絶対王政とカッコつけて言ったが、俺にできるのは山賊団の長みたいなムーブメントまでだ。それ以上にしっかりまとめるんなら、ちゃんと明文法が欲しくなるね。いずれはそうしたいもんだが、今は力で押さえつけた方がアド」


「良いことだ。これならば、全面的に協力できるな。そして法と言ったと思うが……、それについて、我々はやはり医者としての活動をしていきたい。当面は無料で診察し、手術が必要であれば報告する故、資材の融通を頼みたい。それこそ、法ができた時は医療費も規定すべきだと思うが、それは後でいい」


「良いだろう。ただ、あんたはこれから立場が高まるだろうから、マジで謀反とかはするなよ?医者は偉いんだ、こんな世の中じゃ。謀反を計画しているなんて話、俺の耳に入ったら、大リーダーとして殺さなきゃならなくなるんでな。その時は死んでくれ」


「了承している。もし、そう言う話を持ちかけられたとしても、私からははっきりと断ろう」


「ん、よし」


こんなところか……。


じゃあ今日のコンソールコマンドルーレット!!!!


食材系はもうかなり充実しているからしばらく良いとして、別なの回そう……。


酒飲みながらやるか。こう言うつまらん作業はシラフじゃできねーもん。


えーと、海外産の謎ウォッカと……、ツマミは、そうだ!


椎茸にとろけるチーズ乗せて焼いたやつにしよう!


これんまいんだよなあ!!!


はい、ルーレット開始。


……お、タングステンが出た。やったぜ!



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