第49話 通貨単位がエメラルドの世界みたーい!

今日も今日とて、拠点内の改装。


城壁と防衛装置、そしてコンテナを利用した住居を作ったところだな。豆腐ハウスだ。


しかし住居はまだまだ足りない。コンテナハウスは四人部屋として、また新たに何かしらの施設を作らなくては……。


ここで冬を越すんだもんなぁ、仮住居とか言ってられん。それなりにしっかりした防寒住居を用意しないと、凍死者が出るわ。


とりあえず、海水を濾過して真水にする装置は設置してあるので、水の問題はない。


倉庫は倉庫兼作業場兼食堂として使われているし……。


職員の休憩所は、衛兵達の詰所として利用するらしい。


やっぱり住居だな……。


俺は、この付近にあるコンテナを運び込み、コンテナハウスマンションをもう一棟作った。


とりあえずはこれで良いだろう。


コンテナハウスの中は、安易的な窓一つと、二段ベッド二つ。


それと非常用の水ボトルとビスケット、服を入れる小さな箱が四つだけ。後は鏡とゴミ箱もあるかな?


明かりはランタン型の電灯。電池式のやつ。


それだけの、何もない部屋だ。


ただ、冬前には金属製の湯たんぽをクラフトして配布しようと思っていて、それでどうにか凌ぐ予定ではある。


後は肌着の追加とかでどうにかする。服飾ができるメンバーにミシンを与えて仕事を任せているが、どうなるか……。


だがまあ、ここは神戸。


靴下を二重にして厚着すれば、暖房がなくても眠れるはずだ。


つまり、衣食住の内、「住」は最低限整えて、「衣」はなんとかなる見通し。


となると、「食」の充実を図る他あるまい。


調理師グループを集めて、保存食の製造を始める。


やることは基本的に瓶詰め作りだな。


応用が利く肉味噌や、各種野菜の水煮。果物のジャム。


それと、燻製肉と酢漬け、干し魚なども作っていく。


メンバーのスキルアップのために、あえて目の前でやってみせた。


もちろん、作業の殆どはクラフトで短縮しているが、メンバーと一緒に手作りもしたってことね。


こうして一週間は保存食作りに専念したな。




ここにいるメンバーは三百人弱。


人の食事量が一日……まあ多めに見積もって2kgとしよう。


じゃあ三百人を……俺の長期遠征を二ヶ月として、二ヶ月間食わせるとする。


そうすると、2kg×3食×300人×60日で……、108000kg!およそ110トンだな!


半分は米だとしても、数値にすると凄い量だ。


……けど、物理的な量で言えば、10トントラック十台分くらいな訳で、思ったより多くはないな。


倉庫に棚を作って、そこに食料を保存しておく。


もちろん、見張りも立てておいた。


こんなところだろう。




「ここでちょっとQK!!!」


俺は叫んだ。


ここ最近は働き過ぎてしまったからな。


ちょっと休憩しようじゃないか。


休憩するついでに、メンバー達の働きを見ていくこととするぞぅ。


えー……、まずは防衛隊だな。


百人と、半数近くのメンバーを戦士にしたが、これは仕方ない。


ゾンビサバイバルだぜ?


衣食住と並ぶくらいに安全保障は重要視されるんだ。戦わなくては生き残れない。たった一つ与えられた命はチャンスなんだよね。


そら災害とかでの地球滅亡なら、医学知識とか農学とか持ってると良いのかもしれんけど、ゾンビじゃあなあ……。


そんな訳で、まず守らないとダメ。


なので防衛隊と称して、少年少女をライフルで武装させて訓練させている。


銃と弾丸は何とかなるので、とにかく並んで引き金を引くカカシくらいにはせんといかん。


だが、ミラが連れてきたグループの奴らは、敵なら人間もちゃんと殺すので偉い。


こうやって拠点を構えていると色々あるもんで、近場にいた生存者グループが来たんだが……。


……壁を登ろうとして、警告しても登るのをやめなかったから、射殺したと報告があった。


ゾンビならまだしも、生きた人間をちゃんと殺せるのは良いね。


躊躇いとか、良心の呵責とか、そういうのを命のかかった場でやられるの、マジで迷惑だからな。


続いて内務。


食料の在庫管理と、その日に使う食料の量を決めるのがメインか。


一応、弾薬や銃の数も数えさせて、管理してある。


服や布、紙に医薬品なんかも、管理の対象だ。


自由経済は遠いな。


そして、雑用。


これは、小中学生のガキにやらせている。


掃除に荷物運び、洗濯辺りか?


特に、機械を使わないでやる洗濯はかなりの重労働で、ガキ共は毎日ヒーヒー言ってるが……、ここから追い出されたら死ぬってのは子供でも分かるようで、聞き分けは大変よろしい。


児童労働?……日本国憲法と労働基準法はもうないぞ?何を言っているのかね?


まあ全員、少なくとも、真夏に風呂にも入れずに、虫ケラやネズミの死骸すら食うほどに飢えて、人の醜さをじっくり眺めた連中。


今のこの、食うものに困らず、壁の中で兵隊に守られて眠り、銃を握って戦える現状を……、むざむざ捨てようなんて思う馬鹿はいないな。


全員が俺に、気持ち悪いくらいに媚びてくるし、女は露骨に性的な誘惑をしてくる。


女共は、俺が食い過ぎると他の男達の手に渡らなくなって、人口増加に差し障りが出るからな……。


人脈形成の意と、権力独占の意を込めて、手を出すのはリーダー格の女だけにしておくことに。


よし、じゃあ後は病院を攻めるぞー。

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